
残念ながらほとんど知らない造り手さんです。クロ=ヴージョに地所が有って、それをドメーヌ・デ・ヴァロワーユとドメーヌ・ダニエル・リオンに貸して収穫折半で得ていたことだけです。でも
「結構・・いや、それなりに・・旨いよ・・」
と友人に聞き、それじゃぁ・・とエージェントさんに分けて貰ったワインです。1995年と1996年が数ケース有るとのことで、友人は、
「いや・・1996年のブル・ピノって、酸が立ってて中々開かないじゃない。だからうちは1995年しか扱ってないけどね。」
とのことでした。
noisy も結構迷ったんですが、結局両方飲んでみることにしたんですね・・。そうしたら、ヴィンテージのキャラクターがちゃんと出ていてとても面白かったです。で、意外に・・
「・・おっ・・そんなに悪くないじゃん・・」
と思ったもので扱わせていただくことにしました。
ただし、勘違いしないでいただきたいので、最初にお断りしておきますね。
「個体差は多分に有り(だと思う)」
「全然凄くない(確かに・・)」
「でもとても美味しい(・・と思う)」
そんなシャンボールなんですね・・。
で、さらに面白いのは1995年と1996年のキャラが、
「面白いほど似てなくて被ってない!」
んですよ。
是非色合いなど、比較してご覧ください。

どうでしょう・・上の写真が1996年です。グレートイヤーと言われつつも、中々良い感じにならず、20年経過したけど・・と言うヴィンテージです。そして下の写真が1995年です。
色合いはどちらも濃くなく、エレガントな淡い色合いをしています。1996年の方が赤い色合いがしっかりしていて、1995年はやや黒味が入った色合いと言えるでしょうか。
1996年のシャンボール=ミュジニーは、とても軽やかでエレガント、チャーミングな酸と滑らかな味わい、そしてブケがまだ小さく赤いチェリーを思わせるものが主体で生き生きとしています。全然濃く無く、しかし懸念された酸っぱさも無く非常にバランスに優れ、実に旨いです。葡萄が健康的に育まれたヴィンテージで、むしろ2005年に似た健康さ、健全さが感じられ、とても美味しくいただきました。
1995年のシャンボール=ミュジニーは、1996年のような軽やかさも無くは無いんですが、むしろ「重量感」「骨格のしっかり感」が主体に感じられます。わずかに入った黒味の色合いにその部分が投影されているようです。なので、シャンボール的要素にモレっぽさが加わったようなニュアンス・・と表現すれば良いかもしれません。
友人は、「1996年は飲んでないけど心配だから・・」と言ってましたが、個人的にはエレガントで雅で軽やかな1996年が好みですね。1995年も好いけれど、1996年より1度~2度、品温が高い方がエレガントさが増し、重量感として感じられる要素が開きやすくなってより良いかと思います。
意外にも、頭で考えるより実際に飲んで美味さを得られたワインでした。まぁ・・リリース時は硬くて平板でさしたることのないワインだったでしょう。それが20年の時を経て、ようやく各要素が本領を発揮しはじめたかと思います。
どちらもこの位のプライスですので、とてもリーズナブルかと思います。ポテンシャル自体に感動はしないけれど、実に楽しい、美味しい時間をくれるワインです。ご検討くださいませ!