● こちらもカトリーヌ・ロックのドメーヌです。濃く無い・・主張が強過ぎないエレガント系の味わいです。
そして、So2がほぼ感じられない、しなやかでやわらか、それでいて傍若無人な揮発酸のニュアンスが無い・・加えて素晴らしいポテンシャルをも持っています。
やはりワインに対する姿勢が素晴らしいと思います。娘さんのアリックスのクロヴァロンも素晴らしい!・・是非飲んでみてください。惚れちゃいます。
■ ナチュラルかつエキスたっぷりなフォジェールの最も情熱的な表現

◇ 冷涼な畑をビオディナミで耕作し、ナチュラルな醸造
マス・ダルゾンは、ドメーヌ・ド・クロヴァロンを創設したカトリーヌ・ロックがフォジェールで手掛けるヴァン・ナチュールです。カトリーヌは標高300~470mの冷涼な畑をビオディナミで耕作し、ルロワやビゾなどと同様、ロニャージュをせず伸びた枝を編み上げるトリコタージュを実践しています。ブドウ木は平均樹齢50 年の古木がメインで、他のドメーヌより1 ヶ月以上遅摘みしたブドウを野生酵母で全房発酵し、亜硫酸も無添加(白のみ瓶詰め時に必要最小限のみ添加)でナチュラルワインに仕上げています。
◇ ナチュラル・ワインの祭典
「Raw Wine Fair」にも参加するマス・ダルゾンのワインは、カリニャンやシラー、ムールヴェードルなどローヌ系品種が主体です。しかし、品種固有の重たさはなく、フレッシュで冷涼感たっぷりで、繊細なテクスチャーと細身のフィニッシュなど、ブルゴーニュに通じるフィネスとエレガントさを備えています。ドメーヌはこれまであまり国際市場で表に出ていませんでしたが、2017 年からはナチュラル・ワインの祭典「Raw Wine Fair」にも参加し、非常にキレイな造りのナチュラル・ワインであることを世界各国にアピールしています。

◇ ドメーヌについて
Mas d’Alezon マス・ダルゾンは、ラングドックのピノ・ノワールのパイオニアであるドメーヌ・クロヴァロンを独学で牽引してきたカトリーヌ・ロックが、1997 年にクロヴァロンの南隣の村のフォジェールに購入した畑によるドメーヌです。マス・ダルゾンの畑はクロヴァロンよりもさらに標高の高い300~470mの冷涼な場所に位置しています。AOC フォジェールの栽培区域内で最も北に位置し、最も標高の高い場所(470m)であるため、一般的に温暖なラン
グドックとは対照的に、冷涼な気候の特異なミクロクリマを享受しています。
栽培面積は現在10ha で、赤ワイン用ブドウ6 品種(リュドナー・ペルト、サンソー、カリニャン、ムールヴェードル、シラー、グルナッシュ)、白ワイン用ブドウ5 品種(クレレット・デュ・ラングドック、ルーサンヌ、グルナッシュ・ブラン、グルナッシュ・グリ、マルサンヌ)が栽培されています。畑は品種毎区画に分かれ、1ha を超える区画はムールヴェードルとシラー、グルナッシュの区画しかありません。

その他は全て1ha 以下の小さな区画になっています。畑全体の平均樹齢は30 年ほどですが、グルナッシュ、サンソー、カリニャン、リュドナー・ペルト、グルナッシュ・ブランなどの主要品種は平均樹齢50 年の古木で、特にカリニャンは樹齢100 年を超えるプレ・フィロキセラのブドウ木で、接ぎ木していない自根のブドウ木です。
ドメーヌ名のMas d’Alezon マス・ダルゾンのAlezon アルゾンとは、フランスのカトリックとプロテスタントが休戦を挟んで40 年近く戦った16 世紀のユグノー戦争の際に活躍した隊⾧の名前。このアルゾン隊⾧が戦後に褒章としてちょうど現在ドメーヌの畑がある土地の所有者になったことから、ドメーヌ名にアルゾンと付けられました。
ドメーヌは2017 年からナチュラル・ワインのイベント「Raw Wine Fair」に参加しています。Liedoner Pelut リュドナー・ペルト葉の裏側が綿毛で覆われたGrenache Poilu グルナッシュ・ポワリュのカタルーニアでの名称。造られるワインはグルナッシュ(ノワール)に良く似ており、ラングドック・ルーションのAOC ワインに公式に使用が認められ広く使われている。通常のグルナッシュ(ノワール)に比べて腐敗に冒されにくい特徴を持っている。
◇ 栽培について
ドメーヌでは畑を取得した1997 年からビオロジックを実践。その後、2000 年に完全なビオディナミへと移行し、全ての畑でビオディナミによるブドウ栽培を行い、現在ではドメーヌの全てのワインが厳格なデメテールの認証を受けています。地質はシスト(片岩)土壌で、植樹比率は1ha 当たり6000 本。剪定方法は品種に応じてゴブレ式、もしくはコルドン・ロヤ式です。収量のコントロールは剪定段階で行っています。剪定の際、極めて短小に剪定に行うことによって収量が増えないよう調整しています。

