● ブルゴーニュワインが持つエレガンスと、自然に根差した味わいのナチュラルさが心地良い、国外で頑張る日本人、斉藤さんの「メゾン・プティ・ロワ」の新ヴィンテージをご紹介いたします。
相変わらず数本ずつの入荷に留まっていますので、しっかりしたレヴューを書けずに困っていますが、やはりnoisy ならずとも気になってしまう存在ですよね。
今回の2018年ものは村名ワインまで入って来ています。せめて「ショレ=レ=ボーヌ」でも飲みたいところでは有るんですが・・2~3本の入荷だと10万円クラスのワインと同様の扱いになってしまいます。
ですが、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュ・ラ・モンターニュを飲ませていただいたところ、さらに成長していることがつぶさに感じられました。エキス味の良く香るとてもエレガントな味わいです。加えて美しい「ナチュラル感」が漂っています。昨今は、
「どうだ~!ナチュールだぜ~!・・すげ~だろ~?」
みたいな、ちょっと押しつけがましくも感じる力業のヴァン・ナチュールも多い中、ブルゴーニュ的エレガンスを侵さず、日本人的な細やかさとか、配慮とか、奥ゆかしさを保ったナチュールさが凄く良いです。
上記のように残念ながら多くはテイスティングできませんでしたが、「エレガンス&ナチュール路線を充実中!」なことは間違い在りません。是非ご検討くださいませ。
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昨年、RWGでもご紹介されていましたのでご存知の方もいらっしゃるかと思います。2017年に斉藤政一氏がブルゴーニュ/ショレイレボーヌで立ち上げたドメーヌ・プティ・ロワ、ご縁があって弊社でご紹介させて頂きます。
1982年中国生まれ。幼少期は中国北部で育ち11歳で日本へ帰国。東京農工大在学中に、砂漠化の分析で中国を訪問した時、現地でぶどう栽培がおこなわれていたのを見てワインに興味を持ちます。砂漠化という環境問題は経済と密接な関係を持っており、ただ緑化するだけでは根本的な問題解決にはならない事、そしてその土地に合った作物、なおかつ経済効果のある作物を植えて育てていかないと継続的な取り組みができないと感じた事。中国訪問をきっかけとして「ワイン用のぶどう栽培」が、砂漠化問題解決にぴったりと合致している、糸口になりうるとの考えにいたります。ぶどうは水分ストレスに強く、しかも原料を加工することによって付加価値が上がるため、緑化と経済効果をもたらす作物だからです。この経験と考えが知らず知らずのうちに彼の人生を決定づけます。ワイン作りをもっと知りたいと思うようになった彼は、在学中から日本のワイナリーを廻るようになります。そしてその後、長野県の小布施ワイナリーで研修を開始、自然に本場のワイン作りを見たいという欲望が湧いてきます。
2006年に渡仏。ブルゴーニュで本格的にワイン作りの勉強を開始すると同時に、著名なワイナリーでぶどう栽培と醸造の仕事の経験を積み始めます。(シモン・ビーズ、ジャック‐フレデリック・ミュニエ、アルマン・ルソー、リュイ・シェニュ)ワインの魅力にのめり込む彼がいつしか自分自身のワインを作りたいという夢を抱くようになるのもこれも自然の流れです。彼の真骨頂は、ここで焦らずにじっくりと経験と準備を積み上げ始めたこと。技術、知識、経験、資金を蓄え現地での人間関係を広げ、自らのポテンシャルを高めていきます。
ワインの勉強、仕事以外に、ボーヌに『ラ・リュンヌ』という和食店を立ち上げ、さらにはワイン機材の輸出を手掛ける等、自らがオーナーとなるビジネスも合わせて手掛け、栽培と醸造の仕事をしながらいつか自分のドメーヌをと2足3足のわらじをはき続けます。 その努力は身を結ぶまでに10年の時がかかります。 まずは2016年にネゴシアンの「メゾン・プティ・ロワ」を立ち上げます。今回弊社が初リリースさせて頂くアルテスもネゴシアン時代に仕込んだキュヴェです。これは、サヴォワの友人のブドウを買い、同じく醸造所も借りて仕込んだキュヴェになります。 そして遂に! 2017年に「ドメーヌ・プティ・ロワ」を立ち上げ、自社畑をもち、ショレイ・レ・ボーヌの現在の場所へ引っ越しをします。地下のカーヴを整え、隣接してる古い建物を工事して住居とし、現在は奥様、娘さん2人の家族4人で新たな生活をはじめております。 オート・コート・ド・ボーヌに1.2haの土地を借り、そこには0.8haのピノノワールが植わっております。他に、ポマール村に1haのピノノワール、サヴィニー近郊に0.2haのアリゴテ、0.1haのシャルドネの畑があります。最終的にはブルゴーニュで4 ~ 6haのぶどう畑を持ちたいという目標を持っていますが、現在は合計2.5haの土地をもち(借り)、2.1haの畑でブドウを栽培しております。 11歳で日本へ、22歳でフランスへ、33歳という若さでブルゴーニュでドメーヌを立ち上げた斎藤氏。
『11年というサイクルで新たな挑戦が回ってくる人生なんですよね』としみじみ語ります。
次の11年を迎える44歳になった時の彼が見てる風景は?そしてその時の新たな挑戦とは?大きな挑戦を続ける生産者とのお付き合いは紹介する側も興奮を隠せません.
どこか中性的で風をまとっているような爽やかで淀みない雰囲気の彼の人間性はワインにも本当に素直に表現されております。「日本人がブルゴーニュでワイン造り」、そんな話題性よりもずっとワインが彼について如実に語ってくれます。