
軽薄短小のこの時代・・駅近くのマンションに済み、用事はほぼコンビニで済ませ、自分の時間を大事に・・
ほぼ歯車的人生で何をやってるのかとお悩みの方も多いかもしれません。
でも昔はそうじゃなかった・・。感じるのは忙しさ・・と言う時もあれば、時そのものを感じ、もしくは時そのものが何かを造る・・そう思えたはずです。まさにワインも日本酒もそして人間も、「時」が大事だったんです。
今や自分の時間を売り渡して生活して行くことに慣れてしまった我々は、その時間の単価を上げることか、もしくはその時間を収入減にならないように短くすることに力を入れています。
例えば味噌も醤油も・・即席に造って大量に売る・・これは時間とコストを大きく減らします。
でも、時間こそが味わいの大きな要素でも有りますから、即席なものはやはりどこか本物でない・・ようなニュアンスを感じてしまいます。
日本酒も同じです。実際の仕込み期間そのものは変わらないんですが、そこから市場に出るまでの時間はどんどん減っています。
間違った知識から・・
「何でも新鮮なものが美味しい!賞味期限と消費期限が大事!」
とばかりに、お客様は日本酒も日付の新しいものを購入したがります。・・それ、間違ってますよ。
昔は「古酒」が尊ばれたものです。深い味わいがあるから・・です。そしてその古酒は、新しいもの・・新酒とブレンドされ、その蔵の味わいに成ったところで出荷されました。今でも日本酒に賞味期限、消費期限は有りません。ワインもそうでしょ?・・でも、誰も大手のウン百円のワインをたった5年でさえ寝かそうとしないですよね?・・もし知識が全く無ければ、そんな安くてどうにも品質の悪いワインを後生大事に10年も室温貯蔵してしまうかもしれませんね。それでも全く飲めないということは無いでしょう・・激マズいでしょうけど。
しかしながら、ちゃんと仕込んだ日本酒は保存を間違えなければ無限とも言える長い生命を持っています。酒蔵も新酒は新酒として、華やかさを売りにすることも有りますが、昔は少なくとも半年以上寝かしたものです。長いところは1年半、もしくは古酒を保存しておき、比較新しい酒とブレンドして蔵の味を造っていたものです。時間を経た日本酒は、滑らかさとコク、複雑さを手に入れるんです。20年前の吟醸を今年の正月も飲みましたが、やはり旨いですよ・・。山ほど冷蔵庫に有りますが店には出してないです。
でも今の蔵元さんはもう・・仕込み始めて3カ月で普通に出荷です・・。大手さんの、まともな醸造をしていないものは(パック酒とか)、もっと短いです。そうやって時間=経費を節約しているんですね。
飲んでいただければ判るでしょう。このお酒は本物です。火入れはアルコール分16度ですが、仮に氷を入れて飲んでも・・全然OKです。そんなヤワではありません。また暖めても旨いです。でも暖めすぎるとチト辛いです。ご注意ください。味わいは濃密複雑ですが全く甘くありません。非常にドライ・・でもエキス感が凄いです。
また吟醸ほどに米も磨いています・・が、火入れは吟醸特有の香りはほぼ有りません。含み香に一瞬、吟醸香を感じるかもしれませんが、すぐに判らなくなるでしょう。華やかな香りで飲むタイプではありません。
無ろ過生原酒は加水調整(ほぼ)無しのアルコール分18度です。本生新酒ならではの新酒花と言われる香りと滑らかな舌触りです。そのままでもロックでも旨いです。お好きな「水」をご用意され、10%ほど混ぜるとアルコール濃度は昔一般的だった1級酒と同様になります。四季桜の酒は元々非常にしっかりしていて、加水しても「腰砕け」にならないので、20%ほど足しても全然へっちゃらです。
ここの蔵の酒の味わいは昔からほとんど変わっていないように思います。悠久の時を感じたいとき・・こんな本物の日本酒とささやかな肴で一杯・・いかがでしょうか。