通常、剪定がうまくいけば想定した収量に誘因できるため、基本的にグリーン・ハーヴェストは行いません。しかし、芽かきは、翌年の剪定をやり易くしてくれるため、実施しています。摘芯は行いませんが、「Tricotage トリコタージュ」という、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワでも行われている手法が取られています。これは枝先を切らずに伸びた枝を巻きつけて編んでいく手法で、ブドウが色付きの段階で行っています。除葉は基本的には行いませんが、9 月の段階でブドウの成熟が遅い場合は行っています。
収量は品種や区画によって異なりますが、1ha 当たり20 ヘクトリットルを超えることはありません。特にプレ・フィロキセラのブドウ木のカリニャンなどは収量10 ヘクトリットルという少なさです。このため、栽培面積は10ha ですが、ドメーヌのワインの全生産量は年間2 万本以下という少なさです。
畑の耕作は年2 回行います。冬場はつるはしを使って手作業で、もう一回はブドウの芽から綿毛が出た頃からブドウが結実する間の時期に馬を使って行っています。耕作と同時に、ブドウ木と競合関係になってしまう不要な雑草を取り除いています。除草剤は一切使用していません。また、ヤギの糞を使った堆肥やビオディナミの調剤をコンポストとして畑に撒いています。
* Tricotage トリコタージュについて
摘芯は、結実した実により養分がいくように、また伸びていく枝が他の葉に影を作ったり、絡まって風通しが悪くなったりするのを避けるために、不必要な枝先を切る作業です。しかし最近は、伸びていく枝先こそがブドウの糖分を作るのに役立っていると考えられており、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワのように摘芯をしない造り手が増えています。これらの造り手が、摘芯をしない代わりに行っているのが「トリコタージュ(フランス語で「編む」という意味)」です。これは、糖質を作る枝先を切らずに、枝が影を作らないように伸びた枝を巻きつけて編んでいく作業です。

◇ 収穫と醸造について
マス・ダルゾンのブドウの収穫は、フォジェールの造り手の中でも最も遅く、例年9 月下旬から10 月中旬にかけて行われます。昼の暑い時間帯を避け、早朝に収穫を行います。全て手摘みで実施し、収穫したブドウは潰れないように小さなケースに入れて醸造所まで運ばれます。選果は、収穫直後に畑で1 回、さらに醸造所に運んで醸造する前に1 回の合計2 回行われます。
醸造はブドウに付着している野生酵母のみで行い、他のいかなるものも加えません。SO2 も無添加(もしくは必要最低限のみ添加)。ブドウは除梗せずに全房で発酵を行います。発酵は品種毎別々に行います。品種に応じてステンレスタンク、セメントタンク、木製発酵槽、オープントップの樽などでアルコール発酵を行います。発酵温度は25~28 度の低温で行います。醸しに関しては、発酵の最初の段階でポンピングオーバーを1 回のみ行います。発酵期間中は1 日2~3 回のデレスタージュを実施します。ピジャージュは頻繁には行わず、発酵の最終段階で1 日1 回の実施に留めます。発酵期間は5 日から7 日。
キュヴェゾンの期間は約3~4 週間です。圧搾後は、容量225 リットルのバリックもしくは容量150 リットルの木樽に移し、マロラクティック発酵と熟成を行います。新樽の比率はキュヴェに応じて20%程度。その他は、白ワインの熟成に使用した1~3 年樽が用いられます。
マス・ダルゾンでは、フレッシュ感とタンニンの繊細さ、ブドウに備わっている複雑な香りを引き出す醸造を行っています。過剰なアルコール度や力強さなどは追求していません。