【超古酒です!コンディションは抜群!・・旨いかどうかは時の運と抜栓までの努力・抜栓時の技量に掛かっています!】
非常に古い・・が価格は常識ほどは高くない、しかもコンディションは悪く無いと判断できる高級ワインです。ジャン・ルフォーのリリースですから、ある一定以上の仕上がりであることは予想されます。1941年のムルソーも以前にご紹介させていただき、その「若さ」にビックリされたとは思いますが、今回もその1941年ムルソーも再入荷、価格は少し上がってますが、今回のミュジニー1948年は十倍ほど、ヴォーヌ=ロマネ1947年は倍以上のプライスになっています。
まぁ・・古酒と言うもののは非常に面白く、心を弾ませてくれますが、中には古酒を余りお好きでない・・良いとは思えない方もそれなりにいらっしゃるかと思います。
それに加え、
「そんなに熟成しているのだから必ずや素晴らしいだろう!」
と言うような希望的憶測がまるで風船のように膨らみ、いつしか、
「絶対に素晴らしい!」
に変わり、さらには、
「素晴らしくて当たり前」
にまで変化、期待で膨らんだ風船の大きさが実際に臨んだその場での印象に裏切られた時の落ち込みは、やはり大きなショックとなってしまう訳ですね。
しかしながら、ワインは大当たりした時の美味しさと、大失敗やボトルバリエーション等による「今一つ」な印象・・その両方が有るのは当たり前であり、仕方のないことでは有るんですね。
もしくはその、「今一つ」な状況の時こそが重要で有り、
「なぜそうなのか?」
と知恵を絞り、何か打つ手は無いか、対応は無いのか・・を考え、対処するのがまたワインの世界を拡げてくれる訳です。百発百中は・・やはり難しいもので、noisy とてそれは叶わないことですし、ましてやお客様に対してもそれを保障することは叶いません。
例えば1945年のペトリュスが有ったとして、それを販売させていただいたと・・して、じゃぁその味わいを保障できるかどうか・・をお考え下されば良くお判りになるかと思います。それが100万でも300万円でも・・です。・・できませんよね。
それを出来るようにするので有れば、とんでもなく高い価格でワインを売らなければならなくなります。元手の数倍~10倍の価格で販売するようになるでしょう。100万円で仕入れられたとしても数百万円から1千万円で販売できるので有れば、それも可能かもしれません。
しかしながらそれはお金での保障でしか無い訳でして、もし現品でするとなったら・・これはもう無理ですよね。
ですので、そのような保障をするので有れば、ワインの流通は不可能・・出来ないことに繋がってしまいます。
本来で有れば、保証が出来るような世の中の構成で有るなら良いんですが、とてもそのような富裕な状況では
ありません。
noisy としましては、出来る限り良いものをお届けさせていただく・・こりゃ駄目だと思われるものは販売しません。しかし、保証はできません・・と言うスタンスでしか存在できないんですね。
このミュジニー48年もそうです。やや淡い綺麗な色合いをしています。キャプスュルも回ります。液面も上下は有りますが適正です・・と言うか、上下が有る・・つまり、古酒だからと言って調整は最小限であることの証しでも有ります。そして細やかな澱が存在するであろう色合いをしており、立てておいたボトルの下にはやや大きめな澱が混じり、その下部の部分の液は、上部の液とは違う揺れ方をしています。つまり、ゆったりと動いているのが判ります。比重の大きい部分が下の方に集まってきている訳です。
ヴォーヌ=ロマネ47年も似ていますが、ミュジニーのように非常に細やかな澱は少ないように見えます。その分現状では透明度は高いと言えますから、ミュジニーは立ててしばらく・・いや、長めに立てる必要が有り、ヴォーヌ=ロマネはミュジニーほどは長いく立てなくて良いと言うことになります。
このような非常に古いブルゴーニュワインは、20年前までは結構市場に存在していました。勿論ですが今回のように時折出て来ることは有ります。しかし、その価格は非常に上昇し、普段飲みできるようなプライスにはなっていません。昔はそれこそ数千円で・・高くても1~2万円で購入が可能でした。
例えばミュジニーと言うワインは、飲めるようになるまで半世紀、まともに美味しくなるにはそれからさらに30年・・ほど掛かると思われますから、
「ミュジニーの本来の姿を見るには80年が必要」
と言うことになります。
で、このミュジニーは70歳です・・そろそろ・・じゃないでしょうか。もしミュジニーの本質をちょっとでも見てみたいと思われるのであれば、有名どころの2015年のミュジニーを購入するのも良いかもしれませんが、こちらは誰のものかは判らないにせよ・・価格は・・そんなに変わらないですよね。
noisy がワインを勉強し始めた頃は、勿論、インターネットは日本で普及しておらず、情報もほとんど入手できない状況でした。それでも例えば・・D.R.C.の1930年代の「レ・ゴーディショ」・・そう、ラ・ターシュになる前の筆記体のエチケットですよ・・そんなものが購入出来た訳です。価格は覚えてはいませんが、高いな~と思った記憶が有ります。インターネットが始まって、得ようと思えば探すと結構、情報が得られるようになり、
「これからはインターネットの時代だ!」
と感じたものです。パソコンも20歳台からやってましたので、結構スムーズにインターネット時代に移行出来たと思います。なので1995年にはホームページを立ち上げ、1998年にはネット販売も始めました・・・あ、今年はネット販売20周年記念でした!
