
ボーヌでは、昨今の醸造中における酸化のコントロールが上手く働いたボーヌのピノ・ノワールはまだ少なく、二次発酵を含めて適度な酸化を必要とする西側の丘のシャルドネの方に人気は集まっています。少しライトなムルソー風で、これがまた滅茶美味しいんですよね。
ですが、フィネスさんが最近輸入しているこの「クリスチャン・ベラン」のボーヌ・ロンボワは、その酸化のコントロールが実にお上手で、愛らしい小果実を生き生きと感じさせてくれる佳酒だと言えます。そして、とても美味しいけれどまだ余り注目されていないので価格も良い感じの、ボーヌの西の丘にあるシャルドネたちと同様に、西の丘・・ここは麓近くですが、そこに存在するのが「ロンボワ」です。
少し野性っぽさが入った苺・・・フランス語だと苺はフレーズ、木苺はフランボワーズのようですが、今回はフランボワーズを採用・・・(^^;; これがまた適度なスピードでノーズに入って来てとても心地良いですし、大き過ぎない、太過ぎないボディから、実際にその実を食しているような感覚に包まれます。酸バランスがピュア感が有って良いんでしょう。
さすが村名だけ有って、A.C.ブルよりもやや大きさを感じさせますが、物凄く無い・・のがむしろ実に心地良いんですね。ポテンシャルを取ろうと思って飲めばそれなりに感じさせてくれますし、何も考えずとも、その充分な反応から満足いただけてしまうと思います。
重厚に造ろうとして上手く行かず、野暮ったくもっさりしてしまうボーヌやボーヌ1級より、むしろこのA.C.ブル並み価格のロンボワに軍配を上げたいと思います。是非飲んでみて下さい。美味しいです!
以下は以前のレヴューです。
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【新樽もしっかり使用したエレガントなボーヌ・ルージュ!・・しかも価格はA.C.ブル+アルファほどです!】
ボーヌの村の西側には丘が有って、その周辺では、さして名高くも無く、また1級でさえも無く、もしくは村名でさえも無いシャルドネの中に、目を見張るような素晴らしいものが散見されることは皆さんもご存じかと思います。
その昔、かのフレデリック・コサールが支えたドメーヌ・ド・ラ・コンブのボーヌ・オ・ルナールの赤白もそんなワインの一つでしたが、たっぷりの透明なミネラリティを持ちつつ、下手な1級を凌ぐようなパフォーマンスを見せてくれたものです。
その、オ・ルナールの下部、南に接するのが「レ・ロンボワ」で、ド・ラ・コンブのオ・ルナール赤を彷彿とさせるような見事なバランスを感じさせてくれます。
ここはやや南に向いて開けた畑で丘の麓に近い部分に有ります。苺系の小さな果実が凝縮しています。甘く無く、全くのドライですが、口内を収斂させるような出っ張りや、薄辛さは有りません。
白の造り手と言うことで、余り期待せずに飲んだんですが、これ、ボーヌ村名格なんですよね・・。A.C.ブルを探すのが難しいボーヌとは言え、村名でこのプライスは嬉しく無いですか?しかも、ボーヌ的な粗野なテクスチュアじゃぁ無いんですよ。実に質の良い、しかも生まれも育ちも良いところの出ですか?・・と尋ねたくなるような感じ。
最も、滅茶大柄なワインにはなってはいないものの、今飲んで非常に美味しく、しかもエレガントで流れてくような味わいですので、きっと喜んでいただけるんじゃないかと思いますよ。
クリスチャン・ベランのサヴィニーも、サヴィニーらしい愛らしい味わいで非常に好みでした・・が、サヴィニーの方が高いんですよね~。なので、取りあえずはこのボーヌ・レ・ロンボワを飲んでみてくださいよ。何しろ安い!・・そしてエレガントです。きっとクリスチャン・ベランの美味しさに気付いていただけると思います。超お勧めです!