
「シャサーニュの赤って、どんなワイン?」
とワイン会で初心者に近い、美しい女性に尋ねられたら・・もしくは男女逆でも良いですが・・どうお答えになるでしょう?・・難しいですよね?・・シャルドネならともかく、ピノ・ノワールではピュリニーとの比較にも持って行けない訳ですから・・。
でも・・村と村の位置関係をちょっとズラしただけで・・Noisy wine のお客様ならきっと、その先のお二人の関係性にも影響が出るようなお答えが出来るんじゃないかと、noisy は勝手に想像してニヤニヤしている訳です。
そう、ガニャール=ドラグランジュの2019年ピノ・ノワールが・・いや、パスグラも有りますから「赤」が、余りに美味いので・・
「どう説明したらよいかなぁ・・」
と考えあぐねていたところ、ちょっと良い手を思いついたんです。
実はシャサーニュの北側はご存じの通りピュリニーです。すでにピノ・ノワールはほとんど生産されていない村が北なんですね。なので、この方向は間違い。使えません。
ですが、南に接している村は何でしたっけ?・・そうそう、「サントネ」ですよ。
そしたら最近、滅茶苦茶美味しい「サントネ」を・・飲まれませんでしたでしょうか?・・飲んだでしょう?・・そう、驚異の100点男、ユベール・ラミーの「サントネ」そして「サントネ1級ラ・グラヴィエール」ですよね?
ラミーも2011年頃から扱わせていただきましたが、この数年の彼の両サントネの美味しさは格別なものが有ります。しかしこの美味しさ、凄い味わいはたったの3年ほど前から・・ですよね?
そして、シャサーニュ村の南のドン付き、1級畑レ・ザンブラゼや1級畑クロ・ピトワに接しているのが、サントネの1級畑「クロ・デ・タヴァンヌ」と「ラ・コム」で、その南に接しているのが「ラ・グラヴィエール」なんですね。

ですので、サントネのワインって・・とても伸びやかでしょう?・・そして、余り強く抽出するとガサガサになってしまったりするのはお判りかと思うんですね。
ラミーのサントネは密度が高く、甘く無く、葡萄が勝手にワインになっているだけなんだろうけれど・・凄く充実している感じがすると思うんですね。
だから・・そんな感じを自分なりの言葉に置き換えて行くと、自身が思っているシャサーニュの赤に対する印象を言えるようになると・・思ったりします。・・前置きが長くてすみません。
で、
「もう・・この色合いを見て決めてください!」
と言いたい位に美しいです。
ちょっと透明なミネラリティが絶大で、透明感がバリバリに見える色彩です。やや赤みを積層したような少しだけ暗い感じですが、果実もたっぷり、凝縮度も高く・・でもザラっとした接触感が全くない・・滑らかで伸びやかな味わいです。
今までのガニャール=ドラグランジュのピノは、リリース直後は少しガサッとしていましたが、2019年ものはもう・・滅茶滑らかで流れるようなシルキーさを持っています。そこからベリーやラズベリーのニュアンスを振りまいて、未開ながらもいやらしさの無い複雑なニュアンスを振りまきながら、
「これぞピノ・ノワールの美しさ!」
みたいな去り際を見せつつ、美しく消えて行きます・・惚れてまうやろ~!・・と言う感じですよ。
しかも価格が安い!・・質感も高く、リーズナブル感も高い・・ちょっとシャサーニュの村名赤で、ここまで旨くて5千円もしない・・なんてのは先ずない!・・と言って良いと思います。
まぁ・・やはり去り際が綺麗で素晴らしいと・・ワインって美味しいですよね。
あ、そうそう・・ワイン会で仲良くなっても去り際が重要ですよ・・社会人として・・そここそは美しくありたいものですよね。是非飲んでみて下さい。超お奨めです!
