
中央よりも北に寄った村落の北に有る、実に秀逸なワインになると言われているクロ・サン=ジャンと、村の南に有る著名な畑、モルジョとのブレンドで、
「シャサーニュ=モンラッシェと言うテロワールを表現しているワイン」
です。
noisy 的には、ミシェル・ニーロンの1級クロ・サン=ジャン赤が好きで・・あれ、安くて滅茶美味しかったので、出物が有ると購入していた訳ですが、すでに1万円は超えたのかな・・4~5千円で販売出来て、キュッと締まったボディに赤い小果実が詰まっているように感じて・・旨かったですね。ちょっとシャサーニュのルーミエ・・と言いたくなるような良いワインでした。
もちろん、フォンテーヌ=ガニャールもクロ・サン=ジャンとモルジョの赤白両方を造っていまして、すでにテイスティング済ですが素晴らしい仕上がりでした。ニーロンさんとはタイプが異なりますけどね。
で、やはりプルミエ・クリュだけ有って、2022年の村名シャサーニュも相当良い出来で・・迫って来ているとは思いますが、やはり1級格は素晴らしい・・ただその1級のヴィエイユ・ヴィーニュが生む葡萄が生むワインの密度、凝縮感には追い付かないなぁ・・と言うのが実情では有ります。
でも、価格的には1万円もしないで1級なので・・相当リーズナブルに見えますよね。

どちらのリューディも赤も白も生む土壌ですから、石灰と粘土がバランス良く、しかし微妙にピノに向いた場所、シャルドネに向いた部分・・が有ると思います。昔はピュリニー=モンラッシェも、それなりのピノ・ノワールを生んでいた訳ですが、ピュリニー=モンラッシェとしての需要がシャルドネばかりに向かい始めているのが判ってからは、ピノ・ノワールを引き抜いてシャルドネに植え替えたため、現在ではほとんど見ることは無くなっています。
反対にシャサーニュは、それなりにピノ・ノワールが植わったままです。まぁ・・タイミングも有るのかもしれませんから、ピノ・ノワールの古木が実を余りつけなくなった暁には、シャルドネに植え替えるようになるのかもしれませんね。
引き締まったボディに凝縮した要素を詰めたようなニュアンスが伝わって来ます。温度感も村名よりも幾分高目で、豊かさと緻密さの両方を表現しています。
ミネラル感もしっかり有り、粘土を感じさせますから・・それだけでも、「シャサーニュの赤かな?」と感じさせてくれますが、どこかシャンボールに似たような感じにも取れます。
ジューシーで飲みやすく、口内に入ってからの振る舞いには複雑性が有りますので、そこで少し滞留・・チリチリとした弾けるような優しいスパイス感とともに長い余韻に突入します。
今すぐに飲んでも行けますが、半年から3年ほどの熟成を経た方がより美味しくいただけるんじゃないかと・・そんな感じに取れますので、村名の方を先に、こちらは少し熟成させてお飲みいただきましたら、
「獣っぽいワイルドな風味と官能感」
を得て楽しめると思います。飲んでみてください。1級として非常にリーズナブルだと思います。
【シャサーニュ赤ではトップクラスのクロ・サン=ジャンに、畑の大きなモルジョをセパージュ。エレガント系でも集中した味わいになっていると想像されます。】
2021年ものの村名シャサーニュ赤は、noisy 好みのエレガントで・・リアルワインガイドで言うところの薄旨系です。
これも使い古しの言い回しでは有りますが、2013年のアメリー・ベルトーの、余りに色がついていないA.C.ブルのエキスの美味しさにぶっ飛んだ思い出が有り、それを思い出させるような・・少し近いものを感じました。
ですがこちらはより条件の良かったはずの、「古木の」1級畑ものです。それに1級クロ・サン=ジャンも33%ほど入っているはずなので・・美味しいはずです。ぜひご検討くださいませ。6本だけです。
以下は以前のレヴューです。
-----
【ここまでくると神品とさえ思っているニーロンさんのシャサーニュ1級にだいぶ近くなって来ていると!・・でもコート・ド・ボーヌの素晴らしい赤が売れないのはきっとワイン屋の責任でしょう!】

