[ Oisy wrote ] カトリーヌ・ロック女史のワインというのは「本当にSO2フリーなの?」というほどに安定していますね。毎度毎度驚かされます・・・
このル・プレビテールも例に漏れずで非常に安定しています。ただし、還元・・というほどではないですが、閉じ気味の気配がありますので、早めに飲まれる場合は酸素とよく触れ合わせる必要があります。
そしてうまく酸素と触れあった暁にはなんとも良い香りが待ち受けています。紫を含む赤果実にエレガンスがちゃんとあり、花のような含みがあります。これ、「ラベンダー」っぽいですね。意外と出会うことの少ない香りですが、結構ちゃんとラベンダーしてます。
そこに土着品種のスパイス香が穏やかに乗っており、芳しい芳香です。スタイル的にはやはりブルゴーニュ的なエレガント系なんですが、赤果実だけではなく、同量程度の花とスパイスを含むこの香りは・・・フォジェールの専売特許ですね!
一方味わいは赤い果実に溢れていると言えるほどにチェリー感に富んでおり、エキス的です。質感もやはりSO2フリーの面目躍如で、柔らかく、しなやかで、実に伸びやかです。そして余韻にまたラベンダーっぽさが顔を出し、すーーーーーっと伸びていきます。
サンソー、グルナッシュ、カリニャンというラングドックブレンドで、確かにそのオリジナリティは感じるんですが、ここまで上品な質感のエキスに仕上がっているラングドックワインは他に見たことがありません。この辺りの特徴には、やはり酸の冷涼感が大きく寄与していると考えられ、カトリーヌ・ロック女史が標高の高い畑を好んでいる理由が現れています。
ラングドックっぽくないか?と聞かれればそんなことはないんですよ。確かに、品種特性はラングドック土着品種のものを感じますし、エキス的でありながらよく熟したジューシーさも同居しています。ただフィネスの緯度感だけがラングドックより北部に位置しています。
赤果実のしなやかな上質エキスにラベンダー的な紫色の花の香りがなんとも芳しい、エレガント系ラングドック・ブレンドです!ぜひご検討くださいませ。
[ Noisy wrote ]以下は以前のレビューです。
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【濃密なのにドライで暑苦しくない・・冷涼さたっぷりの「するり」と飲める赤!・・なんでしょう・・ちょっとビックリです!】
noisy的には・・昔はこのフォジエールとかラングドックとか・・余り好きでは無く・・。
と言いますのは、甘いし・・クドイし、暑苦しいし、初盤から中盤だけのジューシーさだけで余韻が短いし・・自然派系では臭いし・・と、余り良いことが無かったんですね。
時代は「濃いワイン」を求めていたと思います。1990年代から2000年代の初め頃まででしょうか。幾つか高評価なワインも出始めましたが、
「南仏のロマネ=コンティ」
とか・・アドヴォケイト辺りで持てはやされて、100点とか取得しますと・・
「じゃぁ・・飲んでみようか」
と・・。
南仏じゃなくても・・ボルドー周辺でも、シャトー何とかがアドヴォケイトで高得点を取ったとかの話しになりますと、ネットはもう・・物凄い勢いで、
「シャトー・モxペx ついに入荷!」
とかで・・大騒ぎも良い頃でした。
まぁ・・noisy も品質やポテンシャルチェックのため、一度だけ・・無理して仕入れてみましたが、一度切りで止めました・・性に合わないと思ったんですね。言われるほど大した事は無かったし・・。

で、このマス・ダルゾンはカトリーヌ・ロックのドメーヌですから、もしかしたらアレックスも絡んでいるのかな?・・これもまた・・
「めっちゃ美味しい!」
です。
アレックスが造る2022ピノ・ノワール/クロヴァロン よりも濃厚では有るんですが・・甘く無いし、エキス系で赤果実が美しい表現でディテールまで描かれています。
ほんのりと粘度、細やかな石灰、残存 So2 の激少なさからの優しさ、ふっくらとした滑らかなテクスチュア・・。これ、ブレンドなんですけどね・・こなれていて、ブレンドと気付かないかもしれません。
サンソーやグルナッシュ、カリニャン等と言う、まさにラングドックブレンドなんですが・・
「本当にラングドックなの?」
と思えるような涼やかさとバランスの良さ、飲み心地の良さに「ぐっ」と来てしまいますよ。
きっと・・濃いワインにしたくないんでしょうが、無理にやって下手をしますと青臭くなってしまうはずですから、きっとテロワールが補助してくれているんだろうと思うんですね。
ほんと、昔のラングドックのワインは・・美味しく無いのが多かったですが、やはりアレックスとカトリーヌの母子・・半端無いと思ったテイスティングでした。
価格もピノと同じにしましたので、是非飲んでみてください。超旨いです!
