
ヴェネトの赤ワインと言うと、ヴァルポリチェッラのようにやや暗い色合いをしつつ、重量感がそこそこ以上に有るしっかりしたストラクチャーのワインを想像するかと思いますが、イル・カヴァッリーノはソアーヴェやガンベッラーラに近いロケーションで、ガッシリしている・・と言うよりは、透明感の有る柔らかで愛らしい方に向いています。
このところのオータさんのパワーは物凄くて、1200本ほど入っても一瞬で消える・・とのこと。まぁ、2千円でこのパフォーマンスを見せてくれるとすれば、個人のお客さんも、また料飲店さんにも「受け」が良いのは理解でsきますね。以前は2千円ほどで充分満足できる自然派ワインが沢山有りましたが、現況は1.5倍以上、3千円は出さないとこのクラスの味わいにたどり着かないと思います。
まぁ、その分・・3千円から5千円の間のワインが濃密な分布をしていて、時折 noisy もビックリするようなパフォーマンスを見せるワインが散見されるようになってきました。
そう言えばワインショップをやっていると、必ずご来店のお客さんに聞かれることが有ります。
「こんなに在庫が有るなんてビックリ!・・海外に買い付けに行かれていらっしゃるんですか?」
と・・。
なので・・
「・・そんなことしません・・と言うか、とても出来ません・・。分業制ですよ・・。ワインを見つけて仕入れる人と、そのワインを飲んで判断して売る人・・。うちは後者です。」
のようなことをお返事してると思います。
自分でもし海外に買い付けに行ってたら、とんでもないことになってしまいます。良いワインを見つけたとしても、仕入れられるかどうかは判らないですし、ほとんどの場合、コネが無いと厳しいです。勿論・・大手さんは別ですが、とんでも無い量の仕入れを求められますし・・味わいは今一つですし・・。時間と体力を思いっきり使ってワインを見つけるより、輸入されたワインの味わいと品質を判断する方が、早いし安いし論理的かな・・と思います。
と言うか、そんなことしてたらワイン屋さんは出来ません・・。よっぽどの資産家でも資産をどんどん食い潰してしまうのがワインの世界なんです・・。
なので、こんなにリーズナブルで外交的で、適度な深みが有り、ナチュラル&ピュアな中量級の赤ワインは見つけるのはとても困難でしょう。オータさんも良くやりますよね・・と言うか、やっぱり人的交流の成果かな?
プラムやベリーの果実がムチムチとしたテクスチュアで感じられます。So2の存在感の無さも感じられますし、ミネラリティは重いものは余り無く、フィルムのように軽快です。スパイス感も軽く、ジーンと下から響いてくるものはほぼ無いです。柔らかに膨らむ中域と中盤、余韻はプラムっぽい果実感を持ちつつ、結構しっかり長いです。ほんのりとナトリウムっぽいようなミネラル感を感じさせつつ無くなって行きます。良いワインです。
やや低めの温度でも味が沈まないので、夏のワインにも行けるでしょう。是非飲んでみてください。お勧めします!