急な成長を感じさせる2022年のアラン・マティアスですが、彼のトップ・キュヴェのこの1級ヴォ・ド・ヴェイは2021年ものながら、

「さすが1級！・・シャブリならでは！と思わせるミネラリティとただならぬ質感を感じさせてくれる！」

と思っていただけると思います。

　2022年はシャブリの大当たりのヴィンテージと言われ始めていて、

「直近10年で過去最高のグレートイヤー」

だと喧伝されています。

　なのでこの2021年ものの出来の素晴らしさは、ヴィンテージの恩恵によらない・・訳ですね。ですので間違い無く・・アラン・マティアスの試行錯誤が良い方向に向かったためなのか・・と思っている訳です。

　ただし他のコラムでも書かせていただきましたが、近年の温暖化に対応するためにかなりの試行錯誤をしている・・との情報を得ました。そしてネット上で見つけることが出来るアラン・マティアスのドメーヌでの画像を見ると、

「・・アンフォラやら・・陶器やら・・あれ？・・フィネスさんのホームページの画像も良く見ると、地球型？のステンレス製の小さな容器も？」

と、今まで気付かなかった情報に当たったんですね。

　そもそも大昔は、シャブリと言えば・・

「グラ・クリュなら8～10年、1級なら5年は寝かさないと・・」

みたいな感じでした。それが徐々に短くなり、そして・・

「リリース直後から結構旨いよ」

と変わって来た訳ですね。

　さらにはブルゴーニュ最北、しかもシャンパーニュ地方は目と鼻の先と言う地区ですから、昔はなかなか熟さずに補糖するのが当然・・みたいな感じだったものが、

「葡萄もしっかり熟すようになった！」

と言うことも有って・・それがリリース直後から旨い！・・と言うことにもつながったような気がしています。

　2020年も旨かったですが2021年は過去最高の出来、ドメーヌの10～20年後の姿を想像したくなる味わいです。因みにフィネスさんのホームページの画像も上に掲載しておきますね。

　とても凝縮していて、ほのかに漏れて来る表情は、シャブリ・グラン・クリュに通じるような厳しいキンメリのフリンティーさにコーティングされつつ、その中にある粒子の隙間から、まさにシャブリ！と思わせるエレガンスが溢れて来ます。

　その凝縮感から、全ての表情を得られる訳ではありませんが、今飲んでもそのエレガンスとふんわりとしたテクスチュア、しかしそのシャブリ的な厳しさとのせめぎ合い・・それがまた「質感」として感じられると言う・・高級ワインならではの振る舞いを感じます。

　2020年ものの時も素晴らしい美味しさで、

「昔のドーヴィサを見るかのよう」

と書いたはずなんですが、2021年ものに至っては、

「昨今のドーヴィサにも近付いた？」

のかもしれない・・とも感じました。

　まぁ・・昨今のドーヴィサと言うことは、あっちのご親戚にも近付いた感覚・・です。

　この2021年ものでは過去最高の92ポイントまで見つかりました。noisyがテイスティングした感覚では、

「今までより確実に上！」

だと感じました。ぜひ飲んでみてください。超お薦めです！

　以下は以前のレヴューです。
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【思い返せば・・20年前のヴァンサン・ドーヴィサ風のシャブリ1級ヴォ・ド・ヴェイです・・ソックリじゃないかと！】

　この数年で大きく化けたヴァンサン・ドーヴィサです。そもそもはシャブリでは超有名ドメーヌでした。

　ですが、自然派的アプローチで大きく伸びた親戚のラヴノーに置いて行かれた感が有り、低迷などとは言えないものの、比較されて苦労したんじゃないかと思うんですね。

　今やラヴノーには追い付いた感が有って、ここからは独自路線をどのように打ち出し、お客様を納得させるか・・みたいな・・。ぜひ、今の上が目指せるならやって欲しい・・是非見たことの無い景色を見せて欲しいと願っています。

　そうは言いましても、昔の・・そう20年ほど前のヴァンサン・ドーヴィサも好きだったんですよ。まるっと・・パレットを一瞬で埋め尽くすような膨張感・・みたいな、今の味わいではなく、もっと樽からの表情が載り、その性で欠落した部分も想像しながらの、まさにシャブリの典型的なクローンが生み出す味わいが・・何とも好きだった訳です。

