
グラマラスな仕上がりだった2020年ものです。ムルソー好きにはたまらない・・オイリーで黄色い果実がテンコ盛りなスタイルでした。2021年ものはどうだったでしょうか。
フランソワーズ・アルペランジュさんはこんな風に言ってます。
「2021年は3月までは温暖で雨が多かったが、4月初旬に急激に寒くなって霜が降り、葡萄畑で大きな被害が出てしまった。また、開花期の天候も不安定で花ぶるいも起こってしまい、さらに収穫減となった。7月以降も雨が多く湿度が高い日が続き、8月末にようやく夏らしい気候が戻ってきて、その後、葡萄の成熟は順調に進んでいった。白は繊細ながらも果実のアロマが豊かでバランスも取れており、余韻の長さも素晴らしい偉大なヴィンテージとなっている。」
そうなんです・・赤ワインもそうですが、白ワインも2020年と2021年ものじゃ・・全く性格が異なるんですね・・。
安直に言ってしまえば・・
「2020年は豊満でオイリー、2021年は筋骨隆々」
です・・(^^;;
2020年ものはファットな美味しさ、2021年はソリッドで繊細さを感じる美味しさ・・と言うことになろうかと思いますが、このA.C.ブルもしっかりそのライン上に有るのが・・面白いですよね。

で・・グラスでのその見え方ですが、どうでしょうか・・2021年ものの方がより濃く、2020年ものの方がタイトで、
「・・ん?・・逆じゃない?」
と思えませんでしょうか。
まぁ・・赤ワインの場合と白ワインの場合は結構に・・違って見えるはずなので、
「色が濃いから味わいが濃い」
と言う赤ワイン的な捉え方は、単純には出来ないんですね。
白ワインの場合の濃い目の色彩は、結構に酸素吸収度や樽からの色が関係して来ます。ポテンシャルが高いと樽に負けない・・負かしてしまう位な訳です。
でも造り手さんとしましては、その辺りは「ベストなバランスを探る」訳でして、樽の使用率、樽に入れておく時間の長さなど・・調整しますし、それが色彩に影響して来ます。
まぁ・・赤の方はむしろもう少し単純な見え方はするかもしれませんが、2020年のペルナン赤は良く熟した色彩はしていたはずですが、2021年もののこのA.C.ブルやペルナン白は、
「むしろ2020年ものよりも濃い黄色をしている」
のはそのためかと思われます。
豊満さはやや削がれ、ブルゴーニュ・シャルドネとしての健康的なスタイルを得たのがこの2021年のA.C.ブルで、エキスが綺麗に出たドライな味筋、柑橘果実、果実が適度に感じられ、筋肉のようなテクスチュアをモリモリ感じられる中盤~終盤です。余韻も実に良い感じで・・まぁ、この言葉が良いかどうかは微妙では有りますが、
「化粧っ気の無いドすっぴんが美しいヴィンテージ!」
と言えるんじゃないかと思います。
今飲んで良く、また数年の熟成も可能です。飲んでみてください。非常にリーズナブルだと思います。お勧めです!
以下は以前のレヴューです
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【ピュア&フレッシュだけれどとても滑らか!中量級のミネラリティたっぷりな旨いシャルドネです!】
滅茶美味しいです!・・ミネラリティの重量感は、ムルソーと言うよりもピュリニーやシャサーニュに近い、ムルソーよりも軽やかな感じです。ピュリニー辺りのミネラリティに近いと思いますが、中域の太さはよりスレンダーですね。なので、
「少しゴージャスな感じを減らしたイメージ」
で、
「フレッシュでピュアな中量級のミネラリティがばっちり感じられるシャルドネ!」
と思っていただければ近いでしょうか。決して「重い」感じにならず、しかしねっとり・まったり感もそれなりに、柑橘果実も実に良い感じに存在しつつ中域がピュリニー系より僅かにスレンダー、余韻も非常に充実している長さが有りますので、
「・・お、こりゃ美味しい!」
と思っていただけるものと確信しています。
色合いも2018年ものとはだいぶ違って見えると思うんですね。黄色がしっかり有る中に淡い緑が入り込み、白っぽいミネラリティが多く存在しているような外観です。

