
それなりに結構長いワイン屋人生を送って来た noisy ですが、ここまで急成長・・と言うか、「激変」した造り手に出会うことは、まず無かった・・と言えます。
記録では2002年のデゾネイ=ビセイのワインをご紹介させていただいたようになっていますし、noisy もちゃんと覚えていまして、そこそこは美味しいんですが、何せ野暮ったい・・テクスチュア良く無い・・干乾びた感じ・・(すみません・・)が何とも評価し辛く、ただ上級キュヴェはそれなりに・・と言うか、畑のポテンシャルがワインの味わいを押し上げていましたから、
「それなり・・だよなぁ・・」
と言うような自身の評価でした。
なので、フィネスさんとリスタートしてからもテイスティングはしましたが、決して noisy も再度扱うことなく、今現在に至っている訳です。
しかしながら、昨年の2014年もののテイスティングにおいては、ミネラリティが前面に出て来て、何とも武骨だった味わいに変化を感じたものの、やはり扱おうと言う気にさせるようなレベルにまでは至らず、
「・・ん・・やっと人並み・・(・・すみません・・)」
と言うような印象でした。
ところがこの2015年ものはどうでしょう。何とも美しくミネラリティが輝いているような素晴らしい色合いをしているのが判ると思います。
上の写真はACブル、下が、左上からACブル、右上がシャンボール=ミュジニー・コンブ・ドルヴォー、左下がヴォーヌ=ロマネ、右下がジュヴレ=シャンベルタンです。
どれも非常に美しい色合いで、透明な石灰系ミネラリティが赤を中心とした色合いを「コーティング」したように見受けられます。
これはまるで「シルヴァン・パタイユ」系のワインに観られるような色合いでして、正に今、シルヴァン・パタイユをご紹介させていただいていますし、そのテイスティングをしたばかりですので・・
「・・うわぁ・・もしかして彼のところのコンサルティングを受けてるのかなぁ?」
などと邪推したくなるような見事な味わいなんですね。
しかもデゾネイ=ビセイはコート・ド・ニュイの北から南にバランス良く畑を持っていまして、ジュヴレ有り、ヴォーヌ=ロマネ有りのフラジェ=エシェゾーの生産者なんですね。
各ワインにつきましては各コラムをご覧いただければと思いますが、このACブルゴーニュ・ピノ・ノワール・ヴィエイユ・ヴィーニュは、
「フラジェ=エシェゾー村のACブルゴーニュ格の畑」
で造られています。これ・・まず滅多に無いです。

しかも、フラジェ=エシェゾーの下部(東側)はクロ=ヴージョ、南側はヴォーヌ=ロマネの偉大な畑群、北側はシャンボール=コンブ・ドルヴォーに囲まれていますから、
「エシェゾー、もしくはヴォーヌ=ロマネ1級(レ・ボーモンとレ・ルージュ、アン・オルヴォー)以外の高い位置にある畑」
と言うことが判ります。フラジェ=エシェゾーはエシェゾーとヴォーヌ=ロマネ1級でほぼ占められちゃってますから・・。
・・と書いていたんですが・・間違いでした。確かにヴージョせき止められたような形になってますが、ヴォーヌ=ロマネ側に僅かに張り出した部分が有り、そこにレ・ルージュ・シャンとル・ポワリエ・ドウットが有りました。つまりここは東側、国道の下側です。レ・コンブと言う畑は国道側には無いし、何せ、コンブ・ドルヴォーのコンブ(谷)なので、こちらは上部(西)ですね。つまりは、アンリ・ジャイエが古の手法を復活させたとか初めてやったとか言われているキュヴェ・ロンドと言う、上部と下部のクリマの葡萄をセパージュする方法でした。すみません。
で、飲んでみるとこれが今までとは大違い・・と言う部分は置いといて・・
「まるで、プティ・プティ・エシェゾー!!」
なんですね・・。
良く出来たバランスの良いエシェゾーを、軽~く・・超エレガントにしたような味わいでして、(比較的)乾いた畑のニュアンスと、高貴な土のニュアンス、白い石灰がベースに有り、見事に赤いチェリーと黒いチェリーがしっかり丸く感じられ、それを透明なガラスやクリスタルのようなミネラリティがコーティングされるように、ツヤツヤのテクスチュアを感じさせてくれます。
香りの上がり方も、そのピュアなニュアンスも、昨年までとは大違いで、非常にドライなのに何とも言えぬ心地良さは、
「まるでルイ・ユエランのシャンボールやACブルのワビサビの効いたジンワリと美味しいエキスそっくり」
でも有り、シミジミとした美味しさにやや高貴さをプラスしたような、素晴らしい出来栄えになっています。
まぁ・・何で「プティ」を2回繰り返したか?・・・っていうとですね・・ちゃんと理由が有りましてね。それはシャンボールのコンブ・ドルヴォーがモロに「プティ・エシェゾー」だからなんですね。なので、その名前を付ける訳には行かなくなりまして、繰り返すことにした訳です。
デゾネイ=ビセイのワインを良くご存知の方は、是非とも「有り得ない変身」をしたこのワインを飲んでみていただきたいと思いますし、全く知らない方も、この素晴らしい2015年のワインがデゾネイ=ビセイの最初の印象になる訳ですから、初めて飲んだデゾネイ=ビセイがとても良い・・と言う理解をしていただけるものと確信しています。
是非どうぞ、この2015年ACブル、飲んでみてください。実はそんなには数は確保できないんです。なのでお早めに!お勧めいたします!