フィリップ・パカレ
メゾン・フィリップ・パカレ
フランス Maison Philippe Pacalet ブルゴーニュ
フィリップ・パカレ 2007年ピノ・ノワール完全ガイド!
● さあ、皆さんがお待ちかねであったはずの、2007年フィリップ・パカレ、ピノ・ノアールの完全ガイドをお届けしましょう。・・・どうやら聞いた話によると、一番期待して待っているのはご同業とエージェントさんらしい・・・(^^;;・・いや、当てにならないかもしれませんよ~!
総評。
2007年のフォロップ・パカレ、ピノ・ノワールは、2006年ものの、赤くチャーミングで端正な、比較早い段階での収穫を思わせる熟度とは全く趣が異なる。
2007年ピノ・ノワールは、とても良く熟した葡萄を収穫し(そのように感じた)、アイテムによってはかなり熟度が高いし総体的にも高い。結果、充分なボディと熟した果実のニュアンスを得たが、2006年のようなとても冷涼な果実酸は失ったアイテムが多い。言ってみれば、それだけ早く第一期飲み頃を迎えるアイテムが多いと言うこと。
2007年の白眉はシャルム=シャンベルタンで間違い無い。続くのは例年通りジュヴレのラヴォー・サン=ジャックで有る。シャンボール・プルミエ・クリュとポマール・プルミエ・クリュがそれに続く。
特筆すべきは、2007年初登場のボーヌ・レ・ペリエールの秀逸さである。今からでもかなり美味しく飲めるし、ポテンシャルがかなり高い。
クラス別のお奨め
基本的にクラスを飛び超えての出来栄えは無い。ラヴォー・サン=ジャックは本当に素晴らしいが、シャルム=シャンベルタンを超えられない。ジュヴレ=シャンベルタンは早くから美味しいが、1級のワインのポテンシャルを凌ぐものではない。
村名クラス
一推しはジュヴレ=シャンベルタン。現在のバランスで美味しく飲める。
プルミエ・クリュクラス
やはりラヴォー・サン=ジャック。これは間違い無い。バランスや美しさでボーヌ・レ・ペリエールが素晴らしいが、潜在的なポテンシャルではシャンボールとポマールのプルミエ・クリュとどっこいか超えられない。しかし、赤いチェリーそのものが高貴に香る味わいには脱帽。他のジュヴレ1級2つは、畑の個性が出てポテンシャルも感じるが時間が掛かる。
グラン・クリュ・クラス
シャルム=シャンベルタンで決まり。購入して損したとは全く思わないだろう。エレガンスとパワーが高いレベルでバランスしている。リュショット=シャンベルタンは残念ながら後述する理由で販売しないことに。
2007年のフィリップ・パカレのピノ・ノアールは、2006年と大きく変わって熟度が高く、外交的な仕上がりで、ポテンシャルも高い。残念なのはリュショット。今のところ販売予定は立たない。
もし、どれか1本と言われたなら、価格を考えなければシャルム=シャンベルタンを推す。もしくはラヴォー・サン=ジャック。そして、早めに飲むことを考えるのならば、間違い無くボーヌ・レ・ペリエール。これは本当に美味しい。さらに、そこまで出せないよ・・ということならジュヴレ=シャンベルタンが良い。
2007年のブルゴーニュ・ピノ・ノワールは、マイナスのイメージを持たれていらっしゃる方も多いと思います。しかしながら、2004年を再度思い出してみてください。2005年が早くからグレートだとアナウンスされ、リーズナブルに提供されたにも関わらず、また、美味しいとの声が有ったにも関わらず、避けられてきたはずです。その結果、現在ではとても美味しい2004年のピノの、リリース直後の姿を確かめていない方が多いと思います。グレートなヴィンテージは、基本的に時間が掛かるものです。(1999年は「単純に早飲み」が3分の2を占めるヴィンテージだと思います)
とても美味しく、素晴らしい出来栄えになったと思います。お勧めいたします。
●2007 Beaune 1er Cru les Perrieres
ボーヌ・レ・ペリエール・プルミエ・クリュ
【パカレのワインの中ではもっとも重量級!】
ワイン屋の仕事をお客様が端から見ていると、いや、想像してみると、もしかしたらとても華麗でのんびりとしていて優雅、美味しいワインはガンガン飲めるし、お食事にもご招待が一杯有って羨ましい・・・、そんな風に思えるかもしれませんね。
確かにこの仕事をしていると、やれフランスの誰々が来たから・・とか、イタリア生産者が初来日で・・・とかで、テイスティング会は元より、交えたお食事会にも呼ばれることも有ります。また、そんな状況ですから、ワインだけは本当に良く口にします。