以下は以前のレヴューです。
-----
【2017年もののシミジミさが嘘のよう!。。快活でフレッシュ&ピュア!密度もしっかりでA.C.ブル並みにお買い得な村名シャサーニュです!】
2018年のドラグランジュのピノ・ノワールが大きく変わったことを象徴するかのような画像ですよね・・。
「・・全然違うでしょう?」
若い人が余りタッチしてない・・もしくは畑に人が余りいない・・のが推測されるような・・でも、シミジミとした美味しさの伝わって来る2017年ものでした。でもそれはそれで美味かったですけどね。
しかし・・もう2018年ものは、2017年のシャサーニュのような姿からは想像のできないほどの「快活さ」「健康さ」が感じられます。
noisy もまたこのところ、「大激変シリーズ」を展開しちゃってますので、ここでまた「ドラグランジュ、大xx」などとやってしまうと心が痛みますので・・いや、でもハッキリ言うと・・そう書きたい訳です。思い留まっている訳ですよ。ピノなんて、ちょっと休めてエアコンの利いた部屋で、夏野菜や鶏肉のソテーなんかで合わせたら・・きっと参っちゃいますよね。鈍重ではない、そして力業で抽出を強くしない、自然な、ありのままの葡萄の姿をワインに転化しただけの味わいこそが、美味しいピノ・ノワールの姿なんだと気付かされます。造り手によって、樽の使い方が異なったり、マロラクティックをどこまでするか・・が異なるだけです。ドラグランジュの場合は軽快さを失わない程度の樽の使用、マロラクティックの掛かり具合に徹して、しかもそれが実に上手い具合に成功して2018年ものを仕上げたと感じます。
それに、もし別格にも美味しい1級ブードリオット・ブランが買えたのなら、ワイン単体の美味しさと、マリアージュの手軽さから、そのワインの本当のポテンシャルを知ることになるでしょう。
とてもリーズナブルだと思います。この快活さを美味しく飲むために、6月後半まで休ませてあげましょう。さらに深みが出て上質さもアップすると思います。ご検討くださいませ。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【「絶ワイン」と言いたくなるような、シミジミと染み入って来るピュアな液体に、少しシンミリしてしまいました・・】
美味しいです。飾らず、奢らず、しかし「ちゃんと」しています。
このバランスは・・実は非常に難しいものなんです。だって、ちょっとでも不足していると思った瞬間に人間は萎えてしまいますから。
noisy のところでは非常に売れていたシャンボール=・ミュジニーのルイ・ユエランが入ってこなくなりましたが、存在的にはそんな感じなんですよ。・・最もルイ・ユエランの最終入荷のヴィンテージ、2014年は少し強さも有りましたけどね。
ですので、「強さ」とか、「しっかり感」とか、「複雑性」「ポテンシャル」を求める方は、詰まらないワインになってしまうかもしれません。
しかしながら、甘さに寄っかかりやすいワインになりがちなシャサーニュのピノ・ノワールに置いて、
「ここまでの繊細な美味しさを表現出来たのは、2017年だったから?・・」
じゃないかと思えるんですね。
元々は実力派だったガニャール・ドラグランジュですが、もはや「ブラン・ガニャール」と「フォンテーヌ=ガニャール」に吸収される寸前・・。でも、
「最後の意地!」
みたいなものが感じられるからそのように思ってしまうのかもしれませんが、
「超繊細でピュア、見事なシミジミバランスが旨い!」
です。是非ともご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
━━━━━
【ブルゴーニュ・ピノ・ノワール的エロスにそそられる旨い村名シャサーニュ赤!】
1級レ・ブードリオットの東に有るレ・プラティエールと、1級レ・モルジョの東に有るレ・ピュイ・メルドローのブレンドのようです。因みに1級畑には接してはいません。
古典的なエチケットを眺めつつ飲む非常にドライなシャサーニュ=モンラッシェの赤は実にエロティックで旨いです。良いですよね・・こんな昔のエチケットは!ミュヌレ=ジブール(ジョルジュ・ミュヌレ)も、今のハイセンスな?エチケットも良いですが、昔のエチケットにはゾクゾクしちゃいます。
とても良く出来たリーズナブルな村名シャサーニュで、まん丸とまでは行かないもののやや横につぶれ気味の・・そうだなぁ・・卵を横にした感じのパレットを描きます。
テクスチュアは滑らかですが、ややギザギザした感じの凹凸が感じられ、それが野性味、ワイルドさとなって認識されるようです。ノーズはほんのりとなめした皮革、心地良いスパイスにドライなラズベリー、適度に膨れてくれる中域と、口蓋を僅かに刺激しつつ滑らかな余韻を感じさせます。
こう言うピノ・ノワールを飲むと・・時代を感じさせてくれちゃいますね。こんなピノが昔は非常に美味しかったんですね・・。いや、勿論今も美味しいんですが、
「絶滅危惧種」
と言うか、絶滅しちゃってますね。今はもっとどこにも「引っかからない」ですからね。ボルドーワインでさえ・・だいぶそうなって来ています。
でも、適度な刺激をアピールしてくれた方がより美味しさを感じさせてくれる・・と言う方も結構に多いと思います。いや、滑らかな方がより良い!とおっしゃる方も多いと思いますけどね。でも、どちらが良いのか・・とは決めかねますが、絶滅を危惧するようになってしまうと、今度は人気の振り子が逆に動くことも考えられますし、
「・・こんなピノ・ノワール、飲んだこと無い!」
なんて、年寄りの noisyたちがビックリするようなご感想をいただくかもしれません。時代は移り変わりますし、20年経過すると、街並みも人も・・変わりますよね。1990年代の濃厚なピノが絶滅したのがむしろ懐かしい・・それと同じかもしれません。
適度な酸化を許容したエロティックさ、官能さを感じさせてくれる見事なピノでした。そうだなぁ・・そこまでしっかりはしていないしタニックでは無いとしても、ジュヴレで例えるとすると「ドメーヌ・セラファン」でしょうか。セラファンは年代にも拠りますが、少し熟成が必要だとしても、
「現代最新のドメーヌ・ガニャール・ド・ラグランジュの赤はさっさと飲んでも充分に美味しい!」
と言えます。是非飲んでみてください。特別セットもご用意しましたので・・はい。お早めに。