● そろそろ引退を考えているらしいジャック・セロスにも多くのお弟子さんがいらっしゃいますが、このフレデリックとロドルフの兄弟が造るシャンパーニュをご紹介させていただきます。ミニエール・F&Rです。
何と、ランスよりも北!のシャンパーニュですよ。大昔、ワインの勉強をしていた頃、
「シャンパーニュはランスの南のモンターニュ・ド・ランスから・・」
と言う念仏みたいな言葉を覚えています。そもそも、Reims で、
「何でランスと読むのよ!・・読めんだろ!」
みたいに怒りが沸いたものですが、安易にそのまま読めないと言う事実が、Reims = ランス と覚えさせ、シャンパーニュは北のランスからはじまるから、
「その北は無いもんだ」
とばかりに思い込んでいた訳ですね。
それでも、どうやらヴーヴ・クリコの何パーセントかは、このミニエールが納めていた葡萄で造られていた訳ですから、
「如何に間違った情報、もしくは勝手に歪曲してしまって信じていたか・・」
と言うことなんですね。
で、騙されたと思って飲んでみると、結構に良いどころか、見所、推し処の多い、美味しいシャンパーニュだったんですね・・。ほんと、世の中って、怖いですね~・・。

ミニエールはジャック・セロスでの修行を経て家業を継承したフレデリックとロドルフの兄弟が、2007 年からシャンパーニュ造りをスタートしたレコルタンです。ドメーヌではセロスから大きな影響を受けた樽発酵・樽熟成、ノンマロ、少ないドザージュを基本とし、ヴィエイユ・ヴィーニュのブドウによるリュー・ディの表現、そしてNV キュヴェでも5~6 年、ミレジメに至っては10年あるいはそれ以上の長期熟成を経てから飲み頃を迎えたものをリリースするという芸術的シャンパーニュ造りを行っています。畑は1960~70 年代初めに植樹された古木が主体で、収量は極めて低く、ドメーヌ全体の年間の総生産量は2万8千本程度という少なさです。
ミニエールのシャンパーニュは、ニューヨークの三ッ星イレヴン・マジソン・パークや、ナパの三ッ星メドウッド、ソノマの三ッ星シングル・スレッド、ランスの三ッ星ラシエット・シャンプノワ、同じく二つ星レ・クレイエールなどの最高峰グラン・メゾン、そして、現代的ワインの圧巻の品揃えで知られるNY のラシーヌなどで、セロスやセドリック・ブシャールなどの超一流のグローワー達に堂々と肩を並べてオンリストされています。酸化的なニュアンスを含めて全体のバランスが取れ、シームレスでモダンなタッチを備えたミニエールのシャンパーニュは、今、世界のシャンパーニュ愛好家が探し求める現代的シャンパーニュの1つです。
醸造について
ドメーヌでは長年ブドウをヴーヴ・クリコやニコラ・フィアットなどのネゴシアンに売却していました。現在でもドメーヌで醸造しているのは8 ヘクタールの所有区画のうちの1/4 の僅か2ヘクタール分にしか過ぎません。シャンパーニュの醸造を自前で行いい、販売せずに長期間ストックしておくことは小さなドメーヌにとって難しいことです。このため、ドメーヌの残りの6 ヘクタールで栽培されたブドウは、ブドウもしくは果汁の形で、ニコラ・フィアットなどのネゴシアンに売却されています。今後の中期的な目標は、ヴィエイユ・ヴィーニュの5 ヘクタールの区画のブドウを全てドメーヌで醸造することです。ドメーヌのワインは全て樽で醸造されます。ドメーヌのワインの異なる特徴を引き出すために、また、シャンパーニュのエスプリにとって極めて大切なアッサンブラージュを複雑にするために、樽の容量や原産地、樽の年などは多種多様です。圧搾後、マストは発酵のためにバリックに入れられます。その後、シュール・リーの状態で定期的にバトナージュを施しながら8ヶ月間熟成されます。セラーでの長い熟成後もワインのフレッシュ感を保持するために、マロラクティック発酵は行いません。ティラージュ後、ワインは最低でも5 年から6 年、ミレジメに関しては10 年あるいはそれ以上の期間、ドメーヌのセラーでゆっくりと時間を掛けて熟成させてからリリースされます。このゆっくりとしたマチュラシオン・シュール・リーによってワインが完全に花開き、消費者に最大限の喜びを提供することができるのです。
リュー・ディについて
ドメーヌのキュヴェを造るために選別したリュー・ディは、全てエルモンヴィルにあります。リュー・ディのブドウ木の樹齢は15 年から65 年と多様ですが、平均樹齢は45 年です。ヴィエイユ・ヴィーニュを永続させるため、また最高品質のブドウを得るために、段階的に傷んだブドウ木の植え替えを進めています。ドメーヌでは以下のリュー・ディが所有しています。
LES FAUVAGNES レ・フォーヴァーニュ
1968 年、1969 年植樹のピノ・ムニエ、1962 年植樹の自根のピノ・ムニエ
LES ROSIERES レ・ロジエール
1974 年植樹の自根のピノ・ノワールとピノ・ムニエ、1973 年植樹のシャルドネ
LES GRANDS BLANCS レ・グラン・ブラン
1964 年植樹のシャルドネ、1965 年植樹の自根のシャルドネ
LES MOINEAUX レ・モアノー
1963 年、1969 年、1971 年植樹のピノ・ムニエ
1981 年植樹のピノ・ムニエ、1963 年植樹のシャルドネ
LES FOSSELLES レ・フォセル
1975 年植樹のピノ・ノワール、2003 年植樹のシャルドネ
LES VOIRMISSA レ・ヴォワミサ
1949 年、1967 年植樹のピノ・ムニエ
1968 年植樹のピノ・ノワール、1972 年植樹のシャルドネ