
「こう来るか~~!」
と思わずの声が出てしまったトゥルソーのベランジェ2022年です。
トゥルソーと言えば、どちらかと言えば「乾いたニュアンス」がする品種と言う認識でして、そこからの香草やスパイスの香りが特徴、低域は弱めで中高域中心の香り~味わいです。
やはりここ、アルボワはブルゴーニュも近いですから、ピノ・ノワールも造られています。誤解を恐れずに言ってみれば・・
「ピノ・ノワールの低域を弱め、中高域と高域をエレガントに強化したようなニュアンス」
です・・一般的な話しです。
ですがこの2022年のベランジェは、一嗅ぎして・・そのエレガントで濡れたアロマに驚き、一飲み・・口にして、その・・
「美しく精緻な味わいに驚く!」
と言うパターンを辿ることになります。

口内に入れた瞬間に、
「これは・・相当に質の良い葡萄を使い、しかも雑味になる成分をほとんど持っていない美しさが有る」
と感じます。
そこから徐々に膨らみを見せ、美しくまろやかなエキスからの・・口内からノーズに還流してくる高域のアロマに酔いつつ、美しい余韻へと流れて行きます。
「・・素晴らしい!・・トゥルソーでここまで・・なワインは初めてかもしれない」
と思えるレベルでした!
まぁ・・とは言え、3本しかないものの1本を飲んでしまったので、激推しするには数が無さ過ぎます。困った・・
現状は30~40分で少し閉じ気味になりますが、それでもキュッと締まったボディから様々な要素が出て来ますので美味しく飲めると思います。本領発揮は3~5年後からでしょうか。少なくて申し訳ありませんが、
「デュ・ペリカンの赤のトップキュヴェとしても行ける・・看板にも成りえるワイン!」
だと思います。飲んでみてください。超お薦めします!
以下は以前のレヴューです。
-----
【繊細かつ複雑!スパイシー&ピュア!・・2018年までのドメーヌ・デュ・ペリカンのトップ・キュヴェ、トゥルソーの集大成です!】
二次発酵と言うのは実に面白いもので・・本来は、一次発酵が終わったキュヴェが気温の上がる春を迎えて乳酸発酵(二次発酵)が自然に起こる訳ですね。大昔は自然にそうなったと言われますが、昨今は人為的に行う場合が多いようです。そして、乳酸発酵の掛かりの深さは、温度管理の方法、その長さなどで変わりますので、
「ドメーヌによって結構ことなる」
訳ですし、キュヴェによっては、
「二次発酵をしない」
場合も有る訳です。
この2018年のトゥルソーは、ピュア時代のドメーヌ・デュ・ペリカンのものですので、二次発酵の深さはさほどでもなく、さりとて「していない」訳でも無く、適度な掛かりだと言えます。誤解を恐れずに言うとしてメオとルジェで代弁するなら、ルジェでは有り得ずメオだと言える訳です。
Noisy wine には2019年のトゥルソーは入荷しませんでしたが、テイスティングはしています。上の写真が2018年もの、下が2019年ものです。まあ、似た感じの色合いでは有りますが、2019年ものの方が黒みがしっかり入っていると見えるかと思います。

2019年ものはやはり乳酸発酵をよりしっかりやったような滑らかさが感じられる仕上がりです。2018年ものはもう少しピュアで、言ってみれば「酸はしっかり」したニュアンスですが、これ・・熟成してきますと・・そのピュアであるがため、より繊細さが助長され、そこに熟成の滑らかさが入って来ますので・・実に素晴らしい味わいになる訳です。
二次発酵では無いですが、たとえばエマニュエル・ルジェが造るニュイ=サン=ジョルジュやエシェゾーには、ジョルジュ・ジャイエ名のものが有りますよね?・・単に新樽使用と、古樽使用と言うだけでは無く、その味わいには相当違いが有る訳です。
新樽なら、穏やかな酸素供給が可能ですので、熟成時にまろやかさや官能さが加わりやすいです。古樽ですと樽の木の細胞は埋まってますから、ウイヤージュの頻度にもよりますが酸素供給はかなり遮断されます。この辺も、二次発酵のやり方の違いと関わって、その「官能感の違い」は変わってくると思うんですね。
ですので、官能感がより前面に出た2019年ものは早い段階から美味しく飲めてしまいます。2018年ものは1年熟成が長いので、ピュアな味わいがこなれ始めて来ています。
ですが2019年ものは、抜栓直後から相当に美味しいんですが、数時間経ちますとそれなりに締まって来ます。その段階の姿は微妙に2018年ものの今の姿に近いかもしれません。
そもそもトゥルソーは、超繊細なプールサールとピノ・ノワールの中間的な感じで・・いや、プールサールがピノ・ノワールの超繊細な部分を切り取ったかのような感じ?・・で、トゥルソーはピノ・ノワールの低域と高域をより強調したかのようなニュアンス?・・みたいな感じにnoisy は捉えていますが、
「似ている」
のは間違い無く、この3種を飲み比べればある程度判別できるとしても、そのうちの1つだけをテイスティングして当てることは、常にそんなことを続けているドメーヌの醸造担当でなければ結構に厳しいでしょう。
そもそもこのグラスの色合いを見ただけで、
「はい、ピノ・ノワール!」
と言ってしまいそうになりますよね?
良い出来の2018年、トゥルソー・ベランジェです。ドメーヌ・デュ・ペリカンの赤のトップ・キュヴェ、是非ご検討くださいませ。お勧めします!