
今回到着したジュリア・バートラムのキュヴェでは、最も現在のバランスが取れているアイテムです。アールヴァイラーのシュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)です。
いや~・・何とも・・色っぽい姿をしています。そして色っぽいのにいやらしさの無いアロマです。濃くはなく、薄くもない・・「ど真ん中」な色合いで有り、まさにブルゴーニュワイン的なエレガンスと表情を持っています。
まぁ、ドイツでマリエンターラーと言ったら高級なピノ・ノワールワインが想像されますよね。
かの「マリエンターラー・クロスターガルテン」も、大昔は滅茶苦茶に色が淡かったです・・ホント、
「これって・・赤なの?」
と、本当に訊ねたことも有ります。本当に時折・・、「天候に恵まれた時に色が付く」と言う感じで、
「ドイツのピノって、こんなに小さいんだ・・」
と思ったのを覚えています。昨今は全然そんなことはないですけどね。
で、誤解を恐れずに言ってしまえば、「ヴォーヌ=ロマネ」的なバランスです。敢えて言いますが、ブルゴーニュ的な強さまでは有りませんが、
「1990年以前のブルゴーニュワインが持っていた強さとほぼ同等の強さ」
と言う意味です。昨今のブルゴーニュ・ピノ・ノワールは味わい的にとても強いですから・・。
と言うことはですね・・むしろ、noisy 的には非常に好ましいと感じている訳ですよ。美味しいブルゴーニュ・ピノ・ノワールはとても増えました。でも、性格的にも非常に強くなったのも事実です。エレガントだとは言いながらも、比較対象となるのが自分自身であるブルゴーニュ・ピノ・ノワールの各畑しか無かった訳ですから。その他はもっと強い性格ですし。
しかし、
「ブルゴーニュ・ピノ・ノワールが失ってしまったエレガンスが、このアールの村名ワインが見せてくれたら?・・」
とお考え下さい。
例えば、ブルゴーニュのピノ・ノワールは、13.0~13.5度のアルコール分を持っていることが多いです。高い方がボディ感が有ります。こちらのジュリア・バートラムの村名格ワインは12.0度です。1度も低いんですね。
なので、「押し出し」「味乗り」「ボディ感」は強く無いがその分、「エレガント」なんですね。エレガントであるワインは、表情が見えやすい・・ストレートに出て来ます。言ってしまえば「ひ弱」なので、素性が見えやすい・・そして、何らかの外的な要素にも弱い訳です。ボトルを振り回してから開けたのでは、まさに、
「荒れてばらけた味わい」
になります。
しかし、ちゃんと飲んであげると、美しく繊細な表情が感じられるわけです。
また、これは飲むタイミングの話しですが、ヴァーゼンハウスをご紹介させていただいたときは、まだワインが落ち着いていませんでした。日本に到着して余り休めていない状況だったんですね。なので、
「届いてすぐに開けた方は、今一つピンと来ない味わい」
と思われたかもしれません。エレガント系、アルコール分が低い系のワインには良くある話しです。
でも、2カ月ほど休養させられた方は、ビックリするほど美味しくいただけたと思うんですね。
ある意味、現在のこのジュリア・バートラムのアールヴァイラーのタイミングは、とても良いです。ものすごく伝わって来ます。ヴォーヌ=ロマネ的な繊細なアロマには温かみと皮革、スパイスが混じり、プラム系の果実が香ります。強く無いがちゃんと膨らんでくれる中域がまろやかで、余韻も繊細で実に長い!非常にドライなのに旨味を持った美しい酸バランスが見事です。
そして、価格も非常にリーズナブルです!
緻密で判りやすい、タイミング的にも良いアールヴァイラーと、非常に複雑で高質ながらタイミング的には少し早いデルナウアーと思ってください。
とにかくこの1本、是非飲んでみてください。超一推しです!