● ロアーニャの新ヴィンテージ、2014年が到着です。この年、物凄い出来になったようでして・・取りあえず確保出来るだけ・・と言うことで、かなり焦って発注しました。その甲斐在って、少量では有りますが、新作を含め各キュヴェを確保出来ました。
また、2011年の「クリケット・パイエ」が素晴らしい出来・・と言うことで、こちらも確保出来ました・・。
それにしてもワイン・アンスージャストの評価が滅茶苦茶です・・いや、滅茶苦茶に高いです。
アジリV.V.が99ポイント、パイエV.V.が98ポイント、モンテフィーコV.V.が98ポイント、それにV.V.の付かないパイエ、ガッリーナ、アルベサーニが97ポイント等々・・
「超ハイポイントの大安売り状態!」
です。
ただし、V.V.の付かないパイエに、ワインスペクテイターが95ポイント、ヴィノスも94+ポイントとこれまた滅茶苦茶高い評価をしていますので、穿った見方は正しくないかと想像されます。
そもそも、ロアーニャのようなふんわりとした自然派そのもののような雰囲気を持った優しい味わいの・・墨絵の世界に水彩絵の具を持ち込んだような感じに思えるものを、海外のメディアが高く評価する・・と言うのがちょっと不思議では有ります。
今回はどれも少量の輸入です。クリケット・パイエ2011 は2ケースのみ、他は4~5ケースほどの入荷がほとんどですので、テイスティングは後回しでご紹介させていただきます。その分、価格も頑張っていますので、是非、この機会に・・のんびりとお楽しみくださいませ。
2014ヴィンテージ情報
ピエモンテ全体:
2014 年は独特の気候。特に適切な始まり方をしなかった夏が印象的である。通常通り穏やかな冬のおかげで、葡萄の樹は丁度良い期間の休息が取れ、いい 状態で発育サイクルを終えた。一方で、新しい発育サイクルは2013年に比べ2週間早いスタートではあったが通常通り。5月中旬以降は、日光が燦燦と降り注ぐ暖かな気候で、植物の成長を非常に早めた。暖かな気候に刺激され、開花は通常よりも非常に早い5 月末。初夏に気候が急変し、気温は下がり雨も多く降り続いた。そのため、葡萄樹の成長サイクルが長くなり、葡萄房の成熟期は結局昨年と同じタイミングとなった。
バルバレスコ:
2014年のバルバレスコは大変複雑な年。冬はとても穏やかで、夏は雨が多く涼しかった。9月、10月のコンディションは良く、昼夜の気温も最適で乾燥していた。そのため、葡萄は最良の熟度を持った。雨量は他のピエモンテ地域に比べ3 倍劣ったが、雹による影響はなかった。
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初めてのご紹介になります「ロアーニャ」です。もう皆さんの方が良くご存知かと思います。noisy も何度かテイスティングし、その深淵で真にナチュラルな味わいは充分に理解していました。いつかやりたいなぁ・・と思っていました。テラヴェールさんからご案内をいただいたので、扱うことにしました。以前にもサンプルをいただいてテイスティングをさせていただいたことも有りまして、今回のご案内になった訳です。
一言で現わせるような生産者では有りませんが、このような生産者は他にいない・・と言えます。アルターレさんと同時代に、
「これからのピエモンテワインをどうするか?」
を研究し、結局、
「何も変えないことを選んだ」
生産者です。
普通ならイタリアでは植え替えるようなタイミングの樹の葡萄のみを使用し、柔らかく、しかし深淵で構造の深い凄い味わいのワインを造り出します。
価格は・・どうでしょう・・個人的には高く無いと思っていますが、誰にでも手を出せる価格帯では無いかもしれません。
しかしながら、ロアーニャにしか出せない見事な味わいが有ります。是非とも一度、この