ニーロンさんの1級シャサーニュ赤って・・飲まれたこと、有りますか?・・あれ、めっちゃ美味しいんですよ。以前は4千円台で販売出来たんですがこの10年来・・高くなってしまいまして、またエージェントさんの担当さんが変わってから何も連絡が入らないようになってしまいまして、ニーロンさんからはずっと離れちゃっているんですね。
でも、あの「くしゃっ」と果皮だけのエキスのようなドライな美しい味わいが長くたなびく1級シャサーニュ赤のチェリー感に大分寄って来ているなぁ・・と素直に思えるようになった2020年のシャサーニュ1級赤です。
何しろ、使われている葡萄はモルジョの100年近いヴィエイユ・ヴィーニュと、クロ・サン=ジャンの70年のヴィエイユ・ヴィーニュですから・・因みにニーロンさんの1級赤はクロ・サン=ジャンだったと思うので、あの小さな実のチェリーを彷彿させる・・それに近いものを飲むと、何故か思い出してしまう訳です。
昨年ご紹介させていただいた2019年ものも今回の2020年ものとイメージは近いと思いますが、やはり2020年ものは2019年ものを凌駕していると言わざるをえません。
勿論2020年と言う特殊なヴィンテージの背景も有りますが、やはり・・
「ドラグランジュの子供たちが自身の畑だけでは無く、お婆ちゃんの畑も綿密に面倒を見られるようになって、その影響がしっかり出始めた!」
と言えると思うんですね。

これは他のコラムでも書いていますから、ちょっとシツコイ感じになってしまいますが、海外サイトによりますとすでにドラグランジュはビオに転向済みとのことで、
「グラスのワインの画像を見比べてみると、一瞥しただけでもその違いが判る」
はずです。
この1級も、2016年~2017年はまだまだクラシカルで淡い・・樹齢100年でも・・(^^;; 淡いと言うのは、やはりマンパワーが追い付いていない、もしくはリキが入らない状態だったと言うことなのかな・・と思う訳です。
ですがこの2~3年は全く別物。2020年ものは果皮の色彩も豊かで、その絶妙な果皮の美味しさがワインの味わいを決定的に変えています。
ですから、あの素晴らしいニーロンさんの1級赤、クロ・サン=ジャンのマンモス・チェリーな味わいを思い出した・・と言うことなのでしょう。
2020年もので、今飲んで最高に美味しいのはこのドラグランジュさんの赤なのかもしれません。他の造り手さんのは濃密ですから何年か取って置き、こちらのドラグランジュさんの赤をお好きなタイミングで飲む・・そんな計画がよろしいように思います。飲んでみてください。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【これも滅茶苦茶旨いです!クロ・サン=ジャンとモルジョのブレンド!真っ赤な果実が凝縮、ドライで滑らか・・ふわっふわです!】
ん・・ここまでガニャール=ドラグランジュを持ちあげることになるとは思っていなかったので、言葉を用意できていないのがバレてしまいそうで怖いですが、
「本当に美味しいんだから・・仕方がない!」
です。
何度も書いていますが、2019年と言う素晴らしいヴィンテージと若いマルクさんの成長が生んだ、
「白ワイン屋が造る最高のピノ!」
と言えるかと思います。
因みにまだ誰も気付いていないはず!・・海外メディアを含めて・・(^^;; なので、自分だけの秘密に出来ちゃいますから、是非飲んでみて下さいね。
それに2020年もののガニャール=ドラグランジュのリリースがもし有って、この2019年もの並みの仕上がりになっていたとしたら・・もうこれは事件だと思います。その時はしっかり書かせていただく所存ですので・・はい。

1枚目、2名目の写真はこのシャサーニュ1級です。下手をすればフォンテーヌ=ガニャールのシャサーニュ=モンラッシェ・プルミエ・クリュ・ルージュより美味しいかも・・などと思ってしまいました。ただしモルジョやクロ・サン=ジャンなどが持つ複雑性には届かず、ワイン自体のポテンシャルは畑名無しプルミエ・クリュ以上になりうる・・そんな感じです。もっとも・・2008年のこのワインのグラス写真を見ていただけましたら、
「同じ畑のワイン・・なの?」
と感じざるを得ないでしょう?
