
滅茶苦茶旨いです!・・普通ならちょっと野暮ったいか、どこかしらにバランスの崩れを感じる・・いや、南仏に視線を持って行って飲んでいればさほどではないにせよ、
「暑苦しい・・」
とか、
「濃ゆい・・」
とか・・果ては、
「甘い!」
みたいなものでしょうかね。そのワインのポテンシャルを計る前に挫折してしまうワインが多いように思います。
それに、フォジエールと言えばビオの大御所、レオン・バラルさんもいらっしゃいます。noisy 的には、レオン・バラル推しだったんですが、いつだか・・「揮発酸バリバリのある意味もの凄いフォジエール」に当たってしまい、それ以来モチベーションが上がりません。ナチュラルで生き生きとしていても、ポテンシャルが凄く有る(・・それもどうだかとは思いますが)と感じられても、
「私はお酢を飲みたい訳じゃ無いんだよ・・」
と言う気持ちが沸々と湧いて来てしまうようではどうなんでしょう。・・いや、ちゃんと出来ていて素晴らしいヴィンテージも有りますが、
「その状態でリリースしてOKだと思っているの?」
と言うような疑問が拭えない訳ですね。お客さんにも何と言ったら良いのか・・ワイン屋としても非常に難しい立場になります。
そんな中、2015年ものもエレガントで甘く無く、暑苦しくないエキス系の素晴らしい味わいだった、カトリーヌ・ロック女史のフォジエールですが・・2016年ものは・・
「そこをあっさり超えて来た!」
と言いたいと思います。
まぁ、おそらく誰にも文句が出ない仕上がりじゃないでしょうか。ブルゴーニュファンも全く容易に受け入れてくれるでしょうし、ボルドーやローヌワインのファンにも
「美味いね~」
と支持していただけるだけのポテンシャルとバランスの良さ、そして美しいディテールが有ります。しかもそこにはナチュラルさとピュアさが同居し、あの全てを台無しにしてくれてしまうような揮発酸の存在は有りません。
だって・・ある程度の揮発酸生成のラインを超えると、ファーストノーズと、中盤以降~収束までの味わいは、すべてのテロワールと個性を崩し、同じ余韻になっちゃいますんで・・。
そんな意味も有って・・いや手前味噌では有りますが、自然派ワインファンで有りながら、noisy からしか自然派ワインを買わない方も結構いらっしゃるようです。
この、どこまでも冷涼で純粋で柔らかくてちゃんと酸が有りつつ酸っぱく無くて美しく深い・・そして甘みに逃げない素晴らしいバランスを持ったフォジエールを、ぜひ飲んでいただきたいんですね。美味い事この上無いです!是非飲んでみて下さい。久々の一推し!アペラシオンだけによる選択は止めましょう!超お勧めです!
以下は2015年モンファレットのレヴューです。
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【エレガントなフォジェール!?・・確かにカトリーヌ・ロックのピノ・ノワールに似た品格の有る涼しい味わいです!】
南仏のフォジェールAOCです。ムールヴェードル主体ですね。大量に出来てしまう葡萄をコントロールしつつビオで栽培した高級ワインです。
まぁ、noisy のお客様はブルゴーニュ好きが多いですから、余り暑苦しさの目立つワインは元より、エレガントでは無いワインは中々売れません。・・なんででしょうかね・・(^^;;
例えば、造り手紹介欄の写真を見ていただくと判るかと思いますが、このような急峻な斜面の、しかもかなり高度の高い位置の畑からの写真です。
それに加え、カトリーヌさんは斜めですし建物の左側が下がっていますから、写真で見えるよりもより斜面は急だと言うことが判ります。畑は雑草が枯れた秋~冬にかけてのものと思います・・違うかな?・・でも枝がまだ伸びていて、葡萄の葉っぱが無いので・・。
このような斜面の畑で、ヘクタール辺り20ヘクトリットルしか収穫出来ない(しない)と言うことになり、しかもそれはエレガンスを生かしたものですから、遅熟などはさせない、適度な熟度の健康な葡萄を収穫することに賭けているんだろうと想像できます。
左の写真もまったく色味や明るさの調整をしていませんが、美味しいと思えるワインはほぼ間違い無く、なんの調整をせずとも綺麗に映る場合が多いです。それは特に赤ワインに顕著かな・・と思いますが、稀に素晴らしいワインでも、グラスの横に置くボトルの性でしょうか、真っ白だったり、真っ黒だったり、単色だったりすると、上手く行かない時も有ります。こちらは白いエチケットですが、一面的でない、見事なグラデュエーションで撮れました。
2015年と若いですが、今飲んでもとても良いバランスです。時にこの辺りのワインはスパイスがきつかったり、甘かったり、疲れるほど濃かったりします。しかし、この色合いから言っても、「それはきっと無いな」と言うことは判るんじゃないかと思うんですね。
ピュアなチェリー、ワイルド・チェリーがややビターに感じられる果実味に、透明感の高い、比較シンプルな・・いやブルゴーニュ的な石灰系ミネラリティがふんだんに感じられます。ボディは中庸で適度に膨れていて、終盤がややタイトですから・・・普通ならこの辺りのワインは後口からがボリューミーなんですが、綺麗な収束を見せてくれる中調子です。
おそらく2年ほどしますと、ムールヴェードル主体ですから、ワイルドさ、獣っぽさが出て来て、ちょっとコート=ロティ風なニュアンスがトッピングされるんじゃないかな?・・と思います。
現状は他のコラムでご紹介させていただいているカトリーヌ・ロックさんのピノ・ノワールを僅かにふくよかにしたようなニュアンスです。とても良いバランスだと思います。
巷で騒がれているのが判る美味しいフォジェールでした。是非飲んでみてください!お勧めします!