【ペルナン=ヴェルジュレスらしい白いライムストーンと灰色茶色のマールが生み出す見事なシャルドネ!・・豊満なピュリニーやシャサーニュとは異なる、「もう一つのシャルドネ!」と言えるでしょう。】

素晴らしい出来になった2023年もののペルナン=ヴェルジュレスです。
このドメーヌ・フランソワーズ・ジャニアールは一般的なドメーヌの半分ほどしか地所を所有していないのもあるかと思いますが、余りメディアに取り上げられることは無く、「知る人ぞ知るドメーヌ」でも有ります。
しかしフランスでも最も古いワインガイド誌「le Guide Hachette des Vins 」の2020年版には、
「2017年 ペルナン=ヴェルジュレス・ブラン」
が評価掲載され、星一つを取得しているんですね。
まぁ・・「なんだ、星一つです~~か・・」と思われるかもしれませんが、グイダシェットで星を取ると言うことは、飲食のお店がミシュランの星を取るに等しいですので、相当なことでは有るんですね。
で、コルトンの丘の北に続く丘の南側に有る村名畑から生まれますが、最上部のレ・パンが石灰岩の多い急斜面、中部のエ・ルレ・エ・ヴィーニュ=ブランシュがマールが多い急斜面を含む斜面です。
石灰岩と言うのは炭酸カルシウム分が50パーセント以上の堆積岩が石灰土壌・ライムストーンです。マールがどうの・・と言うのは粘土と石灰(酸化カルシウム)もしくは炭酸カルシウムの混合物の堆積岩土壌です。
なので単純には上部のレ・パンが前者、中部のエ・ルレ・エ・ヴィーニュ=ブランシュが後者で、非常にバランスの良さと複雑性を感じさせる味わいです。2021年ものは石灰が前面に出て、まるでプティ・コルシャルのイメージが大きかったですが、2022年ものは豊かさも有り、まさに、
「ペルナン=ヴェルジュレス的!」
と思わせる出来です。

少し前にエチェンヌ・ドラルシェのコルトン=ルナルドやコルトン=シャルルマーニュをご案内させていただきました。両方合わせて100本以上、販売させていただきまして・・まことに有難うございます。
そしてドラルシェのコルトン=シャルルマーニュ2023年・・2022年も滅茶美味しかったですが、2023年はもう・・最初から「甘露」そのものの味わいで、飲み進めると・・
「真っ白さ!」
が感じられる素晴らしい味わいでした。言うなればライムストーン(石灰岩)だらけ・・でしょうか。そこにマールや方解石的なニュアンスが入ってガチガチに硬いのに・・甘露でめちゃ美味しいんです。
こちらのペルナン=ヴェルジュレスは、その石灰岩の割合が下がり、マールのニュアンスが上がったような感じです。その分、最初から果実感が増大し、黄色いフルーツ、柑橘がビターさを持って感じられ、適度な膨らみと長い余韻を感じさせてくれます。
もっとグラマラスでやや甘く、口内をフルにしたがるピュリニー村名とは異なって、もう少しキュッと締まって繊細でしょうか。またムルソー的な大理石風の厳しいミネラリティともまた違って感じられます。
2023年もの、今飲んでも美味しさをしっかり感じられるほどに相当出来が良いと思います。ぜひ飲んでみてください。超お薦めです!
以下は以前のレヴューです。
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【プティ・アン・シャルルマーニュ?・・と言って良いかと思います!・・幾分軽量なだけ??】
とても健康に仕上がり、余分な甘みもアルコールも無い・・でも何も不足せず、美しいディテールを描いてくれる・・ちょっと村名を超えているんじゃないかと思える部分も有る村名のシャルドネです。
2020年ものは僅かに濃く、わずかにぽっちゃり型、2021年はほんのわずかにスレンダーな・・着痩せ型、2022年ものはもう・・ドンピシャリとピントが合った委員長型・・?・・かなと思いますが、その差はわずかです。
ですが質感だけは年々結構に向上していると感じます。なんででしょう?・・まったく判りません。
しかし、初めて扱わせていただいた時に感じた、ちょっとした田舎っぽさはナチュールなニュアンスに変わり、ディテールの美しさが良く見えるようになったと思うんですね。
ムルソーほどの厳しいミネラリティと言うのではなく、やはりもっと白い・・コルトン=シャルルマーニュが近くにあるなぁ・・と言うようなイメージを持てる感じのミネラリティです。
良い意味で、ほんのり粉っぽく、クリーミーと言うと判りやすいでしょうか。ムルソーは余りそんな感じが出るムルソーは多く無いですよね。
それでいて、
「ん~・・近いんだけど・・惜しい!」