で、いたずらに・・3枚目にラミーのサントネ・クロ・デ・ゾート2019の写真を掲載してしまいました。色の組成が似ているような気がしていたので、ページに載せてみたんですが、
「ラミーの方が色は濃いけれど、色彩の細かな部分は結構に似ている・・かな?」
と思うんですよね。
ですので、ラミーはサントネ村名、こちらはシャサーニュ1級ながら、味わいの傾向的には似ている感じがします。ただしラミーの方が樽の掛け方は強いような気がします。
非常にドライで、2019年の他のピノ同様に素晴らしいテクスチュアをしています。非常に香り、芳香の高さは今までのガニャール=ドラグランジュのワインとは比較になりませんし、非常に伸びやかなのが信じられないほどです。
ラミーのサントネも、
「・・サントネ村名で・・これかよ・・」
と呆れてしまうような出来ですが、これだけシャサーニュの赤が美味しかったり、ようやくでは有りますがサントネで素晴らしい赤が出始めたりして来ますと、

「シャサーニュの赤、サントネの赤がそれぞれちゃんと認識されはじめる」
ことに繋がってくると思うんですね。
今までは有名な生産者だから・・と言うことだけで人気が出た・・人気が出たから何を造っても売れる・・みたいな傾向もありました。でもこれからは、
「美味しいから・・余り知られていない生産地のワインでもちゃんと売れる」
と言うような時代になって行くと思います。
そんな中で、ジャックさんが亡くなられてから低迷しているように思われていたこのガニャール=ドラグランジュも、次世代の生産者に引き継がれて、素晴らしいドメーヌになるんじゃないかと思うんですね。例えそれがブラン=ガニャールに併合されたとしても、それはブラン=ガニャールがさらに美味しくなることを意味する訳ですから。
かなりビックリすると思います。飲んで美味しいワインです。是非お試しいただけましたら幸いです。
以下は以前のレヴューです。
-----
【超健康的!しかも滑らかで美味しい!気品も伺える素晴らしい出来です!】
余り誉め言葉ばかりのレヴューは書きたくないと、常々思ってはいるんですが、寂しさや悲しさと共に有る種の・・嬉しさも有るんでしょう。noisy も珍しくちょっとウキウキしているのかもしれません。
だって・・そりゃぁそうです。もしダメダメな印象しかないのであれば、ご紹介しなければ済む訳です。でも、そんなにダメな訳でもない・・が良くも無い・・なんてことになりますと、否定半分、肯定半分の・・お客様にとっては意味不明のレヴューになりかねません。その昔は随分と言われたものです。
「noisy さんの文章は、勧めているのか貶しているのか判らん・・」
本人は、良い部分もネガティブな部分もちゃんと書こうとして・・結局そのようになってしまっている訳で、
「そもそもヘンテコなものは紹介しないか、ちゃんとダメだと書いて紹介する」
と言う、本人なりの決め事が有るもので・・そうなっていた訳です。
なので、基本・・紹介しているものに変なものは無い・・とご理解いただけますと幸いでございます。
で、このクロ・サン=ジャンとモルジョをブレンドした1級です。凄い健康的です!・・まるで2005年のピノ・ノワールのリリース直後のようです。ぷっくりとした、どこにもキズの無い小さなピノ・ノワールの粒が想像されます。
そして「力業」に頼らず、「新樽」も余り多くは使わず、健康な葡萄がピュアさを失わない程度のマロラクティックをさせた、「ハツラツ」としたプルミエ・クリュに仕上がっています。
今飲んでも非常に美味しいですが、これ・・年毎に随分と変化していくはずなんですね・・。
例えば、今はあのシャソルネイもまた、「新樽」を全く使用しないようになっています。集中し凝縮した葡萄を古樽や陶器でエルヴァージュしています。なので、シャソルネイ、コサールのワインも滅茶ピュアです・・が、
「シャソルネイ、コサールよりピュアさは活き活きとして感じられる!」
んですよ。
少し前までのドラグランジュを知っていたら、ビックリすると思いますし、20年前の・・新樽100%が大ブームになり、濃密濃厚なピノ・ノワールが持て囃された頃のドラグランジュを知っていたら、「復活か?」と思えるはずなんですね。
ガニャール、モレ、ラモネと言われたシャサーニュの名家も世代交代でどんどん変わって行くのでしょう。そんな一時代のたったの一時に過ぎませんが、中々に面白い時間を過ごせたとは思っています。是非ご検討くださいませ!お勧めします。
以下は以前のレヴューです。
-----
【古木由来のテロワールから、丸いパレットの充実した味わい!・・でも繊細で美しいです!】
もうドメーヌを閉じることが決まっているからなのか、それともこの2017年ものの実力なのか・・noisy にも判りません。
しかし、2017年もののガニャール・ドラグランジュのワインには、何故か肯定感しか・・感じないんですよね。いつもならどこかネガティヴな部分を探している自分に気付くんですが、そんなルートを決して辿らせないワインです。
100年にもなろうか・・と言うV.V.も混ざる、やや重量感のあるモルジョや、やや軽く赤さのあるクロ・サン=ジャンの粘性の有る味わいが、赤果実をリアルなものにしています。
充実していますが繊細で、決してマッチョにはならないです。色合いをご覧いただきますと判るかと思いますが、通常のシャサーニュ村名とは少し異なり、色合いも濃い目ですよね?
