
ワインの味わいの評価と言うのは中々に難しいもので、そのワインを飲む人にとって美味しく無ければ、そんな評価は何の意味も成さないんですね。
noisy も随分とそんな「評価」と言うことについては考慮し続けたことが有りますし、今なおその場にいることで、
「これで良いのかな?」
と感じつつ仕事をしています。
例えばこのヴァンサン・リカールの愛くるしいワインも、どのように表現するかでお客様の捉え方も変わって来てしまうと思うんですね。ただでさえ、葡萄の水分過多・糖分不足を補うため結果、酸が乏しくコアが定まらず、焦点ボケしたものが多い我が日本のワインも、それだけしか言わなければ問題でしょうし、さりとて海外産のワインとの比較としてのその部分は、逆に言えば「優しい味わいのワイン」とも言える訳です。
ただし、正しい世界観と言う観念からものを言わないといけないことも求められますし、さりとて自分でさして気に入っていないものを、さも心から素晴らしい!・・などとしてしまうことなどは・・まぁ、その人にも拠るのでしょうが、したく無いものです。
例えばこのソーヴィニヨンですが、非常に軽やかでふわっとした僅かな甘みを感じる爽快な味わいです。言ってみれば、フランス人たちが、
「ソワフ」
と言う普段飲みの軽いワインに似た感じで、さらに言うなら、
「軽量ドライなサンセール風」
なワイン・・が一番近い表現かな・・と思います。
ですが、ポテンシャルがどうこう・・と言うようなクラスのものでは有り得ず、しかし、多くの日本のワインがそうであるように、酸不足、ボディ不足には陥るまで行かない・・と言うのが正しいかな・・と思うんですね。
また、自然派のワインに在りがちな、「揮発酸」の生成は無く、ピュアでそこそこにナチュラルな風味を楽しめます。魚介類との相性も良い感じですし、
「ほんのわずかですが甘みが有るので結構に冷たく冷やしても味わいが沈まない」
と言う利点も有ります。
こんなワインも必要だと思うんですね。昔は絶対やらなかったと思いますけど。少しは人間が丸くなったのかもしれない・・退化してるとも言えますが、
「ポテンシャルを言うだけに陥らないようにしよう」
と思っています。エレガントで良いと思いますよ。でもほんの少しでも甘みが有るとダメな方には向かないかもしれません。ご検討くださいませ。
P.S.ヴァンサン・リカールの美味しいペティアンはシャンパーニュ&泡ものページに掲載しています。
ShinMem_Now_8.shtml#13537