【確実に親父さんを超えたと思える2023年もの!・・ビオ的アプローチにより樹の耐性が上がり、収量が安定(減ったとしても)して養分をしっかり取り入れられるようになったことで・・心地良い柔らかさと複雑性に寄与!・・旨いです!】

親父さん(ベルナール)の頃は、美味しかったんですがどこか「つっけんどん」に感じる部分が有って、
「近寄りたいんだけど寄せ付けない」
と思わせるようなスタイルだったと思い返しています。もちろん、キュヴェにより印象は異なる訳ですが、それがトーマさんの時代になって徐々に畑仕事が変わり、安定し、さらにはグングン伸びて行き始めた・・とも感じているんですね。
ワインのタイプは造り手それぞれによって相当異なります。今や飛ぶ鳥を落とす勢いで noisy もビックリしているギルベール・ジレの場合は、もし比較するのであれば、「コシュ=デュリ」を引き合いに出して来たくなります。彼の場合、造りは相当に緻密で、コリュ=デュリ以外には・・とてもじゃないが「似ている」と言えないと思います。やはり、栽培もさることながら、醸造におけるギルベール・ジレの繊細な感性を大きく生かした造り・・
「造り手の個性」
を強く感じる造り手さんです。
トーマ・モレの場合も、それが無いと言う訳では無いですが、比較するとするならば「コシュ=デュリ」では有り得ないでしょう。ユベール・ラミーも違うし、ましてやバシュレ=モノも違う。
似ているとするならソゼさんとか、ニーロンさんでしょうか。トーマ・モレの場合、ナチュールが生きて来ましたので、伸びやかだしふんわり感も有る・・しかし、ナチュールナチュールはしていない・・し、ルフレイヴさんちのようにバッキバキになることも無いと思います。

ニーロンさんは時にとっつきにくいヴィンテージも有ったかと思いますが、2021年、2022年の昨今のトーマ・モレを見る限りにおいては、
「ビオ的アプローチが目に見えて良い方向に向いていると実感できるようになった」
と思います。
それはもちろん、メディアの評点にも表れて来ていまして、昨年の2021年ものにリアルワインガイド第82号は92~93ポイントとしていましたのを、皆さんはどのようにお感じになられたでしょうか。
海外メディアはおそらくそこまでは付けておらず、
「・・93ポイント?・・ま、リアルワインガイドは少し甘いかな?」
などと思われていたのではないでしょうか。
ですが2022年のジャスパーさんの評価も上値は93ポイントです。昨年のご紹介時には判らなかったのかなと思いますが、2021年もののジャスパーさんのシャサーニュ村名の評点は89~91ポイントでした。
もしジャスパーさんの評価が正当で在って、その2022年で上がった分の2ポイントを・・今回、評点が出ていないリアルワインガイドの2021年評点に載せるならば、もはやグラン・クリュ並みの評価になってしまいますから、やはりちょっと調整するべきなんだろうと思うんですね。
確かにジャスパーさんの2022年の上値93ポイントは良いところを付いている・・しかし、2021年ものの評価が低過ぎるとも言えますし、リアルワインガイドの2021年ものの評価の上値93ポイントはもしかしたら、ほんのりと高かった・・とも言えるのかもしれません・・あ、決して他心は有りませんので・・はい。
A.C.ブルの、まさに王道の味わい、それも有る程度膨らんでくれる見事な美味しさから言いますと、
「ほんのり早い」
とは言えます。
しかしながら15分~20分もしますと、それまでやや閉じ気味・・と言いますか、蕾のようだった果実感がふんわりと膨らんで来ます。そうしますとそこからは・・さらに凝縮してややチリチリと口内で花火のように感じていた部分が膨らみ、分解し始めると・・素晴らしい複雑性として感じられます。
火打石っぽいニュアンスが・・当初は無かったのに出て来たり、オイリーなニュアンスさえも増大、重厚さを見せて来ます。そこまで来ますと・・美味しかったA.C.ブルのポテンシャルを超えて来るのが判るかな・・と感じました。
まぁ・・上値93ポイント、その位かな・・(^^;; もしくは0.5ポイントほど上を言っても良いかもしれません。
ですので、
「この村名シャサーニュ、相当素晴らしい!」
と言っておきたいと思います。ムルソーっぽいのはA.C.ブル、こちらは開いて来るとシャサーニュ1級に近い・・レ・シュヌヴォットとかのニュアンスに近いと感じます。モルジョじゃぁないとは思います。白っぽくてやや黄色い、そして相当にミネラリティもたっぷりしています。美しいバランスです。ぜひ飲んでみて下さい。超お薦めします!
以下は以前のレヴューです。
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【爆旨です!・・史上最高、間違い無し!格上としか感じられない凄いエキスです!】
2020年ものも圧巻の美味しさだった、凄い村名シャサーニュでしたが・・
「2021年ものは涼しい顔をして2020年ものの脇を通り過ぎて行った」
と言いたくなるような・・「爆旨な」出来でした・・。・・いや・・「べらぼうに旨い」と「激旨」は使い古したし・・何か上手い言葉は無いかと・・ふと思った時に、
「激の上は・・爆?・・そんな訳はないよな・・ん?爆旨?・・」
みたいな軽い感じで使用してみました。だって・・すっごい美味いんですから・・造語でもしないと読んでもらえないかと・。
そもそも、なんで上級キュヴェは下級よりも美味しいか?・・と言いますと・・結構簡単です。
「畑の格で収穫量の制限があるから」
です。
広域A.C.ブルは緩く、村名はそれよりも厳しく、1級畑は厳しく、グラン・クリュは滅茶厳しい・・つまり、格が上昇すると収量を抑えなくてはいけないんですね。
ですが通常は・・ブルゴーニュの畑のヒエラルキーのトップは、ほぼ・・そのような制限をしなくても、畑が勝手にやってくれる・・と言うことになっていまして、グラン・クリュは特に何もしなくても30hL/h以下にしてくれるそうです。最も、そうならない畑も当然あるでしょうから、その畑の個性を知っていれば、芽掻きやグリーンハーヴェストなどで対応する訳です。