でも超繊細です。ピュアで甘く無いです。そして、いつの間にか心に侵入され、「ワビサビの世界」に入れさせられてしまうんですね。これは非常に美味しい!・・ポテンシャルを取りに行っても満足行く深みのある出来です。・・でもシミジミ系なんですね~。そして価格も非常にリーズナブル・・ですから、これは是非飲んでいただきたい!・・ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
━━━━━
【お見事!・・以前はリリース時には非常に硬かったワインなんですが、2016年は今飲んでもジューシーで旨いです!】
モルジョとクロ・サン=ジャンのブレンドで仕上げられる、見事なシャサーニュ1級ワインです。
ピュリニーでは、見事なほどにピノ・ノワールが植わっていた畑もシャルドネに植え替えられ、1級も村名も本当に僅かしか残っていません。シャルドネの方が高く売れるから・・です。
シャサーニュではピュリニーほどでは無いにせよ、その傾向は強まってくるのは必定・・。1級モルジョと1級クロ・サン=ジャンは・・・どうなんでしょうね。個人的には赤の方が個性的なように感じています。
シャサーニュ村名もそうだったんですが、この1級赤も実に色っぽいです。そして村名には「ちょうど良い感じ」の濃度・密度だったものが、「より凝縮」して感じられ、当然ながら同じように持っている「色っぽさ」の表現もよりしっかりしています。
これはおそらくミネラリティの組成がそうさせるので有って・・・、例えばドメーヌ・ラモネの先代、アンドレ・ラモネは「クロ・ド・ラ・ブードリオット赤はボーヌのロマネ=コンティだ!」と言って憚りませんでした。
noisy 的には、
「・・ん~・・そうかなぁ・・確かに複雑性と構造の深さは感じるけど・・洗練性がロマネ=コンティ同様とは思えんなぁ・・」
と言う感覚でした。
アンドレ・ラモネ翁もその辺を突っ込まれると、「まだ醸造技術がそこまで達していない・・つまり自身の問題だ」としていたようです。
むしろnoisy的にはモルジョやクロ・サン=ジャンの赤は鈍重になり過ぎずに、ヴォーヌ=ロマネ的な野性味・スパイスとジュヴレ的な鉄っぽさ、官能感を持ち合わせた素晴らしいリューディ・・・と言う感覚でして、むしろ、
「もっと評価されてしかるべきでは?」
と思っています。
勿論ですが、安易な造りをしてしまう造り手も多いものでして、全てのモルジョ、クロ・サン=ジャンの赤が良いと言う訳では有りません。
それに、ミシェル・ニーロンさん希少な1級赤、ラ・マルトロワのツヤツヤ、テカテカ、まん丸な味わいが示すように、適した栽培と醸造が組み合った時のシャサーニュ1級は驚くほど旨いと言えます。
この1級シャサーニュ赤・・・是非飲んでみていただきたいですね。構造の深さと複雑性から来る重量感、精緻さ、エロスは素晴らしいです。本当は特別セットに入れたかったんですが高くなりすぎちゃいますので諦めました。お勧めします。飲んでみて下さい!