一方2018年ものは、白と言うよりも透明・・じゃないでしょうか。ちょっと樹が若いのかどうか判りませんが、
「確実に以前よりも充実して感じられる」
ことは間違い在りません。
どうやら親戚のドメーヌが所有している畑を借りているようで、どこに在るのかは判りませんが、飲めば・・
「まさにブルゴーニュ・シャルドネ!」
と思っていただけるでしょう。
長年に渡って2千円で販売させていただいておりました、ロッシュ・ド・ベレーヌのA.C.ブルも、2年ほど前に規格が変わってしまい、僅かでは有りますが格が落ちたかなぁ・・と感じざるを得ないことも有りましたが、それでも・・これから入荷するベレーヌのシャルドネやピノ・ノワールの新ヴィンテージは、
「流石に2千円は無理!」
と通達が来てしまいました。まぁ・・その前に、以前のヴィンテージのものを押さえたらしいんですが、それさえもこれだけ円安が加速してしまいますと、上げざるを得ないでしょう。
味わい的にはロッシュ・ド・ベレーヌのシャルドネの倍ほども美味しい・・深い・・味わい幅も広いしバランスも良いと思っていただけると思います。是非飲んでみて下さい!・・滅茶リーズナブルです!
以下は以前のレヴューです。
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【2018年のシャルドネ、出色の出来です!・・今から飲んでも滅茶美味しい!そして価格も滅茶苦茶安い!・・ブルゴーニュ・シャルドネの醍醐味が味わえます!】

フィネスさんの肝いりで、リーズナブルなクラスのドメーヌものブルゴーニュをご紹介いただき、昨年より扱い始めました。確かにリーズナブルで美味しいんですが、やはり格上の生産者のワインと比較すると・・
「残念ながら少し落ちる」
のは隠せませんでした。・・いや、美味しいんですけどね。素晴らしい生産者が目白押しのブルゴーニュでは、余り目立たないのは仕方が無いかな・・と言う捉え方でした。
なので、2018年のブルゴーニュ・シャルドネが届いたからと言って、
「デイリーだし・・な~・・」
と言うようなニュアンスで捉えていました・・ので、
「!!・・(開けてビックリ玉手箱!)」
だったんですよ!
確かにボトルも図太くなりましたので、結構に重いです。
「リキ入ってんな~!」
と言うのは伝わって来ました。
でも驚いたのは開けた瞬間です!
「・・おっ!」
そう・・いきなりリビングに柔らかな柑橘系のアロマが漂って来たんですね~。滅茶早かったですよ。
で、そのアロマには硬さが無く・・つまりSo2の少なさを意味しているはずですが・・、果実のリアルさやミネラリティの高さをしっかり感じられましたので・・
「(・・飲む前に・・もう素晴らしいって判っちゃうじゃん・・)」
そうなんですよ。良いワインって、ホント、すぐ判るんですね~。
今までのフランソワーズ・ジャニアールのワインなら、結構に「軽い量」で書くんですが、
「これはしっかり飲んでもらわないと!」
と言う気にさせてくれたんですね。
このところは新コロナウイルス禍で、テレワークを強いられるか、休業を要請されるかと言うような状況になっていますが、テレワークったって、それは不可能な業種も沢山有ります。
しかしウイルスに対抗するためには、人に合わないのが一番だと判っているなら、そうするしかない・・。徹底してそうしなければならないが、休んでいたら破産してしまう。それなら政府はそれを保証し、一定期間、自宅にこもることを要請すべきでしょう。休業要請は2週間の様子見?・・何のための緊急事態宣言なの?
ま~混乱の極みですが、この際、
「すぐには飲めないレアなワインを買うのも良いが、自宅にこもって飲むワインがない!」
と嘆く前に、
「肉にも魚にも懐が深い旨くてミネラリティたっぷりのSo2の少ない健全な白ワインを適度に飲んで鋭気を養う!」
のが、正しいワインファンの姿かと思います。
数か月後に微笑みながらこの時期を振り替えられるよう、何とか凌いで行きましょう。ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
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【初のご紹介ですがリーズナブルなプライスながら高質さ、ピュアさの光る味わい!かなり良いです!】
「フランソワーズ・ジャニアール?・・似たようなお名前のドメーヌは沢山有るけど・・知らないなぁ・・」
と言うのがnoisy の最初の印象でした。かなりのドメーヌやメゾンのワインを飲んでいる noisy の記憶にも出て来ないですが、「ジャニアール」と付くお名前はアチコチに有ります(有りました)から、以前に飲んでいたとしてもドメーヌ継承などで名前が変わっていて「一致しない」だけなのかもしれません。
余り時間が無いので・・何しろこれからリアルワインガイドのテイスティングに出かけなければならない時間が迫っています。2月は本当に・・憂鬱な月です。自分の行動に、まずは優先順位を付け、しかも状況に寄り順次変更を迫られるんですね。
noisy としましては、自身のレベルにおいてでは有りますが生半可な判断でお客様にご紹介するのは苦手で、ある程度までだとはしても、ほぼ確実に「判断し説明できる」ところまで掴まないとご紹介出来ないんですね。
なので初めての造り手さんの場合は、出来る限りアイテムをテイスティングするようにし、
「なるほどね」
と言えるようになるまで、何とか結論を出しておくようにしています。
なので取り敢えずこのフランソワーズ・ジャニアールさんのワインは・・
「とってもフィネスさん的。バイヤーさんの感性が出ている選択」
ですし、
「非常にピュアで繊細。エキス系でしかも・・昨今ウケの良い、余分な酸化を余りさせないタイプ」
です。
なので、抜栓して飲み始めからどんどん美しいアロマが出て来て変化が楽しめ、しかもその抜栓後の酸化により適度な締まりや解放が有るので若い内から楽しめるスタイルです。
これが、エルヴァージュ中にかなりの酸素を供給してしまいますと(新樽などの使用率を高めたり色々・・)、若い時分にはアロマは良いんですが、テクスチュアが硬く、中々解放に向かわない・・味わいが締まったワインになってしまうんですね。昨今はこの系統は少なくなる傾向にあると思います。

