● フーリエの2018年をご紹介させていただきます。2018年もののフーリエは日本でのインポーターさんの扱いが若干増えまして、3社ほどだったものが5社ほどに増えたようです。
ただし増えた扱いの多くは「ネゴスもの」が中心のようで、珠玉のグリオット=シャンベルタン、クロ・サン=ジャック等が新規参入社分に入ったかまでは不明です。

また仕上がり具合につきましては、このところ数年のベンチマークにしている「ジュヴレ=シャンベルタンV.V.」を飲む限りにおいて、
「何も言うことのない素晴らしい仕上がり!」
ですし、海外メディアからも2017年まで以上に高い評価を受けています。
例えばかのマスター・オブ・ワイン、ティム・アトキン氏は、ジュヴレ=シャンベルタン・クロ・サン=ジャックとコンブ・オ・モワンヌに「97 Points」、グリオット=シャンベルタン、シェルボードに「96 Points」と言う・・ちょっと呆れるような評価をしています。
そしてシャンボール1級レ・グリュアンシェルに「94 Points」、そしておまけに村名モレ=サン=ドニ・クロ・ソロンと、noisy のベンチマークアイテムである村名ジュヴレ=シャンベルタンV.V.にまで、「93 Points」 と大盤振る舞いです。
また、そんな評価はティム・アトキン氏だけなんじゃないか?・・と思われるかもしれませんが、アドヴォケイト誌もグリオット=シャンベルタンに「94~96 Points」の評価ですし、ブルゴーニュワインに厳しいアレン・メドゥズ氏でさえ、村名ジュヴレ=シャンベルタンV.V.に「89~91 Points」、ヴィノスも「90~92 Points」ですので、大きく異なっている訳でもありません。
そんな評価を見てみますと、クロ・サン=ジャックの非常に高い評価は長く不滅です。これは樹齢の高い樹が多いためかと思います。しかしながら、コンブ・オ・モワンヌもクロ・サン=ジャックと同じ「97 Points」ですから・・これはちょっと驚きですし、シェルボードもグリオット=シャンベルタンと同じ「96 Points」ですから・・
「・・一体どうなってるの?」
と言う疑問にも近い感情が生まれてしまいます。
でも、そこにはおそらく村名ジュヴレ=シャンベルタンV.V.2018年の味わいの中にも答えがあると思います。詳細はコラムにてご覧いただきましたら、
「やっぱり2018年フーリエは欲しい!」
と言うお気持ちになるんじゃないかと想像しますが・・それはきっと正解でしょう。是非ご検討くださいませ。毎年入荷数が減ってしまい困ってはいますが・・やはり、
「やっぱりフーリエはフーリエ!・・フーリエに近い味わいの造り手はいない!」
と、再確認しました。
(2020.11.05)
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フーリエの2017年をご紹介します。フーリエのワインを扱わせていただいてからほぼ20年ほどになりますが、やはり毎年待ち遠しい造り手です。
実際に日本でブレークしたのは2009年ものから・・と実感していますが、個人的には2006年ものを飲んで、
「今までのフーリエとは大きく違う!・・もの凄い表情とポテンシャル!」
と感じ、そのとんでもないオファー数量を仕入れることにした訳です。
また、リアルワインガイドで徳丸さんも2007年ものを飲んで驚かれ、
「凄い。もうともかく凄い。フーリエのワインが凄いことになっている・・」
で始まる造り手紹介の文で激賞し、また村名ジュヴレ=シャンベルタンV.V.2007年には、
「へたをすればグラン・クリュ・レベル」
と持ち上げました。