「・・ドーヴィサが高い評価になるのはありがたいし嬉しいが、入荷は大きく減って価格が滅茶上がって・・テイスティングも出来なくなって・・」

と言うジレンマを抱えていたところです。

　ところが！昨年も書かせていただきましたが、

「いきなりアラン・マティアスが来た！」

んですね・・。2年目なのでさすがに掛けませんでしたが、今回のテイスティングで確信が持てたので・・書いちゃいます。

「・・昔のヴァンサン・ドーヴィサにかなりそっくり！」

です。

　今のヴァンサン・ドーヴィサはラヴノーそっくりですが、アラン・マティアスは、noisy の中の昔のヴァンサン・ドーヴィサに酷似しています。

　まずは、4年以上前のアラン・マティアスの、安くて美味しい系のシャブリの姿は、どこにも在りません。

　集中していて品が有り、口内で液を磨り潰したくなるほどの粘度と、そこから生まれ出てくるような化粧な表情に、将来の凄い表情を想像出来てしまいます。

　こちらは1級ヴォ・ド・ヴェイですから・・村名シャブリも充分に美味しいとしても、やはり格が違います。

　冷ややかで密度が高く、ついつい・・磨り潰したくなります。するとその結果として、滅茶複雑な表情と、ドライな味わいの中に、蜜のような甘みがキラ・・キラ・・と輝いて見つかります。ほんのり煙く、シャリっとして、まさに王道なシャブリの美味しさが浮かび、ややタイトながら長くたなびく余韻を楽しめるんですね。

　まぁ、少し早いのは否めませんが、それでも今でも美味しくいただけると思いますし、ぜひ何日か掛けてポテンシャルを拾いまくってください。

　生まれ変わったかのような・・アラン・マティアスの1級です。超お薦めします！


　以下は以前のレヴューです。
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【素晴らしいです！・・急峻な斜面にあるヴォ・ド・ヴェイの密で豊か、キンメリの濃い味わいがグサッと来ます！滅茶旨いです！】

　どのように判断して良いのか、未だに戸惑っています。もしこの素晴らしさがヴィンテージの恩恵だけに寄るものでないので有れば、

「アラン・マティアスはとんでもないほどの成長をこの2～3年で遂げたことになる！」

と言えます。

　この1級ヴォ・ド・ヴェイは、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールも借りて造っていましたので、noisy も飲んだことが有りますが、

「少なくとも今まで飲んだ1級ヴォ・ド・ヴェイでは一番素晴らしい！」

と言えますし、

「1級畑のシャブリとしてみても、この肉付きの良さ、オイリーさ、ミネラリティの深さ・量、そして何と言っても高質シャブリの華やかなアロマ！」

が、シャブリのトップスターたちに肉薄して来たことが信じられないほどです。

　そもそもシャブリはキンメリ土壌が何といっても特徴では有りますが、キンメリなニュアンスがあまり感じられないことも・・「まま」有ります。

　しかしながら、この冷涼ながらも熱を閉じ込めたような、何とも素晴らしい「果実感」と「鉱物感」が、

「若いシャブリ特有の硬い殻を突き破って表情を出している」

と言えるような美味しさを見せてくれるんですね。


　やや濃い目の、実に美しいゴールドでしょう？・・質の良いピュアな黄色い果実がたんまり有りますが、それに終始しない・・絶妙なビター感覚の中に、豊富なミネラリティからの微細な表情が感じられます。

　非常に緻密に凝縮している感じですが、余りの愛想の良さに、そんなに言うほどまでに？・・と思われるかもしれませんが、いつもよりも「ゆっくり、時間をかけて」楽しんでいる自分に気付かれることでしょう。

　オイリーさとミネラリティが織りなす表情、果実感とミネラリティが膨らんでくる表情・・いずれも見事！・・


　実はですね・・あまりのこの2019年もののアラン・マティアスのヴォ・ド・ヴェイが素晴らしいので、

「・・・ホント？・・」

と・・自分自身を疑いまして・・(^^;

　フィネスさんにいただいたサンプルだけではなく、Noisy wine に届いた販売用のボトルまで開けてしまいました。なので、

「2020年シャブリ、2019年シャブリ1級ヴォ・ド・ヴェイは2本ずつ飲んでます・・」

から間違い在りません。


　今飲んでも美味しく、7～10年経過するとさらに凄いでしょう！・・ちょっとどころか、大いに驚いた今回到着のアラン・マティアスです。

　あ、フィネスさんは余り言ってくれなかったんですが、どうやら余り数は日本には入っていないようで、探すのは大変でした。是非飲んでみてください。相当素晴らしいです！