
日本の正規代理店からオファーが有り、オリヴィエ・バーンスタインの2013年ものが少々入ってきました。数が余り無く、飲んで案内出来るかどうか・・など、不安材料が有ったんですが、
「ネゴスにとっては難しかったはずの2013年を、オリヴィエはどう造ったか?」
がどうしても知りたくて、テイスティングしてみました。
ミクロ・ネゴスと言う新しいスタイルを始めたオリヴィエ・バーンスタインですが、まぁ、良いヴィンテージならもう間違い無いことは検証済です。厳しいヴィンテージに良い葡萄が得られ、ブティックワイン品質まで上げられるかどうかが問われる訳ですね。
今までの noisy 的感覚では、2008年の村名ジュヴレがエレガントなスタイルで異常に旨かったことがオリヴィエ・バーンスタインを扱うことになった理由の一つですから、最も厳しいヴィンテージの2013年こそが、新の試金石になると踏んだんです。
まず・・驚くのは・・2010年のBBRものジュヴレのボトルとは全く違う、ワイン屋泣かせなグラン・クリュや1級に使用している超太瓶、超底上げボトルを使用しています。(梱包が・・結構大変なんですよ・・クール指定の重量規定にも影響しますし・・)
「・・・おいっ!」
と意味無く突っ込みを入れたくなるようなブットいボトルで、底上げもボトルの太い部分のほぼ真ん中まで来ていますから・・
「・・どんだけ澱が出ると予想?」
などと考えてしまいますが、グラン・メゾンなどのセラーでは数十年に渡って仕舞い込まれることも有りますんで、
「・・この高い底上げの部分の澱の部分をグラスに注がない為の工夫」
と理解も出来ます。下の写真を見てくださいよ。呆れんばかり・・でしょう?でも基本、1級以上しか造らないバーンスタインの「主義」の現れでしょう。
そしてこの色です。自己主張してますよね~・・。凄いボトルに入っているとは言え、村名ですよ。実に美しい赤紫です。透明感が凄く、グラデュエーションもアナログに見えるような気がしてくるから不思議です。
2016年夏の時点での入荷で2013年ものです。2010年ものが余りに美味しい・・それと同じようなタイミングでは無い訳です。

香りのスピードの速い、自然派チックなニュアンスが感じられます。しかしやや硬さが感じられます。深い赤や、やや黒味の加わった色合いの極小果実の集合体、鉄っぽさの有るミネラリティ、とても凝縮していて、リアルな果実酸もたっぷりです。まぁ・・これで村名かよ!・・と突っ込みたくなるほどです。中域も見事に拡がりますが・・
釣りで言うところの「中調子」?・・でしょうか。noisy は釣りはしないので良く判らないんですが、釣り竿の中ほどがたわむのをそのように言うのかな?・・と思いますが、
「口入時はそこそこ穏やかながら、中ほどに向かってブワッと膨らみ、最高到達点から美しい減衰カーブを描きながら消えて行く」
イメージで・・
「いや・・良いワインだ・・」
と思わされてしまいました。
最も、やや硬いのは感じられますし、2010年のような「たっぷりふくよかな」仕上がりでは無く、「フィネス」「エレガンス」と言う言葉がぴったりと思います。
しかし今飲んでやや硬いとしても、ガッカリするようなものでは有りませんが、やはり少し勿体無いな~・・とは思える段階です。半年から1年・・は必要でしょうか・・そこから成長し始めると思いますが、今年2016年の年末位から「勿体無いと思わずに」飲めるようになるかどうか・・と言うところでしょう。安全策を取るなら2年後の気温が上がり始めた春位からなら、
「めちゃくちゃ美しいエレガントでフィネスたっぷりのブルゴーニュ・ピノ・ノワールらしい味わい」
に成ってくるでしょう。
スタイルとして2010年と2013年はいっしょにならないと思います。2008年ものを飲まれた方なら、それに近い味わいで、よりリアルな果実酸が有る感じ・・と思ってください。
素晴らしいジュヴレでした。1級以上しか造らない・・と豪語しているオリヴィエ・バーンスタインですから、ポテンシャルで1級クラスなんだ・・と言うことを言いたいのかな?・・と想像しています。今回は通常価格¥12.500ですから非常に安い設定です。2010年ものが少し高いだけですんで、選択は微妙かもしれませんが、2013年ものにしか無い美味しさが有ります。是非ともご検討くださいませ!