トーマ・モレは基本、1級畑の葡萄を格落ちで対応しているようですが、
「2021年は、さらに収穫制限をしたのと同様の結果になって・・しまった!」
ことこそが、この・・
「不滅の2021年村名シャサーニュ=モンラッシェを生んだ!」
と言えるかもしれません。
もはや・・このワインはシャサーニュなのだろうか?・・と思えるようなゴージャスさを含み、しかもその表情は精緻さと上品さを持っています。非常に複雑でもあり、上級クラスのシャルドネが見せる姿の「模倣」をも感じさせてくれるんですね。
ですから・・このような半端無い出来のシャルドネに出会えば、どんなに
「ピノ・ノワールにしか興味が無い!」
と豪語していたとしても・・前言撤回せずにはいられなくなってしまうはずです。
A.C.ブルのコラムにも書かせていただきましたが、2021年のトーマ・モレは凄い仕上がりです。どのワインでも良いと思います。飲んでみてください。「爆」お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【べらぼうに旨いです!ブルゴーニュ・シャルドネの究極の未来の姿のひとつ・・かもしれません!】
素晴らしいと思いました!・・こりゃぁ・・美味い!・・と素直に思える見事な味わいです。
このフレッシュさを残した滑らかなオイリーさの中に、シャサーニュらしいしっとりさとクラスを超えて来ているような質感の高さを実現しています。
おそらくとてもナチュラルな味わいなんですが、クラシックなシャルドネ好きが飲み手でも、このソフトでスムースな美味しさを肌で感じると、そのナチュラルさが好きになってしまう・・そんな気になってしまうと思うんですね。
なので、柑橘が仄かにかおり、果実もしっかり・・そこからしなやかで緻密なミネラリティからの表情がたまらないと思うんですよ。
あの・・あのジャスパー・モリスさんがですよ!・・
「なんと上値93ポイント!」
と・・おそらく彼の村名ワインに対する最高のポイントじゃないかと思うんですが、そんなに高い評価をしているんですね・・。

色合いも最高です。透明感が有って、硬質そうに見える中に柔らかささえ見えて来るような外観です。
村名ですが・・1級の格落ちとして、ヴィデ・ブルスをブレンドしているようですが・・これが相当効いているんじゃないかと。ヴィデ・ブルスはそれなりの価格ですが質も良く・・反対に言えば、
「ヴィデ・ブルスの質を高めるためにしたことが村名シャサーニュの品質を大きく上げる結果に!」
なっているのかな?・・と想像しています。
これ、最高に旨いです・・でもまぁ・・
「飲みたいけど・・そこまでは出せないよ」
とおっしゃる方には、A.C.ブルも似たようなニュアンスで、トマ・モレのスタイルをしっかり感じられますので・・飲んでみて下さい。価格も頑張っていますので是非よろしくお願いします!超お勧めです!