● 2014年のフィリップ・パカレを・・今頃になってようやっとご案内致します。もっとも色々と事情がございまして、以前のようにフルラインナップでのテイスティングを行い、キュヴェ選択をしてのご案内ではございません。
何よりもパカレのワインが高価になってしまったことがその主たる原因です。今までのようなテイスティングを行い、数十万円も経費を掛けたとしても、仕入れがちゃんと出来るかどうかが判らないし、何よりも出来不出来が判ったところで、前予約での仕入れになりますから、飲んだ後では間に合わない・・などの事情が有ります。
それにエージェントさんが2つになってしまいましたし、4~6月に販売する分を1月に予約を取るってどうよ?・・それも価格がどんどん上がっている・・
そんなこんなでテイスティングも仕入れも諦めざるを得なくなってしまいました。
まぁ、そんなことをやってると売れなくなるよ!・・と、担当には言ったのですが、糠に釘、柳に何とかです。人の話しを聞いているようで、全く聞いてないんですね。責任が無い・・と言うか、まるで関係者でも無いかのような振舞いです。
パカレのワインの普及には、noisy も、また仲間たちも陰日向に影響していたと思います。すべてのアイテムのテイスティングをすることで、彼のワインの特徴や出来などを掴み、ワインラヴァーのみならず他のワイン屋
も・・情報を得ていたと思うんですね。
しかしながら、このような状況になってしまうと・・
「まだ誰も飲んでない」
状況が生まれ、
「・・高いしなぁ・・」
「旨いかどうかも良く判らんし・・」
と言うような気持ちからの判断で・・見送られてしまうだろうと思っていました。noisy が2014年のパカレの仕入れを見送ったのと同様です。
で・・・手を出し辛いワインになっちゃったようです。
ですが、ここに来て野村ユニソンさんが特価を出してくれたので、少々ですが仕入れが可能になりました。以前のように、
「ルショットはいいぞ~!」
とか、
「シャルムもラヴォーも素晴らしい・・でも他は1段階落ちる・・」
などとは言えなくなりました。
今回のテイスティングはジュヴレ=シャンベルタン2014年のみです。申し訳ないのですがこちらから是非、想像で・・ご検討いただければと思います。
また、2005年のあのレアな「アンディジェーヌ」を少々同時入手しました!・・おそらくだいぶこなれて来ているだろうと思います。価格も非常にリーズナブルです。ご検討くださいませ。
■エージェント情報

お待たせいたしました!フィリップ パカレの新ヴィンテージである2014年のフルラインナップが入荷してまいりました。
ここ10年でも非常に外向的で親しみやすい味わいの持つヴィンテージとなったという2014年。白ワインは現時点でバランスが良く、既に各キュヴェやテロワールごとの個性が感じ取れます。赤ワインも近年にないくらい風味にフォーカスがあっており鮮やかなでいきいきとした香りと明るいキャラクタがあります。
赤ワインに関しては入荷して間もないため、少し休ませてあげる必要はありますが、先に入荷していた白ワインはもう準備ができている状態と言えそうです。
通常フィリップ パカレのワインは、入荷直後はパカレフレーバーが支配的で、各キュヴェの個性が出てくるのに熟成が必要でした。しかし、この2014年はすでに方向感が明確に打ち出されており、ワインの精密さも増しているように感じられます。これは単にヴィンテージの特徴なのかというとそうでもなさそうです。
フィリップ パカレと話をしていると、彼の持っている世界観やワイン造りのロジックは、他のどの造り手とも違うなと感じることがあります。
というのも彼は栽培、醸造においてとにかくロジカルであり科学的思考をベースに全ての意思決定を行っています。その彼が近年行き着いた理想のワイン造りにおいての最重要ポイントが個人的には驚きでした。
それは、彼はまずブルゴーニュという土地の圧倒的なまでのポテンシャルを高く評価しており、その上で、その土地の潜在能力を引き出すためには植物としてのブドウ樹そのものが重要だと考えています。さらに焦点をしぼっていくと、ブドウ樹にとって重要なのは台木であり、「根」であると。
実のところ、ここに彼が畑を所有するのではなく賃借によってワインを造るというスタイルにこだわる理由があります。
「各々の畑の個性や潜在能力は歴史が教えてくれる。ブドウ樹の姿も観察することができる。しかし、その台木や根がどういう状態であるかは、栽培し、収穫したブドウで醸造し、ワインを造ってみないと本当のところはわからない。本当に素晴らしいブルゴーニュワインを造ろうと思ったら、この大地の中の部分が決定的に重要なんだ。残念ながら後になって台木の状態が良くなかったとわかる事もある。非常に高額なブルゴーニュの畑を台木の状態を確認せずに購入・所有するのは、途方も無いリスクなんだ。」
非情なまでのリアリストと言えるフィリップ パカレ。と同時にこの彼の考え方は、人間の力では変えようのない部分に重要なポイントがあるということを受け入れており、ブドウ樹というひとつの生命が持つ植生こそが最も重要なのであるという、「自然」や「命」に対する最大限の敬意を抱いた姿であるとも感じられます。
「リアリスト」であり「ナチュラリスト」、そんな彼の長年にわたるキャリアの真骨頂が表現されはじめたのがこの2014年なのかもしれません。
「三日会わざれば刮目して見よ」という言葉もありますが、この2014年は色々と驚きに満ちたヴィンテージになっています。ぜひお試しくださいませ。