
初めてこの「ラケーテ」を飲んだ時は、
「なるほど・・こんな表現が出来るんだ・・!」
と驚いたものです。
赤ワインと言うかロゼと言うか・・非常に微妙なところかとは思いますが、一般のロゼワインのように果皮濃度は薄く無く、赤ワインのようにタンニンの渋み、アントシアニン濃度は無いと言う、
「ちょうど一番飲みやすい、最大公約数的な味わいを表現できているワイン」
なのかと思うんですね。
ビターさが前面に出てしまうと飲みにくい・・さりとて、ビターさが無いとリアルなフルーツ感も無いし飲み応えも無いですよね。
赤ワインが持つタンニンは、特に気にならない程度・・と言うよりも、「無いに等しい」レベルに有り、でもエキスがしっかり抽出されていて、その残像は有る・・そんな感じでしょうか。
またこのワインは、「ゲミシュターサッツ」ですから混植です。全ての品種が同じ畑にランダムに植わっていますから、
「品種の特性でもある成熟期がお互いに影響し合ってタイミングが一緒になる」
ことが、このワインのシームレスさ・・と言いますか、「一体感」を生み出しているのでしょう。

で、これで甘かったりすると・・ちょっとカクっと・・してしまうんですが、
「徹頭徹尾・・ドライ!」
なんですね・・。以前のヴィンテージではそこそこにガスも有ったんですが、2021年ものはまず意識しないレベルですので、
「口に入ったワインは喉を目指す!」
と言うほどでは無く、口内に少し滞留気味です。
その滞留したワインがまた、微妙な美味しさ・・意外かもしれませんがポテンシャルをも感じさせてくれます。
タイミングとしますとやや早めでは有りますが、今飲んで充分以上な美味しさを感じさせてくれます。少し熟してくると美味しさがもっと判りやすくなると思いますし、若干官能さも出てくると思います。
本人は、
「シェイクして飲んでね!」
「このワインは赤ワインです!」
と言ってるようですが、シェイクして飲むのは良いとしても・・白葡萄までは行っちゃってますから、本来はロゼなんでしょうね・・。でも一般的なロゼとは大きくかけ離れている感がしますので、
「・・まあ・・良いっか~・・」
と言うことでどうぞよろしくお願いいたします。滅茶美味しいです!お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【Shake resolutely、 Drink chilled!抜栓直後は、喉を一直線に目指す爽やかなベリー風味のビール風・・10分も経つと深みがしっかりピノ・ノワール風!これは滅茶美味しいです!】

ようやっと入って来ましたアンブロジッチの「赤」です。2013年のブルゴーニュの赤ワインのような「淡い」色合いに、かすかに写り込んでいる「濁り」のようなものが見えるでしょうか。
まぁ、清澄していないのでこのようになる訳ですが、この手の比較的安価な自然派ワインは、揮発酸がプンプンしてるか、酸が不足しているか、全体のバランスが良くないものが多いです。もっとも・・それは揮発酸を除けば自然派ワインに限らずでは有ります。
良くありがちなのが、「飴」っぽい感じですね。べっこう飴とか・・。もうこれが有ると、
「・・嘘つき!」
と思ってしまいますが、本当に多いですよ。そして中身が無くてペラペラです。色合いも一面的で、見るからに美味しく無さそう・・。まだまだそんなのが多く出回っています。
感性豊かで素晴らしいワインを造るアンブロジッチだとは言え、オーストリアの赤ですから・・入手する前までは、
「もしかしたら・・駄目かも・・」
と思ってました。
しかしながら飲んでみると・・これがめっちゃ美味しいんですよ・・。
スクリューを回してグラスに注ぐと・・いや~・・良い感じの色合いじゃないですか。自然派ワインに良く有る感じの、やや濁った感です。
アロマはベリー系で、単純では無い・・只者では無い感がほんのり漂います。
口に含んでみると・・滅茶ピュアで健康的です。そして、僅かに「ガス」・・あっという間に舌の上を通り過ぎ、喉の入り口さえも過ぎ・・喉の奥まで侵入して来ます。
「・・おっ!・・軽いけど、結構しっかりしてるのに、ガスがそれを薄めてる感じかな・・」
と思いながらもう一口・・。
やっぱり喉の奥を目指してしまいます。ちょっと「ビール」的な感覚ですね。ノーズに戻って来る感じに生鮮で程好く熟したチェリー。
などと思っていると・・徐々に喉を目指さなくなって来ます。5分くらいでしょうか・・
「・・あれ?・・ずいぶんと伸びて来たなぁ・・」
などと思っていると、今度はボディが膨らみ始めました。最初のうちは、さらりとしたフランボワーズのビール風だったのに、すぐにガス感が収まってくると・・深みが出て来ます。
そこからは、しっかりエキスのドライで深い・・まるで2013年ピノ・ノワールのような滑らかな味わいへと変化して行きました。
こりゃぁ・・美味しいです。特にこの季節、少し蒸したり、陽に当たって喉の渇きを癒したいけれど、赤ワインも飲みたいし・・そんなに何本も開けられないし・・
そんな際にもバッチリだと思うんですね。
勿論ですが、普通に飲んでいても、おそらくnoisy が辿ったルートでとても楽しませてくれると思いますよ。
この深みのある酸の美味しさ・・、やはりセンスが良いなぁ・・と思ってしまいます。
「 Shake resolutely 、Drink chilled 」
つまり、思い切ってシェイクしちゃって!・・で、冷やして飲んでね~!・・とエチケットに書いて有ります。
グビグビ飲み始めて喉の渇きを癒し、少し温度が上がって来た時に膨らみと味わいが出始めるので、ただただ喉の渇きだけへの対応では無くて、本格的な味わいを見せてくれるポテンシャルがある・・と言うことです。
是非とも飲んでみて下さい!・・これ、一推しです!
P.S.オーストリアの規定がしょっちゅう変わるそうです。今回のローター・ゲミシュター・サッツ・ロケーテもローター・ゲミシュター・サッツの部分がエチケットに記載されていませんでしたので、「かっこ」で囲わせていただきました。