以下は2008年のこのワインのレヴューです。
━━━━━
【ワインスペクテーターは91Points!クラシックな造りでガッシリ仕上げたピノ・ノワールがトロッと丸くなってきました!】
フィネスさんと言うエージェント(インポーター)さんは今となっては非常に珍しくなった、頑固なワインエージェントさんで、並行輸入などには全く食指を伸ばさず、さりとて、入荷したものをさっさと全て販売してしまうことも無く、言わば「カヴィスト」としての役割もしっかりされていらっしゃいます。大昔はそのようなスタイルが大半を占めていたんですが、現在は軽薄短小、入荷したらさっさと全部販売してしまわないとお金が回らないものんですから、カヴィストスタイルのインポーターさんはほぼ絶滅です。まぁ・・ワイン屋も同じですけどね。
なので、このガニャール・ドラグランジュ2008年シャサーニュ=モンラッシェ1級にしても、まぁ・・売れないと言うのもあるのでしょうが、美味しくなるまで積極的には販売しないんですね。担当さんがこぼしてました・・。
「販売数よりテイスティング数の方が多いワインが沢山ある」
・・・いや~・・そこだけは・・身につまされます・・残念ながら・・笑えないっす・・
まぁ、ガニャール・ドラグランジュのようなクラシックなスタイルですと、リリース直後はどうしても・・
「硬っ~~い!」
ものですから、余り出て来なくて平板に感じられ、リリース直後に手を出すことはほぼ無くなってしまいます。
そんな時は、何度も何度も・・テイスティングするそうです。そして、ようやく溶け込んで来た!・・販売しよう!・・となると・・、
「ん~・・まだちょっと・・xxxの辺が気になるなぁ・・」
と、そのままに沙汰止みになり、また半年~1年後位に社員総出でテイスティング・・を繰り返すことになるそうです。
フィネスさんのこう言ったこだわったスタイルは、やはり社長の藤田さんによる部分が大きいでしょう。ワインに厳しい時を生きてこられてますからね・・。品質にも、その時の味わいにもこだわりたい・・のでしょう。頭が下がります。
で、この2008年シャサーニュ1級赤ですが、ジャック・ガニャールが仕込んだ最後のキュヴェです。クロ・サン=ジャンとモルジョのブレンドによる1級で、ジャックが仕込んでいますから・・非常にクラシックです。
昨今の流行りの造りは、余り酸化をさせず、抜栓した時にアロマが拡がるようなスタイルですが、ジャックの時代はそんな事はお構いなし、
「時がワインを造るんだ!」
と言うスタンスなんですね。
例えばこの間まで販売していました2001年のモレ=サン=ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・デ・ゾルム / ジョルジュ・リニエなども、もの凄くクラシックです。リリース直後はエキスは綺麗に出ているものの、ま~、硬いったらありゃしない・・訳です。
しかし、2016年の今、飲まれてどうでしょう?・・トロットロで妖艶でしょう?・・錆びたナイフじゃないかと感じられるくらいに厳しかったエッジも丸くなり、官能的で非常に美味しいですよね?・・それが熟したピノの醍醐味なんですね・・。
このシャサーニュ1級も、リリースからおそらく6年ほど経過しているはずでして、かなり深い味わいになってきました。しかも、
「酸化を抑制して仕上げた昨今のピノ・ノワールには無い、昇華したブケ」
が有ります。
その上で、テクスチュアも滑らかになり始め、赤黒極小果実が群生しつつ、なめした皮や華やかなスパイスが心地良く香り、やや大きめの石を連想させるようなミネラリティが下支えしています。とても美味しい・・と思います。
クロ・サン=ジャンは村の北西に有り、ご存知モルジョは南東ですんで、北西にある石灰が非常に強い性格と、南東に有り、やや粘土がしっかり有る性格とのブレンドが、このワインの味わいを決めています。非常にドライですが熟により甘味も出て来ました。力強くもブルゴーニュ的なエレガンスも持っています。
そしてこのドメーヌは、ブラン・ガニャールとフォンテーヌ・ガニャールに移譲されるようですので、この先はもう無いのかと思います。是非飲んでみて欲しいと思います。ご検討くださいませ。