
「元祖ルイ・ユエラン」などと書いてしまいましたが、その方が皆さんのご理解が早い・・判りやすいと思いまして・・すみません。そんな人に例えるような言葉は余り良く無いですよね。
しかし、ルイ・ユエランのエージェントさんに尋ねると、ルイ・ユエランのワインをまともに販売していたのはnoisy だけだったと。「他では売れないんです」と言うんですね。
「・・え~・・そうなの?・・なんで~?」
「・・いや、理由は判りませんが・・」
と言うことなんですよ。
noisy 的にはルイ・ユエラン的、このシミジミしたシャンボールの味わい・・・絹のようなテクスチュアに細やかに表れてくる詫び寂びな表情が何とも美味しく、新しいヴィンテージが入ってくるのを毎年楽しみにしていた訳です。今は病気療養中とのことで、まだ新しいヴィンテージものが無いんですね。
このベルナル・セルヴォーさんも、実によく似た味わいなんですね。実際にはモレ=サン=ドニの生産者さんなんですが、シャンボールに結構・・畑をお持ちで、しかもレ・ザムルーズまで所有しているんです。
そしてこのレ・シャビオは何と、
「レ・ザムルーズに接する1級畑!」
でして、レ・ザムルーズ的な「強烈な赤果実と強烈に白い石灰と美しい土の超繊細なワイン」の内、「強烈な赤果実」が「赤果実」に、「強烈に白い石灰」が「白い石灰」になった感じで、「超繊細なワイン」はそのまんまなんですね。
なので、収穫から約11~12年ほど経過したレ・シャビオを、
「・・きっともう・・これが最後なんだな・・」
と感傷に浸りつつテイスティングさせていただきました。
赤果実はもちろん、プラムやベリーを思わせますが、新選さと言うか、鮮烈さはすでに失われています。それはもちろんのことです。古酒ですからね。
ほんのりとバリック由来の胡麻っぽいアロマと、軽い石灰由来の鈍重さの無い味わいです。シミジミ感たっぷりなエキスには、まだカプセルに閉じ込められたままの要素を多分に感じます。
非常に繊細で、その1本1本の襞が感じられるかのようです。全く甘みの無い、残糖は無い!・・と言って良いレベルですが、室温に馴染んで温度が上がるにつれ、どんどん甘みが出て来ます。
言ってしまえば、アンリ・ジャイエ系の味わいは全くしません。ペロ=ミノとは真逆です。ミュヌレ=ジブール系では有りますが、そんな完璧主義を見せつけるような大仰なこともしません。
しかし、要素を拾いに行けば、きっちり応えてくれる真っ当なワインです。
「・・2007年だからなぁ・・」
などと思うかもしれませんが、ルイ・ユエランもそうです。
「オフに近い年のエレガントなエロスが素晴らしい!」
んですね。久々にベルナール・セルヴォーの絹のような舌触りのレ・シャビオを飲んで、感動してしまいました。こんなワインが好きなんですね・・noisyは・・。
なので、どんな方にも合う・・などとは申しません。合わない方もいらっしゃるでしょう。しかし、
「まだまだこれからのワインです!」
「でも、今飲んでも美味しさは充分感じていただけるはず!」
と確信しています。
いや・・合わない人は必ずやいらっしゃいますよ。若い時分のフレーヴァーが無いと美味しいとは感じない方もいらっしゃいますんで、そのような方はご遠慮ください。
ひなびた、エキスに完全転嫁された、素晴らしいシャンボール1級レ・シャビオです。
僭越ですが、
「冷え過ぎに注意!」
です。この時期、どうしても味わいが沈んだまま、飲んでしまわれる方が多いと見受けられます。12~13度じゃ低すぎです。15度まで何とか持って行ってくださいね。甘美な世界がそこに有ります。ご検討くださいませ。