以下は以前のレヴューです。
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【モンファレットをよりチェリッシュに、赤く染めたエレガントなフォジェールです!!・・カトリーヌ・ロックのピノ・ノワールに似た涼しげな味わいです!】

これも美味いですね~・・。ただし、ほぼ完璧と思える「モンファレット」の柔らかさはソフィスティケイト・・いや、若いからかなと思いますが、黒みはやや赤く、より新鮮な果実に振ったかのような、暑いフォジエールA.O.C.では余り感じられないような仕上がりです。
この1~2週間と言うものは、台風有り、地震有りで日本列島は大騒ぎ・・しかも犠牲になった方も多くいらっしゃいました。2カ月前も西日本の大雨で多くの犠牲者が出ましたので、
「・・何とも悲しい状態・・」
が日本を覆っており、noisy としましても、ワインの案内など出していて良いのか?・・などと随分と悩みました。
ワインのインポーターさんも、先週は随分と北海道に集まっていらしたようで・・いや、有るお店のワイン試飲会のお手伝いだったようですが、正に北海道地震に巻き込まれたらしいんですね。
ワイン屋にとってはセラーは生命線ですから、ほとんどのセラーが電気を使用せざるを得ない訳です。地震で電気の供給が止まれば、それはセラー内のワインの崩壊に繋がりかねません。おそらくですが、北海道で電気が止まっていた間は、ワイン屋さんも、またその他流通業の冷蔵・冷凍ものを扱う業者の方々も生きた心地がしなかったに違いありません。
1~2度のセラー温度の緩やかな上昇や下降は許容範囲内ですが、電気が止まったまま1週間とかは・・考えたくないですよね。noisy も知り合いのワイン屋さんたちに、どんな対処をしたのかなど・・聞きたいところでは有りましたが・・
「聞かれたくないだろうな~・・少なくともnoisyには・・」
と思い留まりました。
しかし考えてみれば、流通業者だけでは無く、ワイン生産者にも・・「そのまんま」・・言えることなんですね。半地下のような簡易セラーがまだアチコチに残っているフランスでも、今ではかなり変化が有ります。それはやはり、温度管理がワインに及ぼす影響が大きいからです。
カトリーヌ・ロック女史のこの素晴らしいフォジエール・ル・プレビテールからも、そんな、
「不要な温度が積み重なった感」
は皆無です。それこそがこのワインの美味しさの原点かと思います。そこにカトリーヌ・ロック女史の「感性」が・・見事に加わっているんですね。
濃密さが有りつつもさらっとした練れた美味しさを見せる「モンファレット」に対し、よりピュアでほんのり軽量で、赤く若い味わいを見せるのがこのワインです。感覚は、
「しっかりとしたピノ系?」
とも思えなくも無く・・・字いや、実は2017年のカトリーヌ・ロック女史のピノ・ノワールもテイスティングしているんですよ。悪くないんですが・・ちょっと若過ぎるんですね。これをご紹介してしまうと、せっかくカトリーヌ・ロック女史のワインが世に受け入れられてきたのに水を差すんじゃないかと危惧した訳です。
誤解されると困るのでお伝えしておきますが、2017年のネゴスのピノ・ノワールは、現在はちょっと若過ぎ、半年ほど寝かすべきと言うのがnoisy の判断で、「駄目」と言う訳では有りません。半年後なら・・扱いたいところですが、輸入してしまったものはさっさと供給したいのがエージェントさんの意向でしょうから・・noisy としましては、今回はパスさせていただきました。
半面、モンファレット、そしてこのル・プレビテールの出来が素晴らしいので、皆さんにはぜひこちらを飲んでいただきたいと思います。
黒い果実中心だがそこに赤が差し込むモンファレット、赤果実中心でそこに紫が入るル・プレビテールです。是非飲んでみてください。超お勧めです!!