● ジュラに進出したダンジェルヴィーユのデュ・ペリカンの新ヴィンテージが到着です。アイテムが多いので2回に分けてのご案内になります。今回は、シャンパーニュを目指した素晴らしいサヴァニャンと、アルボワの赤をご紹介させていただきます。
2012年からですからすでに8ヴィンテージ目のリリースになりますが、メキメキと本来の実力を発揮して来ているのを感じます。
「ジュラでシャンパーニュ並みを目指すって・・無理じゃない?」
と思っていましたが・・2019年ものの仕上がりは素晴らしかったです。元の畑、葡萄の良さを生かした見事な味わいでした。まぁ、デュ・ペリカンのサヴァニャンの畑にはジャック・ピュフネイが所有していたものが含まれますから・・もう、
「アルボワのヴァン・ジョーヌで100点近くを彷徨うほどの評価!」
を得ていたドメーヌですから・・あ、いや、このブリュットS がその畑だと言う意味では無いですよ。そんな情報は知りません。しかしながら、
「高質なサヴァニャンを得られる環境にいる」
ことこそが、この見事な泡の味わいを得ることに成功した理由のひとつにはなっていると感じます。
ルージュの方は・・ピノ・ノワールのクロ・サン=ローランにはもう・・パーフェクトと言いたくなるようなダンジェルヴィーユ節が感じられます。感覚として、アルボワのクロ・デ・デュックを目指しているとさえ感じます。
プールサールのエレガントで愛らしい魅力と、トロワ・セパージュの複雑な構成と味わいが、どのように生まれて行くかを推測して・・いや、単に・・柔らかで高質なはずの2020年ものを開けなくてはいけないところを、ピュア路線だった頃の2018年ものを開けていただけ・・では有ります。
素晴らしい仕上がりになった2020年もののデュ・ペリカンです。次回は非常に高質なサヴァニャンとシャルドネをご紹介させていただきますのでどうぞよろしくお願いいたします。
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ブルゴーニュで素晴らしいワインを造っているマルキ・ダンジェルヴィーユの新しいプロジェクトがジュラで始まりました!
でも・・安心してください。ピュア系の見事な味わいで・・
「産膜酵母系の香りはゼロ!」
です。
「ナチュラルでピュア」を絵に描いたようなアロマと味わい!・・どなたにも喜んでいただけると確信しています。

このドメーヌはヴォルネー村でワイン造りをしているドメーヌ マルキ ダンジェルヴィルの当主ギョーム ダンジェルヴィル氏と醸造責任者のフランソワ デュヴィヴィエ氏が、ブルゴーニュのような素晴らしいテロワールのワインを造りたいという探究心から2012年にジュラ地方アルボワの町に隣接するモンティニー レ アルスール村に設立しました。なぜ「Pélican(動物のペリカンのこと)」というドメーヌ名が付けられたかはアルボワの歴史を振り返る必要があります。
15世紀末、神聖ローマ皇帝だったハプスブルグ家出身のマクシミリアン1世は従者と共にアルボワに滞在したことがありました。当時は異国の動物を飼う事が貴族のステータスとなっていたため、マクシミリアン1世も異国の動物をアルボワに連れてきていました。
その動物の中には南国の鳥であるペリカンも含まれていましたが、不幸なことに1羽のペリカンがアルボワ滞在中に死んでしまいました。その死を大いに悲しんだマクシミリアン1世はこの「皇帝ペリカン」を忘れないためにアルボワの町のエンブレムをペリカンにするように定めたのです。
また、彼の妻であるマリーは最後のブルゴーニュ公シャルルの一人娘で、夫婦一緒にペリカンを連れて散歩をしていたため、ペリカンはアルボワとブルゴーニュを繋ぐ架け橋の役割も果たしていたと言われています。当時ブルゴーニュ公が所有していたヴォルネーの1級畑「Clos des Ducs(クロ デ デュック)」は現在ドメーヌ マルキ ダンジェルヴィルが単独所有しています。そのブルゴーニュ公の後を継いだドメーヌ マルキ ダンジェルヴィルがアルボワでワインを造る、つまりブルゴーニュとアルボワが時を越えて再び繋がるということになるので、架け橋であった「Pélicanペリカン」をドメーヌ名に採用することになりました。

所有する畑はトータルで15haになりますが、古木の植え替えなどでまだワインに出来ない若木も多いので、現在は実質約10haの畑でワイン造りをしています。全15haのうち、5.8haは2003年からビオディナミ農法を取り入れてワイン造りをしていた「Château de Chavanes(シャトー ド シャヴァネ)」が所有していた畑で、アルボワの代表的な葡萄品種であるサヴァニャン、シャルドネ、トルソー、プルサール、ピノ ノワールが植えられています。
別の5haは「Jean Marc Brignot(ジャン マルク ブリノ)」が以前所有していた畑で2004年から2012年までビオディナミで運営されていました。この畑は「Grand Curoulet(グラン クルレ)」と呼ばれているアルボワで最初に開墾された区画で、素晴らしいサヴァニャンが出来ますが現在ほとんどの木が植え替え中となっています。残りの4.2haはアルボワ村の隣にあるモンティニー レ アルスール村の生産者で「ジュラの教皇」と呼ばれていた「Jacques Puffeney(ジャック ピュフネイ)」から2014年末に譲り受けた畑で、こちらもアルボワの品種に合う素晴らしいテロワールがある畑です。
醸造所には空圧式圧搾機、選別用テーブル、温度コントロールのできるステンレスタンクなどの設備が揃っており、樽や大樽での熟成保管用の古いカーヴも3つあります。泥灰土と粘土石灰質の畑で出来る5つの葡萄品種から3つの変化に富んだキュヴェを造っています。ドメーヌ設立から最初の2年である2012年と2013年は天候が良くなかった影響から収穫量が非常に少なく、2012年は18hl/ha、2013年は25hl/haしか葡萄が収穫できませんでした。2014年は45hl/haと平年並みの収穫量となっています。