みたいなニュアンスが、またちょっとした切なさを感じさせてくれ、結構に気持ち良い訳です。
なにせ、アン・シャルルマーニュ(コルトン=シャルルマーニュ)はこのワインが造られる2つの区画から、南にわずかに500メートルほど離れた上方の畑で、行ったことが無いので想像ですが、目と鼻の先に見えると思うんですね。
これからはきっとこのようなペルナン=ヴェルジュレスとかサヴィニー=レ=ボーヌ、ショレ=レ=ボーヌの余り知られていない畑にスポットが当たるようになってくると思います。
今飲んでも充分にエレガントでカッチリと美味しく、数年から10年ほどは良い熟成をするはずです。ご検討いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
以下は以前のレヴューです。
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【2021年ものの先駆け!・・健康的でエレガントさを助長した素敵な味わいです!今飲んでもOKですし、数年寝かせてもより美味しい!飲んでみてください!】

2021年ものです。少雨にたたられた2020年とは全くイメージ的に逆になるんじゃないかと、戦々恐々としていたんですよね。
で、このフランソワ・ジャニアールのペルナン白やA.C.ブルは、非常に安いし美味しいし・・で安心していた訳です。
「・・ところが!」
やはり2021年ものはエレガントで美味いが、生産量的には非常に厳しいんですよね。ドメーヌも2019年から続く生産減が最も厳しい訳ですから値上げは必須になってしまいます。しかも歴史的な「円安」です・・「ユーロ高」と言うべきか、「円の一人負け」と言うべきか・・。
「先進国は朝食で3千円は当たり前だが日本はワンコイン。昼は千円以下のラーメンを食べれば幸せになれるし、インバウンドで大儲け!」
・・なんて言ってる場合じゃないんですけどね。日銀は金融機関大企業擁護の低金利政策から脱却しつつ大企業は早々に内部留保を取り崩し賃上げ、10年~20年計画で諸外国並みになんとか追いつく姿勢を見せないと、どうにもこうにも生き残れないんじゃないかと思ってしまいます。
で、このペルナン=ヴェルジュレス・ブラン2021年も・・本来は500円ほど高い価格にせざるを得ないところ、セラーを探し回って集めた2014~2015年ものペルナン赤を値上げさせれいただくことで、何とかこのプライスに持ち込んだ訳です。
せっかく濃密で美味しい・・あ、赤と白は違いますからね・・白は濃くても全然美味しさは変わらない・・どころか寄り美味しいですしね。赤の場合は若くして飲むとその濃厚さの行き過ぎが気になってしまう訳ですが、これは若いうちだけでして、数年寝かせると当初の印象と大きく変わって・・ちょうど良く感じるようになってきます。

この2021年ものですが、2020年ものの明るいシャッキリとしたミネラリティが目立つような色彩よりも、むしろ・・
「黄色味が強く、より豊満に見えるんじゃ?」
と思われるかもしれませんが、いや・・むしろ2020年の方がカッチリと硬質ではあるものの豊満さは有ると感じます。2021年ものはそこまで濃さは出ていず、エレガントさを果実感に乗せて感じられる、ちょうど良い感じなんですね。
ですから、さっさと飲まれても・・ペルナンっぽいやや △ (三角)なイメージの高質なブルゴーニュ・シャルドネとして美味しく飲めますし、3~4年の熟成で、非常に良い感じに仕上がってくると思います。
出来としては2020年の方が良いかもしれませんが、さっさと美味しくなるのは2021年です。
2017年のマリウス・ドラルシェのペルナン赤を飲まれた方はご存じかと思いますが、あのワインは飲むタイミングの重要さが良く判るワインだったと思います。ま~・・めっちゃ美味しいかったはずです。エレガントさと妖艶さの競演でした。
ですが決して出来としては・・2017年はさほどでは無かったはずなんですね。何より・・滅茶薄い色彩でした。
2021年もののこのペルナン白は、2020年ものの硬質で高質な味わいには届かないものの、3年ほどでペルナンとしての熟した良い味わいを得られると思います。勿論、今飲んでも充分に堪能できるレベルです。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【少し軽やかなコルシャル!・・バランスが良く、実に美味いです!】
何でしょうか・・2018年ものも美味しかったんですが、今回届いた分のフランソワーズ・ジャニアールのワインは滅茶美味しいんですよ。
確かに以前のイメージも在るには・・在るとしても、
「質感がまるっきり・・と言うか、激増して良くなっている・・」
と感じられてしまいます。
こうなって来ますとまだ扱いは短いですから、何が本当の姿なのか・・それとも単に年が良いとか・・?・・誰かが魔術でも使ったんじゃないか・・とフィネス・マジックを疑ってしまいます。
最初の輸入の頃は、もっとチープな細いボトルでしたが、今は重量瓶で太いです。そんなところからして変わっていますので、何かしらフィネスさんはやっているんじゃないかと思っているんですね。
黄色に薄緑が入り、白っぽく見えるミネラリティが溶け込んだような色合いをしています。味わい的にはコルトン=シャルルマーニュ系だと感じますが、それほどは「カッチリと硬く」は無いので、味わいの開き、膨らみも早いように感じられます。
ここは、アロース=コルトンの「グラン・クリュ・アン・シャルルマーニュ」の北西・・地形的にはコルトンの丘とは異なる丘なんですが、本当にアン・シャルルマーニュには手が届きそうな畑が2つ・・そこからの葡萄なんですね。アン・シャルルマーニュに向けて長方形の短辺が向いていまして、しかも盗難に開けた畑で、
「・・白ワインには持ってこいでしょう!」
と言っているようにも思えます。

