● 久しぶりのシルヴィオ・メッサーナさんのワインをご紹介させていただきます。随分お待ちいただいたお方も多いのではないかと想像しています。
なんと、キャンティ・クラシコをビオで造ってしまう・・モンテセコンドです!
■エージェント情報
キャンティ クラッシコの生産地域の中でも、モンテセコンドのある北西部は、土地も痩せていて、低アルコールのワインを産するゾーン。当主シルヴィオ メッサーナは元ミュージシャン。シャイで、やや神経質気味なところがあるのですが、彼自身ボリューミーなものではなく、酸という神経がビシッと通ったワインが好み。
自分が理想とするワインを実現するのに最適なテロワールを持つ場所に畑があるのか、はたまたそんなテロワールを持つ畑に携わっているうちに自身が志向するものがテロワールと同化していくのか…オータ的には、プーリアのクリスティアーノ グッタローロと話した時に感じた、同質のものをシルヴィオにも見出しています。
おおらかな味わいのパーチナ、クールだけど女性的な優しさも備えたレ ボンチエに対して、細く鋭い味わいのモンテセコンド…といったところでしょうか。
ワイナリーに隣接する、標高が低く粘土質土壌の比較的温暖な区画と、住まいのある標高500mの石灰岩質土壌の区画に畑を持ち、それらをブレンドすることで、前者がワインに果実味やボディを、後者が酸やミネラルを付与しています。
━━
「わ~お!」
これは・・旨いです!このところ、リーズナブルで目茶美味しいと、一推しできるアイテムに苦労していましたが・・
「これで決まり!」
です!
しかもビオディナミコですが、全くアヴァンギャルドさは無いです!・・揮発酸がバシバシ来たり、妙に酸化していたり・・・と言うことが無く、瑞々しい味わいのみがビオっぽさを伝えるというもので、どんな方にもお奨めし易い・・つまり、
「安い!」
「旨い!」
「・・・」
「滅茶苦茶ピュア!」
3番目を期待された方・・すみません。・・しかも、非常に精緻な味わいなんです!・・実に魅力的!
それに、毎年のように・・仕上がりが変わり、成長しているようにアナウンスされていますので、これからも期待される新しい造り手です!「モンテセコンドのシルヴィオさん!超お奨めします!飲まないと・・損しますよ~!

キャンティ・クラシコの奇才とも言われるモンテセコンドのシルヴィオ。貪欲に色々な事にチャレンジする姿勢で毎年毎年違った表情のキャンティ・クラシコが出来上がる…。現在ではフォオラドリに影響を受けてアンフォラでの発酵・熟成に進化を遂げている。軽やかに、エレガントに変化しているモンテセコンドを体感下さい。
アルベレッロ仕立の唯一のキャンティ
1716年にキャンティの地区の境界が設定されて以来、キャンティは8つのサブゾーンに分割された。モンテセコンドはフィレンツェから程近いキャンティ・クラシコ・ゾーンの最北端サン・カッシャーノ・イン・ヴァル・ディ・ペサに位置している。周囲を森に囲まれた自然に溢れる11haの畑では2001年から有機栽培を実践。
2004年からはビオディナミを採用していて、土壌は石灰質が強く出ている。炭酸カルシウムやマンガンが豊富でサンジョヴェーゼにとって理想的土壌。樹齢は平均30年で古い畑はヘクタールあたり3300本植樹。植替えた畑は6000本/haの密植。針金に支えられている樹に“自然”を感じられず、徐々に支柱を必要としないアルベレッロ(株造り)に変更されている。これはトスカーナでは初めての試みかもしれない。
失敗続きのビオディナミ 『畑の真中に自宅があり、子供達と生活している。子供達の健康を考えていた時期にニコラ・ジョリーのセミナーに参加し、ビオディナミに自然と共感した』
しかし、ビオディナミへの転換は多くの困難を伴った。2008年はベト病にかかりほとんどの葡萄が焼け死んでしまった。
自根の野生の葡萄を植樹し、サンジョヴェーゼを刺木した際は30%がフィロキセラにやられたそう。しかし、確実に葡萄樹は耐性を強めていて葡萄自体も強くなってきているし、シルヴィオ本人も自然への対処の仕方が理解できるようになってきた。醸造に関しても色々なことを試している。マセラシオンの期間も毎年変わっていく。
2005年頃からは“完熟と美しい酸の確保”の両立を強く意識し始める。それに伴って収穫時期が若干早くなってきた。更には果実だけでなく種子、茎も熟してくれるので15%程度は茎ごと発酵させるようになった。
『一時期は完熟を追い過ぎていたし、マセラシオンも長すぎたのかもしれない』
言葉通り、エレガントなワインに変化している。
還元的でないアンフォラ発酵 キャンティ以外で試しているのがアンフォラによる発酵・熟成。2010ヴィンテージのロッソ・デル・ロスポはアンフォラで発酵させたものとステンレスタンクで発酵させたものの2種類を造っている。
『カベルネでワインを造るならインターナショナルなものでなく、この土地のアイデンティティを表したものにしたかった。木との相性は悪くは無いが香を何も与えずに嫌気的な環境にないアンフォラを試してみたかった』
ワインは洗練されていてボトリング前であるのにも関らず、既に完成されたようなワインになっていた。酸化防止剤に関しては
『畑での自然なアプローチという点ではもっと努力をしていきたいが、ワイン造りという点では“クリーンさ”は大切だと考えている。よってSO2完全無添加よりも完璧な状態で消費者に届けられることの方が大切だと思う。勿論、添加する量は必要最低限であることは当然だけどね』
彼のアナライズを見ると亜硫酸の数値は恐ろしく少ない。来年からはトノーから大樽での発酵に変わる予定。毎年劇的に進化していくシルヴィオのワイン。よりエレガントで透明感のあるワインに向かっているようだ。