
1974年の村名ムルソーです。この1974年の他にも、グレートな1985年もの、戦前(ヨーロッパは戦中)の1941年ものをご案内させていただきました。1941年ものはエージェントさんが半端を持っていたので、今回再度のご案内が可能になったところです。
1974年と言えば、あの読売巨人軍の終身名誉監督、長嶋茂雄さんが現役を引退された年で、
「我が巨人軍は永久に不滅です!」
の名言を残されたことを思い出される方も多いかと思います。noisy も中学生だったかと思いますが、テレビでナイター中継を見ていた記憶が有ります。
で、届いたばかりなんですが、1985年ものは少な過ぎ、1941年ものは飲むにはもう少し落ち着けないと厳しいかと思い、テイスティング無しでご案内させていただきました。
まぁ・・1941年ものはそこそこ数が購入出来ましたので、
「余ったら飲もう!」
と決めていたところ、1日持たずに「すっからかん」になってしまいましたので至極残念だなぁと思っていたところ、ちょこっとだけエージェントさんが持っていたのを今回いただいたんですね~。
反対に言えば、絶対にこれは売れるだろうと踏んでいた、滅茶美味しいしレアな「ラモネ2015年ブルゴーニュ・アリゴテ」や、リアルワインガイドは僅かに点を下げたように見えるが、実は飲み頃予想がだいぶ伸び、実際にはポイントはほぼ変わらないか、今飲んでポイントの高い「ユドロ=バイエ2015年上級キュヴェ」、近年は非常に高価になってしまった21年もののこれからが楽しみなソーヴィニヨン・ブラン+セミヨンの「1996年シャトー・スミス・オー・ラフィット・ブラン」など、noisy的なお勧めがほぼ全滅する中・・、テイスティングで飲んでもいないムルソーの古酒だけが完売と言う、非常に残念な結果に終わった前回の新着でした。「・・今年の早くからの異常な暑さが影響したとしても・・何だかなぁ・・」と脱力感に襲われてしまいます。
で、ついでに・・と言っては何ですが、余り期待出来ないヴィンテージと思われたので仕入れてなかった1974年ものが有る・・と言うので、仕入れてみたんですね。それがこのワインです。
なので、
「こりゃぁ何としてでも、配送で揺れて落ち着いてなくても、全体像だけでもチェックしないと・・」
と言うことだったんです。
非常に細やかな澱は、ややネットリ感をかもし出しつつ僅かに見える状況の中、抜栓してみますと・・

いや~・・この色合いですよ。素晴らしいでしょう?・・まだまだ、非常に若々しいです。
コルクには「Mise en Boutailles dans nos Caves」の刻印が有り、メゾンによる瓶詰め(ブレンド)を伺わせます。
そもそも1974年のブルゴーニュは余り良くないヴィンテージで、マイケルブロードベント翁のワイン・ヴィンテージ案内(柴田書店)によれば、
「少しは感心を引くものも出来たが、今はほとんど残っていない。飲んでしまうこと。」
と、1996年発刊のこの本に書かれています。しかも、
「星は1個(最高は5個・最低は星無し)」
です。
ところがです。この、何とも言えない色合いから、どんなワインか、想像が付かないでしょうか?・・シャバシャバの軽いワインに見えますでしょうか?・・とても見えないでしょう?・・とても濃密なんですよ。
まぁ、色合いに関しましてはPCなどのモニターの癖が有りますから、同条件ではご覧いただけないとしても、
「ミネラリティの密度の高さとエキスの粘度の高さ」
は、見て取ることが出来るんじゃないでしょうか。
柑橘系の程度に熟した密度の高い高貴なアロマ、味わいに、まさに「蜜」のニュアンス、高貴さの有る「石」、何ともかぐわしい「煙」、フィネス溢れる「スパイス」が、まだまだこれから伸びて膨らんで行くのを暗示しているかのような「しぐさ」を見せつけます。
まぁ、まだ未熟な長男と一緒にテイスティングしていたんですが、
「半世紀にも近づく年代ものとは思えない・・」
ようなことを言っていました。要するに「若いし、まだまだこれから伸びる要素を多く持っている」との判断なんです。
noisy は良く言っていることに、「シャンボールとムルソーは滅茶苦茶長命」と言うのが有ります。ハッキリ言って、とんでもない寿命を持っているんですね。
しかもそれは「貯蔵環境にも左右されます」から、冷涼な良い環境に置かれたワインは、さらに長い寿命を得ます。
「長い時間を掛けたゆっくりした熟成」
が行われる訳です。これがスーパーなワインを生む訳でして、
「実はワインファンにさえもまだ余りちゃんと理解されていない」
んですね。
だいぶ昔になりますが、それこそ、かの「ドクトル・バロレ・コレクスィヨン」が世に出回りましたよね?・・よく「ドクター・バロレ」などと言ってました・・でもフランス人ですから・・少なくともドクターじゃ在りえませんが、
「たかが村名の白でも1920年台からのシャルドネの持つ素晴らしい味わい、しかも超若い!」
ワインに、皆狂喜乱舞したはずなんですね。
noisy も1950年台のバロレのシャサーニュなど、決して高くは無かったんですが・・とんでもないほどの美しく芳香高い味わいに「首ったけ」状態にされてしまいました。皆さんも覚えていらっしゃる方も多いはずです。
ですのでこのように、最終的にはネゴスで造られたとは言え、ちゃんと管理され、再度ボトリングをし直しリリースされたことにより、「Mise en Boutailles dans nos Caves」のクレジットになっている訳でして、
「それ以前にはどこかのドメーヌかヴィニュロンが仕上げた1974年ものをネゴスが買い取り、販売できるようにしたワイン」
が、この1974年のムルソーなんです。
柑橘系の果実は若々しく、ムルソーの持つ大理石的なミネラリティが非常に豊富、上記のような蜜や果実、石や煙が高貴に、混然一体となってノーズを襲って来ます。
混然一体となっているからには、それがいずれ一つ一つの要素として感じられるようになる可能性を秘めている訳です。まだ、そこまでは辿り着いていない・・非常に状態の良いムルソーだと言えます。
今飲んでも充分に満足していただけます。
「この・・煙に濃密な蜜、石・・の香りだけで価格以上の価値が有る!」
と申しておきたいと思います。
1941年ものが飲みたくなっちゃいました・・良いお買い物だと思います。是非挑戦してみてください!超お勧めします・・偉大な古酒の赤を喰っちゃう可能性さえも有りますんで、一緒に飲む場合は注意してくださいね・・。ムルソー、万歳!!