
アンブロジッチの目指すところがハッキリ見えるのがこの混植の白、サテリートです。たまげるほど旨いです!
飲んで凄みを感じる高級ワイン・・とは一線を画す「ピュアな凄み」が存在します。
まぁ・・以前のサテリートもそうだったんですが、いや・・何だろう・・一本、筋がきちんと通った味わいと言いますか・・アロマも口入れの味わいも中盤も余韻も・・酸の美しさと伸びやかさ、ミネラリティと一体となった破綻無き美しさが、ファーストノーズから飲み干してしばらく経過してからまでも感じられるんですね。
例えばフォン・ファルクセンのシャルツホーフベルガー・ペルゲンツクノップは、やはり凄みを湛えた素晴らしいワインです。実に高質ですし、飲めばもう・・ルンルン気分にさせてくれる素晴らしさを感じます。
アンブロジッチのこのサテリートは、そんな凄みとは全く異なるタイプの凄みを持っていまして・・張りといいますか・・膨張をとことん抑え込んでいるようなニュアンスを口内に創り出し、そこにエキスの旨味をドライな味わいの中で展開・・豊かな酸の味わいをたっぷりと感じさせてくれる訳です。
ですから、口内ではもう・・てんてこ舞の忙しさでその表情を受け取りにかかる訳ですね。そしてそれらの表情の凛々しさと美しさに浸っていられる訳です。畑が凄いとか、そういう感覚とは関係が無いところで、物凄いパフォーマンスを見せてくれる訳です。

それは勿論、このサテリートだけでは無く、コスモポリートや他のキュヴェでも同様です。
ですがこのサテリート、美しさと展開力が魅力なんですね・・。ついつい・・飲んでしまう・・。自然でピュアなアロマと味わいが、口内で静かに爆発してくれます。
海外メディアですと、ワイン・アンスージャスト辺りがアンブロジッチを評価していまして、サテリートやコスモポリートに89~90ポイント辺りの評点を付けているようです。
なるほど・・そうかもしれない・・noisy なら90ポイントを下回ることは無いにせよ、92ポイント以上はきっと躊躇するでしょう。そう言う意味での凄さを感じたい、感じさせる種類のワインでは無いのでしょう。
しかし、これほどに美味しいワインは・・そう簡単には見当たらないはずだし、ここまでの見事な膨張力をキュッと抑え込んだかのような表情、そしてその美しい魅力を持ったワインは、
「無きに等しい!」
と言えると思います。
コスモポリートは塊、サテリートは展開・・でしょうか。飲んでみてください。滅茶ドライで滅茶美味しいです!超お勧めします!
以下は以前のレヴューです
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【コスモポリートで充分旨いですが、繊細な表情はサテリートが上!伸びやかさと酸の美味しさ、エキスの美味しさをお楽しみください。】
この美しい色合いをご覧くださいませ。僅かに緑色の入った美しいレモン色、レモンの肌の色と言うか、柑橘の肌の色か・・
果実感がバッチリありながらも非常に伸びやかです。そして高域に伸びて行きながら、繊細な表情をその各々のベクトルの終端で見せてくれます。
ユッタ・アンブロジッチはヴィニュロンです。ビオ、ビオロジックでゲミシュター・サッツの畑を栽培しています。
そして今、そのゲミシュター・サッツは、オーストリアのワインの核となろうとしているようです。
しかし彼女は自分で醸造はせず、葡萄を育むことに精を出し、あとは仲間に自分の葡萄を委託するんですね。
委託醸造と言うのは非常に難しいことです。どこまでが自分の仕事で、委託先の仕事はどこまでか。託された葡萄は託した本人の希望に沿うワインに仕上がっているのか?
細かいことは判りませんが、どうでしょう・・単に「委託」と言うのでは無いようなイントネーションを感じます。
この、素晴らしく張りのある液体からは、ユッタ・アンブロジッチの個性そのものとして細やかな表情が感じられます。そこに別人格の「醸造者」の姿は見えません。もっとも、醸造者の姿しかみえていない・・のかもしれませんが・・。
柑橘や花、鉱物のニュアンスに満ちた、この上なく美しい白ワインでした。これは本当に美味しい!・・飲んでみて下さい。超お勧めです!
以下は2016年もののレヴューです。
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【超ドライ!爽快です!この腰高のバランスがこれからの暑い季節にピッタリです!】
これ、旨いですね。非常にピュアです。そしてものの見事なくらいのドライで、ここまで残糖感が無いと気持ち良いです。他の白ワインの甘みが気に成って来てしまいます。
色合いは洋ナシ色・・と言うのが良いかどうかわかりませんが、ピュアなフルーツの色彩をしています。こちらもゲミシュター・サッツですので、
「ド太い芯の有る味わい」
です。
単純では有りますが、より価格の安いコスモポリートよりも味幅が太く、やや重心が低いように思います。とはいってもフレンチのシャルドネのようなドシッと安定した重みのあるものでは有りません。
また、一般のオーストリアワインのようなシャバさは無く、たっぷりとしています。洋ナシやレモンと言ったフルーツ感、柑橘系フルーツ感も有りますが、より繊細なフラワリーさの方が現在は強いようです。時間と共にさらに膨らみ、超高域への伸びが凄いです!もちろんですが、開いた口がふさがらないようなフルーツ感の「レゼアヴェ」のような圧倒的凄みは無いんですが、それでも混醸混植の良さを堪能できます。しかもかなりの熟成も期待できる質感が有ります。
このゲミシュター・サッツ、是非体験して欲しいですね。全く重さが無いのに不足感が無いというのは、このようなバランスが受け入れられるという証拠ではないでしょうか。
こちらも数は余り有りません。是非ご検討くださいませ。お勧めします!