● 今、最大の話題を得ているであろうレコルタン・マニピュランをご紹介します。ジョルジュ・ラヴァルです。
世界を席巻した近代農業による化学肥料、農薬とは全く無縁の、古から続けてきた昔ながらの農作業でシャンパーニュの葡萄を得ている造り手です。
まぁ・・「ジョルジュ・ラヴァル」でネット検索すると元読売オンラインの山本昭彦さんの「日本で飲めるだけで幸せ、ジョルジュ・ラヴァルのキュミエール・ブリュット・・」のページがご覧いただけるかと思います。今をときめく「ローズ・ド・ジャンヌ/セドリック・ブシャール」を超えているかもしれないと言われるくらい素晴らしい造り手です。
ですがnoisy のところには暫し供給のお話しがいただけず悔しい想いをしていましたが、今回少量ながら、非常に貴重なボトルを分けていただけました。

ヴァンサン・ラヴァル
ジョルジュ・ラヴァルは、エペルネから北西に約4km、マルヌ川右岸のキュミエール村にあります。畑は太陽の日差しを存分に受ける白亜質の土壌で、すり鉢状になった丘陵の南向き斜面にあります。現当主のヴァンサン・ラヴァルは、1996年からメゾンを後継し、わずか2.5 haの畑に全精力を注ぎ、年間約1万本のシャンパーニュを生み出しています。自然の恵みや職人の温もりを味わいで感じてもらおうと、出来る限りピュアでナチュラルな造りに取り組んでいます。
1971年にBioの認証「Ecocert エコセール」を取得しましたが、それ以前の曽祖父の時代から農薬、除草剤、化学肥料は一切使用したことがありません。(当時はこれらの近代技術を使用しないやり方は、周りの生産者から時代遅れだと思われていたそうです。)
ブドウの樹の健康、品質とボリュームの微妙なバランス、そしてテロワールをアロマで表現することは、土壌に由来するところが大きいため、ブドウの樹に最低限必要な自然堆肥(コンポスト)を施すなど、念入りに畑を手入れする必要があります。畑の約40%は馬を使って耕作し、土壌が呼吸できるようにし、草刈りも手作業で行っています。また、ブドウの樹を寄生虫から守るためには、植物や天然鉱物、無害なバクテリアを調合したものを使用しています。ブドウは、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエ、シャルドネの3品種で、畑の半分以上は樹齢30年以上、中には樹齢80年以上の古木も含まれます。
毎年4月に行われるシャンパーニュの若手RMの会に2013年からヴァンサン・ラヴァルも加わりました。ダヴィッド レクラパールやシャルトーニュ・タイエらも加入しているグループに今年からヴァンサン・ラヴァルも加わり、ランスの大聖堂で行われた前夜祭では、世界各国の輸入業者やジャーナリストを前にマグナムのロゼを供しました。それは素晴らしく開いており、熟したイチゴ、ラズベリーやスミレなどの香り高い花のニュアンスで、今回の約20生産者の中でも際立って高い評価を得たのです。

ラヴァルへの質問
1)キュミエールのテロワールとは?
マルヌ川に面した南向きの斜面で、日差しが多く、ブドウの熟すのが早いことが特徴。マルヌ渓谷だけでなく、シャンパーニュ地方全体としても最も早熟な村の一つと言える。30㎝ほどの表土(レ・シェーヌは泥土と粘土質、オート・シェーヴルは粘土質の割合がより多い)に覆われており、地下はシャンパーニュならではの白亜質の土壌。
2)馬の耕作とカバークロップ(草生栽培)の効用は?
重いトラクターだと土壌を踏み固めてしまうが、馬での耕作は、程よく土壌をほぐしてくれる。馬での耕作はトラクターでの作業の2倍の時間がかかる。
ブドウの樹々の列の中央は草を生やし(馬の通り道以外の部分)、各年の気候に応じて、草を生やしたままにするか刈り取るかを見極め、ブドウの樹と競争させたり、共存させたりする。例えば2004年は、収量が多いと事前に予測された年であったが、この年はわざと草を生やしたままにして、ブドウの樹と競争させることによって、自然に収量を抑えることができ、わざわざ青摘みの作業を強いられることはなかった。
3)樽でマロラクティック発酵をすることの効用は?
樽でアルコール及びマロラクティック発酵を行うが、樽であれば、わざわざ温度をあげる(調整する)ことなく発酵を促進することができる。またミクロオキシジェナシオンの効果もある。
4)ロゼはセニエとブレンドの両方の方式で造るようだが、ヴィンテージによってどのように使い分けるのか?
2006~07年頃までは赤ワインと白ワインをブレンドしてロゼを生産していたが、08年以降はセニエに転換。ブレンドよりセニエの方が、熟成に耐えられるし、抜栓してからの耐久性もあると感じるから。

5)リザーヴワインの使い方に原則はあるのか?
2013年以降は、キュミエール・ブリュット・ナチュールも単一収穫年で仕込まれている。なぜなら収量が少なかった2012年に、リザーヴワインをすべて使ってしまったから。幸い2013年以降の収穫は品質にも恵まれ、リザーヴワインに頼る必要はこれまでのところない。2013年以降新たに準備しているリザーヴワインは、毎年注ぎ足すへレス式のもので、新たなキュヴェのために使用する予定。(2014年まではネゴシアンに販売していたChambrecyシャンブルシー村にある畑のブドウで、2015年以降は、自身用に新たなキュヴェを仕込む予定。)
6)ノンドゼのシャンパーニュは熟成するか?
ドザージュは最終的な「調整」であり、最初から「生(き)」でバランスよくすべての要素が整っていれば、ドザージュする必要はなく、「生」で完全な姿だからこそ、熟成に耐えられると考えている。例えばレ・シェーヌ2004年をドザージュして熟成したと想定すると、ドザージュした部分がかえって欠点として浮き彫りになってしまうだろうと想像できる。
7)エルヴェ・ジェスタンとのプロジェクトはまだ続いているか?
数年前までは、エルヴェ・ジェスタンはブノワ・マルゲとともにラヴァルのブドウジュースを購入し、同じものでマルゲの「キュヴェ・サピアンス」とジェスタン自身のキュヴェを仕込んでいたが、現在はジェスタンとマルゲが別々に造り始めたため、マルゲだけに販売している。一方、エルヴェ・ジェスタンが入手したキュミエールのクロ(壁に囲まれた小区画)の手入れを任されている。