
ようやっと飲めた「ティモラッソ」です。ピエモンテの希少地場品種の白として、再注目されて来ています。一時は絶滅危惧種・・でも有ったようです。
それでも幾つかの優良生産者たちがティモラッソを栽培するようになり、今に至っています。noisy も、このロアーニャのティモラッソはいつかは飲んでやろうと思っていたんですが、機会に恵まれずにいたところ、条件をいただいて・・ついに飲めることになった訳です。まぁ、以前に2015年ものをご案内させていただいた訳ですが、当時は数量も全然無くて・・確か日本に36本とか、そんな数字かと・・仕入れられた分をただ並べるだけしか無かったんですね。
写真を見ると、淡い薄緑と黄色がそれなりに入った、高級白ワインのアロマが漂って来そうな感じですよね。勿論マロラクティックも掛かっています。100日間もマセラシオンするのは白も同じなのかな?・・ロアーニャ風の充実した旨味がそれを証明しているかのようでは有ります。
シャルドネとネッビオーロを混ぜ込んだランゲ・ソレアとはまた違ったニュアンスです。ソレアはもう・・偉大なブルゴーニュ白と安易に区別が付かないほどの見事な味筋です。
しかしながらこのティモラッソ・・。何と言いますか・・個性なのでしょうが、実に面白いと言うか、
「大、どんでん返し~!」
みたいな時系列を辿った表現をしてくれます。
あ、あくまで現時点での話しですので・・ティモラッソ、長熟な品種です。
アロマはもう・・実に見事です。これはブルゴーニュの偉大なシャルドネ風・・まぁ、長期に渡るマセラシオンとマロがそうさせているのでしょう。実に柔らかで、表面張力のある何かに守られているかのような、比較的大きめの粒子がノーズに飛び込んで来ます。非常に心地良いです。
口入れ直後は、シャルドネを僅かに小さくした感じ、もしくは完全には開いていないがそれなりに放出している若いシャルドネのようなパレットを形成してくれます。白や黄色の果実感もたっぷりです。
そこからキュッと・・一瞬、そのパレットを縮小したかと思うと・・次の瞬間、また巨大化してきます。ここからが実に良い感じでして、瑞々しい、やや若さを感じる果実感を漂わせながら、一旦急速に縮小化し、ずっと口内に高質感を漂わせながら居座る・・長い余韻が感じられます。
え~・・誤解を恐れずに言ってしまいますと、まず第一に・・noisy もさほどはティモラッソなどは飲んではいませんが、一般的なティモラッソとはちょっと異なる感じがします。
第二に・・そうですね・・これを言って良いのかどうかは判りませんが、ロワールのムニュ・ピノのスケールを少し大きくしたようか時系列変化が似ているような気がします。口内に入った後、柑橘をふわっと放出したのち、キュッと締まって行くようなイメージが似ているような気がしています。
2016年ものは因みにヴィノスで92ポイント、付けていました。2015年ものはセラー・トラッカーが93ポイント、2017年ものはワイン・アンスージャストが94ポイントと言うことですので、やはり相当に評価されていると言えます。
そんな中で2018年もののドルチェットを今回一緒にご案内していますが、92ポイントも付いちゃってますと・・目立ちますよね~。
でも今回は相当にリーズナブルな価格になっています。ご検討ください!・・美味しいです!
以下は2015年ランゲ・ソレアのレヴューです。
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【ランゲ最高の白ワイン!・・これは素晴らしい!実は・・物凄いポテンシャルです!】
今まで飲んできたロアーニャは赤ばかりで、白はおそらく・・テイスティングさえしていないと思います。今回初めて扱うことにしましたので、入荷数は少ないですし、ソレア、ティモラッソとも、6本ずつのみの入荷なので悩みましたが、とりあえず「ソレア」を開けることにしました。
まったく気取りのないエチケット・・と言うよりも、ペラペラな質感の薄い紙が貼ってあるだけですので、セラーから出した時のわずかな温度上昇でもエチケットにシワが寄りそうです。
しかしながら、その存在感は中々のものでして、オーラのようなものを感じます。そしてグラスに注ぐと・・
「(・・おっ!)」
良いですね~。美しい色です。ほんのりと淡く緑掛かった色合いに粘性が見て取れます。柔らかで膨らみの有るアロマが立ち昇って来ます。
グラスを振るとさらにふっくらとしつつ、粒子の非常に細やかな・・と言うよりも、粒子を感じないほどの細やかなものですね・・風船のよう・・と言っても良いかもしれませんが、やはり淡い緑を印象付けさせるミネラリティがパンパンになって感じられます。
口に含むと・・あ、これはシャルドネにネッビオーロをセパージュしているそうですが、ふんわかと柔らかいながら、少し内向的な表情です。
しかしながら5分~10分ほどしますと、徐々にそのモンスター振りを発揮し始めます。
ネッビオーロのコラムでも書きましたが、このロアーニャのような、ファーストタッチからかなり柔らかい印象を与えるワインは、飲み手にとっては、
「・・大したポテンシャルでは無いな・・」
とか、
「先行きはあまり変わらないだろう・・」
と言うような先入観を抱かせます。
似たタイプに、トスカーナのマッサヴェッキアが有りますね・・いや、味わいが似ているのではなく、そのテクスチュアのソフトさとミネラルの膨大さが合わさりつつ、ポテンシャルをこれ見よがしにしないタイプ・・と言うことです。マッサヴェッキアも、
「(・・ん・・価格もそこそこに高いし・・こう言うタイプは受け入れられるんだろうか・・?)」
と悩みつつ、それでも紹介し続けようとしましたが、中々販売には結びつかず・・ほぼ諦めた以降、いきなり売れ始めたのには驚きました。
そして20分もしますと・・かなり膨らみ、外向的な表情になってきます。こうなると・・もう、誰でも、
「うわ~・・美味しい!」
となるのは間違い無いですね。
特にネッビオーロまで入っていると言うシャルドネ主体のセパージュですから、その個性的な味わいや香りも有るかと思います。普通に、
「ブルゴーニュのシャルドネが持つ、キリっとした表情などは見せない」
のに、
「深淵で繊細で柔らか。時間と共にどんどん膨らみ、たおやかな柑橘系フレーヴァーを放ち出す」
ワインなんですね。
これ、相当・・美味いです。ブルゴーニュ好きの方々も、開けた瞬間は・・「?」となるかもしれませんが、10分もしますと「肯定派」に入られるでしょう。
わざとらしく無く、強い、もしくはエゴイスティックな主張はしないのに・・しっかりと存在するんですね。
「化粧無しのスッピンの超美人」
と言って良いと思います。
惚れちゃいますよ、きっと!・・エリオ・アルターレさんと同世代の先代が、研究を続けた結果・・
「何も変えないことを選んだ」
のは、正解だった・・のでしょう。今、これほどまでに、真にナチュラルなワインは中々存在しないでしょう。ネッビオーロばかりがおだてられているロアーニャですが、白ワイン・・これは隠れた逸品!是非とも飲んでみてください!
また、今回はテイスティングを見送りましたティモラッソも、ロアーニャらしいナチュラルさと柔らかさ、優しさに満ちた味わいに違い無いと思われます。是非ご検討くださいませ!