【激旨!高質なサヴァニャンのウイヤージュを回避するジュラならではの作風を、ダンジェルヴィーユ風に質高くアレンジした、非常に香るが臭く無く、素晴らしく濃密な味わいです!】

素晴らしいです!・・まぁ、「サヴァニャン」と聞いてイメージの沸く方は、まだそんなに多くは無いと思いますが、近年のジュラ人気の高さには驚きを感じるほどですから・・それなりにはご理解いただいているのかもしれません。
まずは・・製法なんですが、例えばサヴァニャンの最高峰とも言えるヴァン・ジョーヌ...シャトー・シャロンもそうなんですが、樽の中に圧搾したサヴァニャンを入れっぱなしにするんですね。通常はウイヤージュと言いまして、補酒ですね・・減った熟成中の樽に他の樽のワインを足して酸化から守る手段です。でもヴァン・ジョーヌは一切ウイヤージュをしません。なので当然ながらどんどん目減りしてしまいます。1/3ほどまでに減る・・とも言われていますが、その減り始めて少し経過しますと、この地域特有の風味が出る訳ですが・・産膜酵母の膜が液の上面に出来るんですね。その膜がワインを極端な酸化から守ってくれ、複雑なアロマと味わいを生む訳です。Noisy wine も以前、とんでもない数量のサヴァニャンを販売させていただきました・・40ケース以上販売させていただき、まぁ・・ビックリしました!
で、このワインはその延長上には有るんですが、ダンジェルヴィーユ風にアレンジが成されているんですよ。つまり・・オレンジワイン風のマセラシオンを10%ほど..行っているんです。赤ワイン同様に果皮も種子も漬け込むんですね。その結果が・・これ・・なんです。
なので、ヴァン・ジョーヌ的に濃密で複雑なアロマと味わいが有るんですが、なんでしょう・・ギョームさんは産膜酵母のエキセントリックなアロマはそんなに好きじゃないのかな・・産膜酵母を動かしたワインに付き物の、あのブルーチーズのような香りは余り・・と言うか、まず無いんですよ。動いた後の滅茶複雑なアロマはするんですけどね。

思うに・・いや、あくまで推論ですよ。この種や果皮を漬け込んだ10パーセントが・・凄いお役目を負っているんじゃないかと思うんですね。・・まぁ・・言わば吸着剤?・・(^^;; エキセントリック過ぎる例のアロマを適度に和らげる効果が、この10パーセントのキュヴェの「澱」が担っているのかなぁ・・などとも思っている訳です。あくまで推論に過ぎませんので、
「noisy がそう言ってたからホント・・」
とは信じ込まないでくださいね。その辺は是非ご自身で飲んでみて判断していただけましたら幸いです。
で、ま~・・2020年のワインとは思えないほど、滑らかです。アロマもま~・・滅茶複雑です。白や黄色の果実、柑橘・・なんて大抵の場合はそんな表現をしていますが、花梨や蜜など、ちょっと甘みを感じさせるノーズがハッキリ混じり、しかしドライな酒質と滅茶合っていて・・何とも複雑な香りと味わいがします。きっと随分と良い畑なんだろうと・・想像しています・・モンタニー・レ・ザルシュールの畑と言うことで、シャトー・ド・シャヴァヌの畑は改植中らしいのでピュフネイから譲り受けた畑?・・かもしれません。
また、リリースされているアイテムには「サヴァニャン」と「サヴァニャン・ウイエ」と両方有りますが、
「品種はどちらも同じサヴァニャン」
です。サヴァニャン・ウイエと言う品種では無いんですね。ウイエはウイヤージュの意味・・つまり、
「補酒したピュアなサヴァニャンのワイン」
と言う意味です。「ウイエ」が無いとしますと、基本はウイヤージュしていないサヴァニャンを含む・・と思ってください。
ただし!・・ウイヤージュをしているからと言って、産膜酵母が絶対に動いていない・・と言う保証は無いんじゃないかとも思いますので、やはりその辺は誰かに飲んでもらわないと判らないかなぁ・・などとも!・・この素晴らしいダンジェルヴィーユならではのウイヤージュを回避した(含むとするなら・・らしい?)高貴なサヴァニャン、飲んでみて下さい。希少です!
以下は以前のレヴューです。
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【滅茶複雑で官能的なサヴァニャンの美味しさに、白ワインとは思えないほどのボディ感覚が備わった素晴らしい味わいです!】
2018年もののダンジェルヴィーユ、ドメーヌ・デュ・ペリカンのサヴァニャンは、余りに数が無く、ほぼ飲まなかったんですが・・今になって思えば失敗したなぁ・・飲んでおけば良かったと思っています。
それほどまでに2019年のドメーヌ・デュ・ペリカンのサヴァニャンは感動的で、魅力に溢れる素晴らしい味わいをしていました。その変化を見るためにも、リリース時に何とか飲んでおくべきだったと反省しています。
なので、2018年もののレヴューは出来ませんが、それでも2019年ものを少しだけピュアな方向に持っていった感じ・・そのように想像しています。価格もその分でしょうか、少しだけリーズナブルです。
2019年の、まぁ・・「オレンジワイン風」でしょうか、マセラスィヨン・ペリキュレールです。ビオ系の白ワイン生産者がさかんに使用している赤ワインと同様に果皮を漬け込むやり方です。
この果皮浸漬を行った白ワインには、So2 を使いたくない性でしょうか・・生産者に寄っては、ほとんど「ミイラ」みたいな、果実感が失せ干からび過ぎた果実のようになってしまっているものも散見されます。ただし、結構に果実感は失せているのに、それでも精妙な果実エキスのニュアンスから、複雑で心地良い味わいを見せるものも有りますので、いきなり全てを否定するものではありません。
ドメーヌ・デュ・ペリカンのサヴァニャンのこのキュヴェは、心地良いタンニンの膨らみが、まるで黒葡萄による赤ワインのような「ボディ」を感じさせてくれます。タンニンの質も良く、決して口内を刺激するようなものでは有りませんで、適度に膨らんでくれ、フルーツ、ドライフルーツのニュアンスを官能感を込めてしっかり伝えてくれますので、ミイラなどとはとっても言える部類のものでは有りません。
高貴なニュアンスだけを見れば、むしろボディ感覚の素晴らしさと、相当に粘性を感じる味わいから、
「新しい白ワイン?」
的に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
それに加えて、サヴァニャン種が持つ素晴らしくも複雑な入り組んだ味わい組成・・これがもう、単なるフルーツ、ドライフルーツでは無くしてしまうし、しかも相当に官能的ですので、それらの果実が完熟感を持って感じられるんですね。
素晴らしい果皮浸漬のサヴァニャンでした!・・流石、ダンジェルヴィーユ・・いや、ダンジェルヴィーユだからこそ、ブルゴーニュの気品を持った果皮浸漬のサヴァニャンを造り出せたのかと思います。
これは是非白ワインファンには飲んでみていただきたい・・でも、
「オレンジワイン、有りますか?」
と、単に流行りのものを追いかけている方にはちょっと向かないかもしれません。でも白ワインファンの方々には飲んでみていただきたいなぁ!・・そう思う見事な味わいでした。お勧めします。