言ってしまえば、noisy 的にはそれから2年して、日本で大ブレークした・・と言う理解ですね。・・だって2007年も2008年ものも、インポーターさんレベルでは沢山余ってましたから・・、noisy はその余ったフーリエ2008年を、しこたま拾いまくっていた訳です。
それからどうでしょう・・8年ほど経過した2017年が入荷して来ました。以前ほどの滅茶苦茶な引きの強さでは無くなって来たか・・とは思います。ワインファンの方々もそこそこに飲まれたでしょう。そして大ファンになった方、アンチになられた方、さらには、大ファンだったが飲んで行くうちにアンチになられた方・・(^^;; またはその逆もいらっしゃると思います。
先日、昔からのお客様が、長くnoisy の店に寝ていた2005年のクロ・サン=ジャックを・・そう、この間、しら~っと新着に出した、アレです・・、早々に飲まれたそうです。
長くフーリエファンでいらしたのですが、この数年はだいぶ熱も冷め、2015~2016年ものはスルーされたようです。しかし、その長く寝ていたクロ・サン=ジャックを仲間と飲まれ、その余りの素晴らしさに驚き、冷めていた熱が再び燃え上がって来たようでした。
やはり、全てのワインには飲み頃が有り、またそれに合わせた「飲み方」も有ります。その「刹那を切り取った飲み方」は、個人の自由、やり方と言う観点からは正しいのですが、ワインに合わせず、自身の形に合わせた飲み方だけをした場合には、結果的に失敗してしまうことも大いにある訳です。
2005年のクロ・サン=ジャックは、収穫から14年目を迎え、かなり飲み頃に近付いていたと思われます。きっとかなり美味しかったんじゃないかと・・想像します。ちょっと妬けちゃいますが・・(^^;;
2017年ものが全て到着し、結局滅茶少なかった2016年ものとほぼ同様か、ほんの僅かに増えただけの数量で到着しました。
到着早々のA.C.ジュヴレV.V.のテイスティングになりましたが、いや~・・完璧です!・・到着直後で荒れているのに・・凛々しく、美しく、偉大です。
もし、早々に飲みたいので有れば、少し休めて飲むのが良いです。1~2年、寝かせて飲もう・・などとは思わない方が良いと思います。その際は、
「どうやったら少しでも開かせることが出来るか?」
を知っていらっしゃる方か、その努力を出来る方限定です。
1年以内に飲む方が、よほど簡単に美味しく飲める可能性が高いんです。中途半端に寝かせて、開かせることが出来ないと、一番硬い状態で飲むことになり、結果として「アンチ・フーリエ」になってしまうんです。
2017年のフーリエは、相当に凄いヴィンテージだと確信しています。まさに熟練の域に達した「手練れ」の見事な味わいです。
先だってご案内出来た、ネゴスものの2017年ラトリシエール=シャンベルタンV.V. は、デキャンター誌(ティム・アトキン氏)により、
「TOP QUALITY 97 PINTS」
を得ています。これは今回、僅かにご紹介出来るクロ・サン=ジャックV.V.、グリオット=シャンベルタンV.V.と全く同様の評価です。
今回テイスティング出来た・・と言うか、もう20年近く基準、定点観測として飲み続けているジュヴレ=シャンベルタンV.V.の2017年を飲めば、
「フーリエこそジュヴレのトップ生産者!」
で有ると思わざるを得ません。
A.C.ブルも今回はまぁまぁの数をいただけました。上級キュヴェは僅かです。是非ともジュヴレの「トップ・クオリティ」をお確かめいただけましたら幸いです。

栽培はラ・リュット・レゾネを採用。農薬は主に低濃度の硫酸銅を使用。肥料は遺伝子組み換えでないものを2~3年に1回撒いている。剪定は集団選抜クローンに適しているギュイヨ仕立て。株が均一化するとワインの複雑味が損なわれるとの考えから、市販のハイブリッドクローンは用いない。収穫量を制限するため摘芽は非常に厳しく行う。収穫は、収穫人を急がせず、ゆっくりと選別しながら摘み取りを行わせ、またカビが飛び移らないよう手洗いも励行している。
収穫果は100%除梗し半分だけ破砕。低温浸漬は自然の温度(朝の収穫果の温度)で3~4日行う。マストが15℃を超えるときは温度を下げる。自然に任せて発酵を開始し、発酵開始直後と末期に液循環、最盛期には1日4回手作業によるピジャージュを組み合わせ、トータルの発酵期間は18~20日間。熟成は、新樽は多用せず20%程度の使用に留める。18ヶ月の熟成中、澱引き、清澄、フィルターも一切行わない。
ドメーヌについて:
ジュヴレ・シャンベルタン、モレ・サン・ドニ、シャンボール・ミュジニー、ヴージョに9.5haを所有し、その内1級とグラン・クリュが70%程度を占めます。現在の当主は1971年生まれのジャン=マリー・フーリエ氏。ボーヌのワイン農業学校を卒業後、ブルゴーニュ大学の醸造講座に通いました。1988年には半年間アンリ・ジャイエで研修、その後父親の元で修行を積み、1993年オレゴンに渡りジョセフ・ドルーアンでアメリカのピノ・ノワール造りを学びました。1994年の帰国後23歳の若さで父の跡を継ぎ、自ら「テロワリスト」と名乗り、醸造にテクニックを求めず、自然を支配することを好みません。高度な技術に頼らず、自然に任せていた20世紀初頭のヴィニュロンの流儀の再現を目指しています。
ネゴシアンについて:
ネゴシアン事業は、高品質の葡萄であること、ドメーヌ生産量の3割を超えないことを自らに課し、2011年ヴィンテージが初リリース。これらのワインは、ドメーヌワイン同様のフィロソフィーで選ばれ、造られており、ジャン=マリー氏曰く「新たに養子に迎えた子供のような存在」なのです。