
例えば、エルヴェ・ジェスタンの至高のサピエンスを飲むと、その美しさに翻弄されてしまう自分がいることに気付きます。
2006年、2007年は非常に美しく、
「・・果たしてこれはシャンパーニュなのだろうか?」
と疑問に思うほどでした。
そして、非常に不安になった訳です。これほどに清冽で美しいのは稀に見るもの・・。しかし、
「この味わいを実際に試した方が、どれだけ理解できるのだろうか?」
2006年、2007年ものがこの先、10年ほどの最適な瓶熟を得ることが出来れば、お客様は素晴らしい「収穫」を得ることは予想できた訳ですが、シャンパーニュをそこまで寝かせられる方は少数派ですから、
「静寂の中の端正な美しさ」
は、たぶん理解されないで飲まれてしまうだろう・・そう結論を持ったと記憶しています。
半面、2008年ものの素晴らしさは半端無く、その「静寂の中の端正な美しさ」に見事な「美声」と「美しい肢体」を得ていた訳ですから、もう、これは何としても販売しなければと思ったものです。
先ほど、少し調べてみましたら、ゴー・エ・ミヨはサピエンスの2007年を14/20Points と蔑み、2008年ものを17/20Pointsとして、どちらにも理解を示していないようでしたし、少し良く受け取ったと思われるラ・ルヴェ・デュ・ヴァン・ド・フランスでさえ、2007年ものと2008年ものを同様の評価で17.5/20Points としています。
本国のメディアに貶されてはいますが、むしろ他国のファルスタッフ・マガジンや多国籍のセラー・トラッカーの評価は、低めだとは言え94ポイントほどでした。これは、2007年と2008年の差をある程度、折り込みたい noisy とも、少し違う意見だったと言う結果でした。
まぁ、そのように・・
「白いものの中に置かれた白い物体」
は、人間にとって感覚的にとても認識し辛い訳ですね。10年置いて確かめてみたら・・「間違っていた・・」と言わざるを得ないはずなんですが・・。

このマルゲの「シュイィ」も、どちらかと言えばそっち系の「超エレガント系」です。
しかしながら、サピエンス2006、2007年のような「一途なスタイル」では無く、もっとポジティヴに明るさと外向性を持っています。
サピエンスの持つ「静寂」は、どこまでも「し~~ん」と静まり返っていますが、このシュイィにはそこまでの静寂は有りません。
でもとても美しく冷やかで、軽やかな石灰系ミネラリティがふんわりとソフトに香り、果実の美味しさも内包してエレガントさを見せてくれます。とても美味しいですよ。
実はこのワイン、もっと以前に入っていたんですが・・問題が在りましてお蔵入りにしていたら1年以上も過ぎてしまった・・そんな過去が有ります。
エージェントさんの伝票では「ブリュット・ナチュール」と書かれていたんですが、noisy が確認したところ、そのような表記は無く、「エクストラ・ブリュット」と書かれており、また、実は「ブリュット・ナチュール」「ブリュット・ゼロ」と意味は同じで「リキュール添加無し」ですが、名前の違う異なるキュヴェ有るのか等が気になってしまい、
「後で調べよう・・」
と思っていたらそのまま忘れてしまった・・と言う結果でした。
まぁ、「細かいことが気になってしまう」ことって時折有る訳ですが、自分の間違いは放っておいてなんだかな・・とは思うものの、放置する羽目になったのは結局自分の至らなさですから仕方が無いと・・この一年で最も忙しい時期に長文を書いていることも含めて、
「まぁ・・いいか・・」
と思っています。
で、実際にはとてもエレガントで美味しい・・これも記載は無いですが「ブラン・デ・ブラン」です。「シュイィ」のニュアンスも判りやすいと思いますよ。もし比較できるとするなら、
「ドン・ペリニヨン」
が良いかもしれません。
あちらは単一では無いですが、比較若いミレジメも手に入りますし、シュイィの葡萄がかなり使われているはずです。
なので、
「・・この際、ドンペリと比べてみよう!」
とかでも・・自分の中で持っていると、開けた時により楽しめるんじゃないかと思います。ご検討くださいませ。