時にピュリニーは豪奢だがシツコイ・・と感じることが在るかもしれません。反対にコルトン=シャルルマーニュは、どうしてそんなに「頑ななの?」と、その硬さを恨めしく思うことも有ります。
しかしながらこのペルナン=ヴェルジュレスの「レ・パン」と「エ・レレ・エ・ヴィーニュ=ブランシュ」によるシャルドネは、
「そのちょうど中間的な・・両方の良い部分を持ち、少しスレンダーにした感じ」
なんですよね。
なので、開けたらもう・・アロマもすぐ立って来て美味しいです。ドライですがエキスがちゃんと出ていて、柑橘も有って、重く無く軽く無い・・ちょうど良い重量感です。だから・・きっと気に入っていただけると思います!是非ご検討くださいませ。旨いです!
以下は以前のレヴューです。
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【2018年のペルナン・ヴェルジュレス・ブランも滅茶苦茶美味しい!・・軽めのコルトン・シャルルマーニュ系を思わせる見事な味わいです!】
2018年のフランソワーズ・ジャニアールのA.C.ブルがすこぶる旨いのに気を良くして、
「こりゃぁ・・2018年は相当良さそうだし、このところ高くなり過ぎた感の強いブルゴーニュ・シャルドネを飲んでもらえる良い機会になれば!」
とばかりに、再度2018年のペルナン・ヴェルジュレスを開けることにしました。「こうなりゃ全品開けたれ!」ってなノリです。
やはり・・どうしちゃったんだろ・・フランソワーズ・ジャニアール・・。これ、高名なドメーヌのシャルドネだって出しても・・絶対バレませんよ。・・絶対ビックリしちゃうはずです。
そもそも・・皆さん、ペルナン・ヴェルジュレスを良くは知らないでしょう?
「・・んなことない。あのコルトン=シャルルマーニュだって、半分はペルナン・ヴェルジュレス村でしょう?」
そうなんです。あの、今、飛ぶ鳥さえ振り返ると言われるジョルジュ・ルーミエのコルトン=シャルルマーニュの畑はペルナン=ヴェルジュレス村にある「アン・シャルルマーニュ」と言うリューディなんですよ。noisy は80年代後半の完熟したルーミエさんのコルトン=シャルルマーニュに大感激したことが有りますから・・はい。そして、その頃に開けた89年のレザムルーズの余りの硬さに辟易したことも有ります・・。まぁ、コンディションだったと思いますけどね。
で、このフランソワーズ・ジャニアールのペルナン=ヴェルジュレスですが、
「少し軽めのコルトン=シャルルマーニュ!」
と言ってしまうのは簡単ですが(・・言ってるじゃん)、
「少し軽めの」
を言いたくないほど・・いや、
「僅かに軽めの・・」
と言い換えるか、
「僅かに印象は異なるが・・」
と言うべきか・・非常に悩むレベルの出来です。
すなわち、コルシャルほどは若いうちの「とっつきにくさ」が無いだけ・・が一番近いかもしれず、そこにコルシャルが持つポテンシャルを幾分減らしただけ・・が付くかもしれませんが、これは若いうちはまず・・判らないはずです。
それに、フレデリック・コサールのように・・いや、少し前のフレデリック・コサールのように、ワインを弄り過ぎないのが非常に心地良く、素直で好印象なんですね。ストレートなんですよ・・表情が。だから伝わりやすい。そしてSo2も確実に少ないですから、
「いつもはボトル半分なのに2/3も飲んじゃった・・」
としても、身体に対する影響は非常に軽く感じられます。
だから、「相当に素晴らしいシャルドネである!」と・・感じています。村名で4千円台、税金入れても5千円ですので、相当にお買い得んだと思います。
余りに美味しいので、フランソワーズ・ジャニアール2018、売り込んでいきたいと考えています。是非飲んでみて下さい!一推しです!
以下は以前のレヴューです。
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【初のご紹介ですがリーズナブルなプライスながら高質さ、ピュアさの光る味わい!かなり良いです!】