「たったひとつの生産者である」
と言えるロアーニャのワインに振れていただければと思います。
■100年以上変わらない『バルバレスコ』
樹齢50年以上の葡萄しか使わない。ヴェッキエ・ヴィーニュは樹齢80年以上。ロアーニャでしか味わえない芯のある ワイン。アタックではなく中間からアフターを楽しんで欲しい。
100年変わらない
「ロアーニャ」の歴史は古く1880年まで遡る。1890年にバルバレスコが初めて造られたので、それ以前から「ロアーニャ」はワインを造っていた。1929年に「モンテフィーコ」、1953年には「パイエ」、 1961年には「アジリ」を取得していった。
『100 年前から何も変えてない。今後も変わらない。 ワイン造りの哲学というより、人生の選択だ』
現当主は「アルフレッド・ロアーニャ」。1971 年が彼の 最初のヴィンテージで「エリオ・アルターレ」と同世代。 あまり知られていないが、「アルフレッド」は「エリオ」と 共に栽培や醸造を研究していた。
『エリオ・アルターレとは反対に何も変えないことを選 択した。ロアーニャは変わらない』
2001年からは息子「ルカ」が参加。父親と共にワイン 造りを行っている。2007 年には各畑の樹齢毎に分け て醸造を開始したことで畑毎に「ヴィティ・ヴェッキエ」 と通常の畑名ワインに分類された。
『80 年以上の古樹は強い表現力を持っている。古 い樹の葡萄だけで醸造することで、より畑の個性を 表したワインができあがる』
50年以上の樹齢が必要
畑では 100 年以上前から化学肥料は勿論、有機肥 料も一度も使ったことがない。春先に刈り込まれる下 草がその役割を果たしてくれる。
『生物多様性を維持することで植物や昆虫、動物、バクテリアが自然と均衡を保つようになる。人間が 環境を整えることはできない』
彼等の畑のネッビオーロは苗木屋から購入したもの ではない。その畑で育ち順応してきた樹を「マッサル セレクション」で残している。 色々なクローンが混在していることが重要。それぞれ の畑に残っているクローンには意味があると考えてい て、その畑の樹以外の樹を植えない。
『マルゴッタ(プロヴィナージュ)でその畑の樹を増やし ている。危険が伴う増やし方だが、後世に畑の個性 を残す為に必要』
樹が死んだ場合、隣の樹の枝を地中に潜らせて先端を地表に出しておく。地中の枝から根が伸び、枝が樹に成長していくことで苗木を植樹せずに親樹の個性を残していく。
「ロアーニャ」の樹齢に対する考え方は他の造り手とは全く違う。樹齢20年以下は彼等にとって「赤ちゃ ん」。ランゲ・ロッソに使われる。 樹齢40年以上の樹のみでバローロ、バルバレスコが 造られる。そして 80 年以上の樹のみが「ヴィティ・ヴ ェッキエ」と呼ばれるキュヴェに使われる。
『一般的には樹齢 30 年を超えると収量が減るので 植え替えられてしまう。僕等は30年以上でないと畑の個性を表現できないと思っている』
100日間長期マセラシオン
1989 年にはカスティリオーネ・ファレットの「ラ・ピラ」を取得。三方が崖と森に囲まれた畑で砂質土壌。黒く重い砂層は海底が隆起した層で香を嗅ぐと磯の 香がする。白く軽い砂層は石灰を多く含んでいる層で アルプスに由来する層。
『この畑はフィロキセラの被害を受けていないので自 根のネッビオーロが残っている。第2次世界大戦以前の樹も残っている』
凝固した砂由来の土壌は葡萄の成長に必要な窒素 が極端に少ない。葡萄の成長は粘土質より遅く、収穫も遅れ、複雑味を得る。
最後に「ロアーニャ」では100日間という他の造り手 では考えられない長いマセラシオンを施している。
『長期のマセラシオンで得たいのは濃さではない。旨 味。30 日を超えると旨味が果皮に戻っていき、その 後戻ってくる』