ペルナン=ヴェルジュレスは、コルトンが近いですが、味わい的にはむしろジュヴレ=シャンベルタンですね。非常にピュアで、密度も濃度もしっかり有ります。
全く甘く無く、とてもドライですが集中しているので薄辛くなりません。どこか・・新樽要素を減らしたメオ=カミュゼっぽい感じがしますが・・関係有るんですかね。まぁ、フィネスさんの扱いですから、例えば葡萄やワインをフィス・エ・ペールに供給している・・なんてことも有るかもしれないと想像させるような、昨今のメオにも似た素晴らしいニュアンスでした。
ほんのりと妖艶さがただよってくるようなタイミングで、今飲んでも美味しいです。
左の写真はアロース=コルトンです。こちらもコルトンを算出しますんで、そっち系かな?・・と思いきや、むしろポマール的な大らかさ、ゆったりさを持つ、これまた非常にピュアで密度の高い味わいでした。プライス的にも村のクラス的にもペルナン=ヴェルジュレスより高いですが、ややソリッドで球体からアチコチに触手が出ているような感じのペルナンに比較し、丸さや柔らかさ、豊満さに果実のゆとりが感じられる美味しいピノ・ノワールでした。ペルナンが男性的だとするならこちらは女性的・・暖かな感じがします。かなり美味しいです。

最後は白、ペルナン=ヴェルジュレスですね。こちらも非常にピュアです。
イメージ的に誰が近いかと考えてみると、
「イヴ・ボワイエ=マルトノ」
でしょうかね。
最もイヴ・ボワイエ=マルトノはムルソーの造り手ですから、非常にタイトに締まったマンモスな量の大理石的なミネラリティが豊富ですが、こちらはさに在らず。
むしろイヴ・ボワイエ=マルトノがムルソーを離れて痩せた畑で造ったようなイメージで、適度に膨らみが有り、柑橘系の果実が繊細さを持って迎えてくれる・・そんな感じです。
昨今流行りの余分な酸化を抑えた造りがピュアさと抜栓後の様々な変化を楽しませてくれます。今でも充分美味しいですが、最低15年は持つしっかりした造りです。5千円なら非常にリーズナブルだと言えます。
今回初めてテイスティングしたと思われるフランソワーズ・ジャニアール女史のワインでした。今、ブルゴーニュワイン・・・高いですからね。かなりの好印象、これからも先を見て行きたい造り手です。是非飲んでみてください。お勧めします!