「フランソワーズ・ジャニアール?・・似たようなお名前のドメーヌは沢山有るけど・・知らないなぁ・・」
と言うのがnoisy の最初の印象でした。かなりのドメーヌやメゾンのワインを飲んでいる noisy の記憶にも出て来ないですが、「ジャニアール」と付くお名前はアチコチに有ります(有りました)から、以前に飲んでいたとしてもドメーヌ継承などで名前が変わっていて「一致しない」だけなのかもしれません。
余り時間が無いので・・何しろこれからリアルワインガイドのテイスティングに出かけなければならない時間が迫っています。2月は本当に・・憂鬱な月です。自分の行動に、まずは優先順位を付け、しかも状況に寄り順次変更を迫られるんですね。
noisy としましては、自身のレベルにおいてでは有りますが生半可な判断でお客様にご紹介するのは苦手で、ある程度までだとはしても、ほぼ確実に「判断し説明できる」ところまで掴まないとご紹介出来ないんですね。
なので初めての造り手さんの場合は、出来る限りアイテムをテイスティングするようにし、
「なるほどね」
と言えるようになるまで、何とか結論を出しておくようにしています。
なので取り敢えずこのフランソワーズ・ジャニアールさんのワインは・・
「とってもフィネスさん的。バイヤーさんの感性が出ている選択」
ですし、
「非常にピュアで繊細。エキス系でしかも・・昨今ウケの良い、余分な酸化を余りさせないタイプ」
です。
なので、抜栓して飲み始めからどんどん美しいアロマが出て来て変化が楽しめ、しかもその抜栓後の酸化により適度な締まりや解放が有るので若い内から楽しめるスタイルです。
これが、エルヴァージュ中にかなりの酸素を供給してしまいますと(新樽などの使用率を高めたり色々・・)、若い時分にはアロマは良いんですが、テクスチュアが硬く、中々解放に向かわない・・味わいが締まったワインになってしまうんですね。昨今はこの系統は少なくなる傾向にあると思います。

ペルナン=ヴェルジュレスは、コルトンが近いですが、味わい的にはむしろジュヴレ=シャンベルタンですね。非常にピュアで、密度も濃度もしっかり有ります。
全く甘く無く、とてもドライですが集中しているので薄辛くなりません。どこか・・新樽要素を減らしたメオ=カミュゼっぽい感じがしますが・・関係有るんですかね。まぁ、フィネスさんの扱いですから、例えば葡萄やワインをフィス・エ・ペールに供給している・・なんてことも有るかもしれないと想像させるような、昨今のメオにも似た素晴らしいニュアンスでした。
ほんのりと妖艶さがただよってくるようなタイミングで、今飲んでも美味しいです。
左の写真はアロース=コルトンです。こちらもコルトンを算出しますんで、そっち系かな?・・と思いきや、むしろポマール的な大らかさ、ゆったりさを持つ、これまた非常にピュアで密度の高い味わいでした。プライス的にも村のクラス的にもペルナン=ヴェルジュレスより高いですが、ややソリッドで球体からアチコチに触手が出ているような感じのペルナンに比較し、丸さや柔らかさ、豊満さに果実のゆとりが感じられる美味しいピノ・ノワールでした。ペルナンが男性的だとするならこちらは女性的・・暖かな感じがします。かなり美味しいです。

最後は白、ペルナン=ヴェルジュレスですね。こちらも非常にピュアです。
イメージ的に誰が近いかと考えてみると、
「イヴ・ボワイエ=マルトノ」
でしょうかね。
最もイヴ・ボワイエ=マルトノはムルソーの造り手ですから、非常にタイトに締まったマンモスな量の大理石的なミネラリティが豊富ですが、こちらはさに在らず。
むしろイヴ・ボワイエ=マルトノがムルソーを離れて痩せた畑で造ったようなイメージで、適度に膨らみが有り、柑橘系の果実が繊細さを持って迎えてくれる・・そんな感じです。
昨今流行りの余分な酸化を抑えた造りがピュアさと抜栓後の様々な変化を楽しませてくれます。今でも充分美味しいですが、最低15年は持つしっかりした造りです。5千円なら非常にリーズナブルだと言えます。
今回初めてテイスティングしたと思われるフランソワーズ・ジャニアール女史のワインでした。今、ブルゴーニュワイン・・・高いですからね。かなりの好印象、これからも先を見て行きたい造り手です。是非飲んでみてください。お勧めします!