
「ミネラリティの支えが凄く存在している黄色のしっかりした果実のジューシーなシャルドネ!」
そんなイメージの「アン・バルビ」です。2020年ものはそこにアルボワの個性がそれなりに滲み出し、しかも繊細な表情が備わって来た感じがします。2019年ものはもう少し直線的だったかなぁ・・と思うんですけどね。2020年ものは、他のキュヴェほどでは無いにせよ、
「葡萄の個性や果皮由来の味わい」
がするような・・そんな気がしました。
そもそも赤ワイン同様にマセラシオンした・・みたいな情報は在りませんので、それは無いのかな・・とも思いますが、どうも黄色主体の2019年ものまでのアン・バルビとはちょっと違う感じがするんですね・・気のせいでしょうか・・(^^;;
今、ビオ系の若い方たちが、マセラシオンして・・漬け込んだ結果、タンニンや果皮のニュアンスを取り入れた白ワインを多く販売されています。稀に素晴らしい芳香と味わいを醸したマセラシオン系の白ワインに出会うことも有るんですが、ほとんどの場合・・noisy が手放しで狂喜することは無いんですね。そうすることによって欠損した部分が多過ぎるように思われるから・・です。

しかしこのアン・バルビは、おそらく漬け込みまではしていないとは思うんですが・・いや、軽くやってるかな??・・(^^;; 以前より明らかに複雑性や官能感が増しているように思いますし、ビオ系のマセラシオンを施した白ワインのように、
「得た部分より失った部分が大きすぎるんじゃない?」
などと思えるようなことが一切無い・・んですね。
享楽的なシャルドネの美味しさ・・それが基本。そこに細やかなニュアンスが結果的に、自然に載っている・・そんなイメージでしょうか。
ヴォルネイ、ムルソーでたった1種類?のシャルドネを造っていたダンジェルヴィーユが、アルボワの地に来て得たものは非常に大きいし、何も失っていない!・・そう思わせてくれるアン・バルビ2020年でした。密度高くとても良く香り・・、幻影で無いとするなら、どこかサヴァニャン的な複雑なニュアンスが有るようにも感じるシャルドネです。飲んでみて欲しいと思います。ダンジェルヴィーユのムルソー1級はちょっと高いですので、こちらをお薦めします!
以下は以前のレヴューです。
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【熟したフルーツが冷ややかに!・・そしてそれをピュアに清楚に複雑に感じさせる2018年と、僅かなピュアさを削り、妖艶さを載せた2019年!滅茶旨いです!】
ここまで2018年と2019年のニュアンスが異なると、ある意味、お勧めの言葉も難しくはない・・かもしれませんが、どのコラムを読んでも内容が一緒・・と言われてしまえば、それっきりです・・すみません。
ですが、いや・・相当に違うんですよ・・本当に。どっちが良いか?・・と問われれば、
「それはそれぞれの好みでしょう?」
と言わざるを得ない訳ですが、最初から柔らかくて妖艶で飲みやすい感じが2019年ものですし、ピュアでミネラリティを直結で感じられるのが2018年もの・・だと思います。そしておそらく・・
「ドメーヌ・デュ・ペリカンが目指すスタイルは2019年ものが基本!」
であることは間違い無く、2019年もののアン・バルビを飲むことでそれが理解が深まる訳ですが、
「葡萄や、育った畑の個性をピュアに感じることが出来るのは2018年ものが(おそらく)最後!」
で有ることも同様に間違いない訳ですね。
この違いは、単にヴィンテージ要素、葡萄の熟度だけに寄ることは無いはずで、樽の掛け方、そして二次発酵の深さにも・・つまり造り手の意識によってかなり左右されるはずです。
ダンジェルヴィーユとしますと、アルボワの個性とダンジェルヴィーユの作法を融合させ、その上で完成されたのがこの2019年ものと言えます。

面白いのは、パワフルさはもしかすると2018年ものの方がスッキリと理解できるかもしれないんですね。2019年ものはもしかしたら妖艶さの方に喰われる部分が有って尚且つ・・ですので、2019年ものが妖艶さを出さない方向に行っていたらどうなったか?・・などと想像してみると、2019年ものは、妖艶さを演出しても大丈夫なほど、良い葡萄に仕上がったと言うことなのかもしれません。
>2019年は2018年と比べると収穫量はとても少ないが葡萄はきれいで豊か、しかし緻密でエレガント、緊張感とエネルギーがある。2012年にワイン造りを始めてから最も天気が安定していた2018年と比べると、2019年はいくつかの懸念材料があったので印象はあまり良くなかったが、収穫量が少なかったことが良い方向に働いてくれて結果的には素晴らしいクオリティのワインとなった。
まぁ、2019年ものの方が値上げで少し高目に出ていますが、その分、収量が減り減産を余儀なくされていますから仕方が無い・・でも葡萄にポテンシャルが有ったと言うことなのでしょう。
どちらも素晴らしい出来だと思います。2019年もの、透明で黄色がしっかり、緑も透けて見え、良い色合いです。2018年ものはより黄色いですが、結構にパワフルです。是非飲んでみて下さい。お勧めします!