そんなパソコン時代(パソコン通信も含む)からワインを飲み始め、勉強してましたので、素晴らしいものからジャンクなものまで、多種多彩なワインに接して来ました。ワインのコンディションは今の方が格段に素晴らしいです。何せ、赤道を越えてやってくるのに・・リーファーじゃなかった訳ですから・・。
リーファーと言えば、今では当たり前に使用している言葉では有りますが、そのインターネット創成期は、「リーファーコンテナ使用」とは、簡単には言えなかったんですね。その頃「リーファーコンテナ」と言う名称は、東京の某ショップさんが意匠を持ってまして・・使えなかったんですね。なので、「冷蔵コンテナ」とか何とか・・言ってましたかね。つまらんことを覚えてます。
そのリーファーコンテナを使用して輸入するのが当たり前・・なんですが、今でもまだ裏ラベルにはそのように記載が有っても、実際は使用していない・・とか、使用していてもコンテナにパンパンに詰め込んでしまうので、その特性を生かせないエージェントさんもおられます。何せ、エアコン付きのコンテナですから空気を冷やす訳でして、その空気が循環する「隙間」がまるで無い状況で輸入してしまう訳です。そうなるともう・・ワインはどうなってしまうか、お判りですよね。
noisy 的には、ワイン屋の仕事はそんなどうしようも無いワインを除外すること、出来るだけ良い状態のワインを販売すること、誰も知らないワインを判り易くお客様に紹介すること・・だと思っています。そして、誰が何と言おうが、
「ワインの寿命が10年?・・それはスーパーさんで販売しているようなワインのことでしょう・・まともに造られたものでちゃんと管理されたものなら、そんなに短い訳が無いです。」
と言います。少なくともnoisy が扱っているワインはそうです。某有名ワイン評論家さんが有名ブルゴーニュワイン、ボルドーワインを「7~8年以内に飲むべき」と安易に言い続けた結果、
「若いフレーヴァーが無くなった段階でワインは終わる」
と判断される方が増えてしまいました。とんでもない話しです。
しかし、だからと言って、この1947年、1948年のブルゴーニュワインたちが必ず美味しい!・・とは言えない訳ですし、残念ながら保証も出来ない・・んです。
「美味しく無かった!・・どうしてくれるんだ!」
と言われてもどうしようも無いんです。
しかし、だからこそワインが楽しいので有り、すべてが上手く行って素晴らしい古酒を堪能できた時の感動は何とも言い表せないものになります。少しだけ失敗しても・・誰かがそうしてしまっても・・その結果としてのワインの味わいになります。
ヴォーヌ=ロマネと言うブルゴーニュの偉大な畑が連なる畑で、第二次世界大戦が終了して2年目の1947年のワインです。この年は、マイケル・ブロードベント翁のワインヴィンテージ案内(柴田書店)によれば、星4つのとても良い年とされています。1945年、戦争が終わった年の星5つに次ぐヴィンテージで有り、今となってはもう幻のようなヴィンテージと言えます。
1948年は星2つ~星3つの平均的なヴィンテージでした。しかし翁は、「中には非常に高品質なワインもあった」と書いており、ましてや「ミュジニー」ですから非常に長命、ようやく飲み頃にたどり着いた頃と思われます。後は購入された方がどのように扱っていただけるか・・に掛かっていると思います。念入りな澱下げは必須、また、抜栓後にグラスをコレクションからきっちり選択することも必要かもしれません。
それよりもまず、コルクをどう抜くか・・を考えておくべきでしょう。こんな感じだったらこうしよう・・例えばコルクの先っぽだけが生きていて、途中がやわらかくなっていたら・・と言うようなシュチュエーションを想像してみる・・そしてその対処を考えておくことも必要かもしれません。何せ、液面がやや高め、それよりもやや低めのボトルが来ていることを考慮するなら、
「余り弄り回していない・・つまり、補酒をしていない」
可能性が有り、補酒をしていないならコルクは打ち変えていない可能性も有る・・と考えられるからです。打ち換えられていればコルク抜きは難しくは無いですが、その際、So2は使用したはずですから、少し硬くなっている可能性が出て来ます。打ち換えていなければSo2は完全に無い状況でしょうから、グラスに注いだ後の変化は大きいと予想されますので、その辺りはお含みおきください。
まぁ・・何せ2本ずつ、ようやく買えた古酒ですので、テイスティング出来る訳も無く・・すみません。しかしながら今までご紹介させていただいたジャン・ルフォーを思い返せば、とても少なく見積もっても平均以上のパフォーマンスは見せてくれるんじゃないかと思います。貴重なワインです。70年のミュジニーは、計算では1日辺り4.69円・・と出ました。4.69x365x70≒120000です。ヴォーヌ=ロマネ1947年に至っては1.41円に過ぎません。冒険になるかもしれませんが、是非とも古酒の世界を、もしワインの本質に触れていただくことが出来るワインであったなら・・と思います。ご検討くださいませ。