
たった1%程度しか輸出されていない・・とされていたサヴォワのワインです。昨今は軽快な泡のビュジェ・セルドンが人気ですので、だいぶ増えているかもしれませんが、元々はビュジェは「ブルゴーニュ」の管轄でしたので、若干違和感もあるかもしれませんが、それでも、
「サヴォワのワインはなんちゃらかんちゃら・・」
と能書きを垂れられるのは、試験のお勉強で習ったことを思い出すことが出来る一部のソムリエさんくらいでしょう。
因みにこの「ルーセット・ド・サヴォワ」と言うアペラシオンは「白ワインオンリー」ですので、敢えて「Blanc」とは記載していませんのでよろしくお願いします。さらに因むと、このルーセット・ド・サヴォワで使用できる品種は、近年の変更がなければ、
「シャルドネ」
「アルテッス(ルーセット)」
「モンドゥーズ・ブラン」
です。ただ、このアルテッスを使用したもののみがルーセット・ド・サヴォワになっている可能性が有ります。何せ、ルーセット = アルテッス(アルテス)ですんで。
位置的にはスイスに非常に近く、ジュネーヴやレマン湖まで至近の距離です。
で、色合いを見ていただきたいんですが・・どうでしょう・・官能的で複雑性高そうな色合いをしていると思いませんか?・・このアルテッスによるワイン、非常に素晴らしいんですよ。
先だってジュラのサヴァニャンが大好評をいただきまして、
「えっ?・・そんなに?」
と思ってしまうくらい・・販売させていただきました。
しかしながら、かなり軽いとは言え、「産膜酵母由来の香り」が有った上での、めちゃくちゃ高ポテンシャルなワインでしたので、
「凄い!素晴らしいワインを紹介していただき、有難うございました!」
というような賛美のお声と、
「ん~・・確かに凄いポテンシャルは感じるけど・・どうなの?」
というような今一つ・・と言う中間層のご支持のお声、そして、
「このワイン、壊れてます!」
「ブショネじゃないでしょうか?」
「コンディション悪い??」
というような不支持派のお声もいただきました。最も大半は支持、中間層だったんですが、やはり、
「産膜酵母由来の香りに慣れていない」
ことが、そのような不支持になったと思います。実際、コメントを求められ、もう一度改めてそのサヴァンに正対された方は、
「非常に美味しかった・・美味しいと思えた。最初はワインが壊れていると思ったが・・」
とおっしゃる方もいらっしゃいました。
実際、あのサヴァニャンに関しては、実は産膜酵母由来の香り(いわゆるノワゼット香など)は、非常に弱い方でして・・、その上でのポテンシャルが物凄いワインなんですね。なので、出会った経験が少ないとどうしても、
「・・これ・・大丈夫か~?」
みたいに思ってしまう方もいらしたのでしょう。あのサヴァニャンに関しては、
「通常の酸化の香りで有れば問題あり」
で、
「通常の酸化の香りで無ければ問題無し」
が正解だったんですね。
勿論ですが、ブショネだった可能性はゼロは有りませんが、あの産膜酵母由来の香りにブッションの香りが混ざり、それを嗅ぎ分けるのは結構難しいんじゃないかとも思ったりします。
違うワインの話が長くてすみません。結構関係無いとは言えないほど、サヴォワとジュラは「近い」ものですんで・・。でも、
「このコンテッスには産膜酵母由来の香りは無し!」「その上で、張り詰めていて、グラッシーなミネラリティが高く、複雑性が高い高質な白ワイン」 と言う、これまた非常に嬉しい、しかも早々は出会えないと思えるようなピュアさと美しさ、そして「ビオ」なのに、その内に有る危険な方向性はワインの中に含有せず、ただナチュラルさだけをほんのりと感じさせてくれるという・・ブルゴーニュワインファンにとっても非常に好ましい味わいと香りに仕上がっているんです。濃密そうな色合いをしているでしょう!?・・そう、非常に濃密です。しかもドライなんですよ。残糖的甘さには全く頼っていません。
また、完全エキスの非常に滑らかな味わいですので、甘味はゼロに近くてもエキスの旨みがしっかり有ります。
それは、バリックは使用せず、大樽によることが寄与しているのでしょう。そもそも、
「アルテッス?・・ルーセット?・・何じゃらほい?」
と言うことになるのでしょうが、むしろ、
「高質なシャルドネと区別が付かない。」
と言って良く、地の個性には染まるが品種の表面上の個性が乏しいシャルドネとほぼ同様の個性と言って良いと思います。品種の個性かどうかは分かりませんが、わずかに赤っぽい、もしくは橙色に近い、薄い果実のニュアンスも有ります。
ボーヌの高級シャルドネと比較しても遜色は無く、むしろ若い時の滑らかさはこのルーセット・ド・サヴォワの方が感じられると思います。ミネラリティは非常に高く、ただ組成はムルソー的な不透明感の有る大理石風では有りませんで、ガラスとかクリスタルとかの透明感が有るものです。そこにみずみずしい、潤った感が加わります。甘くなく、非常にドライです。
現時点で飲んで非常に旨いです。10年以上に渡り上昇するほどの可能性も有ります。ぜひ飲んでほしい・・一推しの白です。あまり数が無いので・・お早目にご検討くださいませ!