
デ・ザムリエのヴォークリューズの白です。I.G.P.ですから昔のヴァン・ド・ペイのクラスに該当するかと思います。
ヴォークリューズとは、また日本における「県」と同様です。ここには、シャトーヌッフ・デュ・パプ、ジゴンダス、ヴァケラスなどのA.O.P.が有ります。
実はシャトー・ラヤスの「シャトー・デ・トゥール」も、ドメーヌ・デ・ザムリエから・・本当にすぐの場所にありまして、どうでしょう・・5kmほどしか離れていないんじゃないでしょうか。
面白いのは、ちょうどこの2つのドメーヌの、川を挟んだほぼ対岸が「シャトーヌッフ・デュ・パプ」なんですが、google マップで見てみると・・シャトーデ・トゥールもドメーヌ・デ・ザムリエも・・畑は全体的に白っぽいんですね。そしてあんまり傾斜が無い・・有っても坂の斜度が大きくないんです。
で、対岸の(少し南になりますが)シャトー・ラヤスを見に行くと・・傾斜が結構に有って「全体的に茶色い」んですよ。そして何かすごく乾いているように見えるんですね。ヴォークリューズが湿っぽく見えると言うことじゃないんですが、東南に開けた傾斜の厳しいシャトーヌッフと、北西に開けた傾斜の少ないヴォークリューズ..と言いますか、ヴァケラス、そしてその周り・・と言うことになります。
そんなことも有りまして、ヴァケラスはずっとコート=デュ=ローヌ・ヴィラージュと言う格付けでした。1990年でしたか・・間違っていたらすみません。その頃にようやくヴァケラスを名乗れるようになったんですね。で、このワインの畑はヴァケラスを名乗れないので、ヴォークリューズになっています。

ラヤス、シャトー・デ・トゥールのヴォークリューズは、熟成させてからリリースされることも有りますが、ほぼ完成品として・・しかも以前のヴァン・ド・ペイクラスのヴォークリューズとは、とても思えないような、物凄い官能感のある妖艶な味わいで素晴らしいですよね。
ですが、こちらのドメーヌ・デ・ザムリエのヴォークリューズ・ブランは、
「全然違う個性」
です。
ほんの僅かに樽は使っているかもしれませんが、イノックス使用のとてもピュアな味わいです。フレッシュ感も有ります。華やかなフラワリーなアロマに若い果実が中心です。良いのは、暑い地域の白ワインですが、重厚では無いにせよ、バランスの取れた「酸」がしっかり有ることです。しかも「甘さは無くドライ」です。
それでいて後口が「シャバ」くなってない・・。薄辛くはならないと思うんですね。
なので、デイリーワインとしますと、ヴァン・ド・ソワフ的に喉に流し込める感じが良いです。なんでもかんでも・・どんなシュチュエーションでも重厚な白が良い訳では無いでしょう?軽やかさの有るピュアワイン、是非常備されてください。お勧めです。
以下は以前のレヴューです。
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【ピュアで中軽量級です。バランスに優れる自然派!】
こちらの白もハツラツとした元気の良さが伝わってくる非常にバランスの良い、重く無い白です。
「十年前のティエリー・ピュズラがローヌでデイリーな白を造ったらこんな感じかな?」
などと思っちゃう感じです。
もっとも十数年前・・2000年以前になると、ピュズラのワインももっとずっとナチュラルで、濁っていて、しかもガスが多分に有って、時に吹いて日本に到着してボトルの半分しか入ってないとか・・・
だから、ガスでコルクが飛ばないように紐で瓶口を縛って出荷!・・みたいな今じゃ全くのコントみたいなことをやっていました。ナチュラルだけれど洗練はされていなかった・・でも、何ものにも変えがたい「旨み」「自然の風味」が有ったと思います。そんな時代のピュズラでは無く、もっと洗練されて来てからの時代のものと、少し似たニュアンスを感じます。
重みの無い、軽やかな味わいに、柑橘系の黄色や白のフルーツ、軽やかなスパイス、鉱物系の香りがエレガントです。ローヌの白は酸が緩い場合が多いですが、こちらは酸っぱくならない程度にバランス良くしっかりしています。少し暖かくなってきたので、こんな「ソワフ」な白ワインも良いですよ。
ビオ(ロジック)系であっても、危険なニュアンスの無い「ピュア系」のワインです。是非デイリーにご検討くださいませ。