まあ、単に口にするだけでは駄目で、見た瞬間、飲んだ瞬間、香りを取った瞬間に、そのワインのポテンシャルや特徴と掴んで、売るポイントがどこにあるかを考え、扱える商材で有るかどうかの判断を求められる訳です。
そう聞くとさらに、
「あぁ・・・面白そうだなぁ・・。優雅だし、何より美味しいものとの出会いは良いよなぁ・・」
と思われる方がそれなりにいらっしゃるに違いありません。
しかしながら、扱うワインに正対しようとすればするほど、かなりしんどい仕事になってきます。ワイン1本の重さは1kg~2kgほどですが、一箱12本になれば×12ですから・・・かなりの重量。それを上に持ち上げたり、降ろしたり、はたまたは瓶や箱を抱えたまま中腰での作業を強いられることになります。不規則な勤務時間はもう当たり前・・・。仲間とのテイスティングの帰りは、完全に夜は明けていますし、お呼ばれで東京に出かけた帰りは、まあ、何とか終電に間に合えばラッキーで、遅くなった時にはタクシーで自宅に辿り着くことになります。その上、
「あ、メールを書かなきゃ・・・」
「新着ページの仕上げを・・・」
「オーダーFAXをしないと・・」
「・・・・今入ったご注文のワインって・・・在庫有ったっけ?」
みたいな状況は日常茶飯事です。公休と言えるのはお正月のお休み位のもので、定休日も普段からの溜まった仕事を減らす日と化してしまいますから、まあ、自分でやっているから良いようなもので、他人様を同じような仕事環境で雇うことはかなり微妙でしょう。重い荷物を持ってアチコチふらふら、汚れるし、実にハードな仕事だと言えます。ちっとも華麗な部分など・・・有りゃしません。
そんなnoisyではありますが、沢山のワインを口にしながらも、自分で好んで飲みたいワインのタイプも有りますから、そんなワインと一緒の時は、とても楽しいし、至福の時でも有ります。
そして、この2007年のボーヌ・レ・ペリエールは、まさにnoisyのマイ・タイプな、素晴らしいワインに仕上がっていたんですね。
とても美しいチェリーのアロマ。精緻さに長けた素晴らしい味わい。飲める。複雑性も高くかなりのポテンシャルを感じる。背筋がゾゾゾと来る。ドライだが甘く、正に甘露。中高域に中心が有る。中量級。シャンボールっぽくも有る素晴らしいワイン。
いや~、これにはびっくりしました。昨年までのボーヌ・シュアシューは、ボーヌの南、ポマール寄りに有りましたので、ポマールに近いニュアンスを持っていましたが、このレ・ペリエールはボーヌの北西部に有る、秀逸な1級畑が集まる区域に存在します。まあ、全くニュアンスが違います。言ってみれば、ルーミエさんのシャンボールや1級の、赤い果実の出方にも似たニュアンスが有り、パカレらしい、可憐でピュアなスタイルが、最もマッチしているとも思うんですね。確かに、素晴らしい仕上がりのラヴォー・サン=ジャックやシャルム=シャンベルタンには、どうあがいても勝てないのでしょう。しかしながら、鮮やかな色合いを目にした瞬間、グラスをノーズに近づけてアロマを受け取った瞬間、口に含んでボディを確かめた瞬間、飲み込んで余韻に浸っている瞬間、そして、酔い覚めの時の心地良さ・・・。全てがnoisyの好みに近い・・・いや、好みというか、こんなバランスが最高に好きなんじゃないかな・・と自己分析しています。
まあ・・・普通のショップさんなら、敢えてボーヌのワインを売ろうとはしないでしょう。余りに危険性が大きすぎると考えるでしょうね。でも、ボーヌの町は、ブルゴーニュ中のネゴシアンの本拠が集まっているんですね。昔から素晴らしいワインが造られていたことの証明でも有ります。(地理的に良かった・・・という意味合いもあるようですが・・・)ネゴシアンに占拠されてしまったボーヌの1級は、いつの間にか、その品質を落とし、昔の名声もどこへやら・・・という状況になってしまったのでしょう。特にボーヌの北西部の1級畑、レ・マルコネ、レ・グレーヴ、レ・ブレサンド、クロ・デュ・ロワなどの一画は、ワイン自体の酒躯はそれぞれ造り手・区画により違うものの、冷ややかでミネラリティに裏打ちされた赤い果実が見事に出た素晴らしいワインが生まれることが有るんですね。どちらかと言えば、同じ1級のレ・グレーヴに近い、繊細さとパワーに頼らないワイン自体の迫力を持つもの・・・それがこのレ・ペリエール・・・なんです。
ホント、チェリーの美しさと言ったら・・・感動ものです。全くドライなのに甘いんですよね。そしてバランスが素晴らしいです。これぞブルゴーニュ・ピノ・ノワール!旨いです。超お奨めいたします!
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