【クリスチャン・ベランの2020年ものは大成功!サヴィニーV.V.はアルコール分13.5度でベストなバランス!濃密なチェリーの長~い味わいに複雑な要素が絡みます!】

店にいらしたお客様には、2020年もののエマニュエル・ルジェのパスグラやアンリ・グージュの各ワインのグラスの生写真をご覧いただいていたりするんですが、皆さん・・
「・・えっ・・凄い濃いですね・・」
と驚かれています。
そうなんですよ・・結構に濃い・・特にヴォーヌ=ロマネ近辺のワインは滅茶濃いです。
ですが・・2020年のクリスチャン・ベランは・・まぁヴォーヌ=ロマネよりも南では有りますが、
「濃い・・と言うより、いつもより濃密でちょうど良い」
と言える感じなんですね。
アルコール分もまた、15度くらいまでに上がったワインが多いんですが、この上のボーヌ=ロンボワは13度、このサヴィニーV.V.は13.5度と・・非常に好ましいレベルなんですね。
まぁ、ヴォーヌ=ロマネでもグロファミリーは何故かそこまで高く無い・・のは何で?・・と言う疑問は有るんですが、それでも例えば只今テイスティング中のデゾネイ=ビセイなどは、
「滅茶苦茶濃い・・」
のに、
「アルコール分も高い・・」
のに、す~っと入って来て美しい振る舞いをエレガントにして綺麗にいなくなる・・んです。・・さぁ・・どう落とし前を付けたら良いのかと、さんざん悩んでいる訳です。

で、この赤い・・赤い、美しい赤を深く見せてくれるこのサヴィニーV.V.です。
安いのに滅茶美味しいボーヌ=ロンボワに、縦に伸びる白い石灰の腱を沢山仕込んで、ジュヴレ的ほどは重く無い鉄分を小さじ1杯ほど、マンガンを一つまみ混ぜ込んだかのような・・ちょっと安くは無いワインのような見事な味わいをしています。
そもそもこのクリスチャン・ベランさん・・白の生産者だと最初は思っていた訳ですよ。赤もバランスが良くて美味しいですが、当初は・・
「チャーミングな味わい」
でしたから・・。
あ、チャーミングと言うのはワインの場合、そんなに良い意味では使われない・・比較してチャーミング・・と言ったら、その対象の方がより良い・・と言う意味になります。
このずっと下の2015年ものの写真と比較すると、
「2015年ものは2020年ものと比較してチャーミングだね・・」
と言えるはずですが・・
「いやいや・・ここまで違うと、まったく別物でしょう・・」
と言うのが正しいかと。
ただし2015年ものも石灰系のミネラリティと構造は有りましたから、そこに濃密な果実と複雑なミネラリティが備わった・・2020年の少雨での水分の飢餓状態が、水を求めて「根」が地中深く入って行った・・その結果だと受け止めています。
先だってのマリウス・ドラルシェの2017年サヴィニー=レ=ボーヌは激エレガントで熟していて、滅茶旨かったはずです。総体の質感は似ていますが、このしっかりした果実のニュアンスが、マリウス・ドラルシェのエレガンス中心の繊細な味わいともまた違うサヴィニーの魅力を伝えて来てくれます。是非飲んでみてください。これも非常に安いと思います。
あ、ここだけの話、ジャンシス・ロビンソンさんはこの2020年ものサヴィニーV.V.に90ポイント、付けているようですよ。未確認情報につき責任は持てませんが・・彼女は結構に厳しい評点ですから、実際はかなり高い評価だと思います。
以下は以前のレヴューです。
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【旨い!・・縦構造が素晴らしいサヴィニー赤!・・伸びやかでスタイリッシュ!チェリーな果実がエレガンスを湛えつつ感じられます!】
残念なことに、ブルゴーニュワインの高騰でブルゴーニュから離れる方もいらっしゃいます。
まぁ・・小遣いの範囲で飲もうと思うと、3~5千円が限界ですし、それも月に何十本もは購入できず・・2~3本が普通だと思うんですね。noisy だってワインの勉強を始めた時は、
「なんでこんなに高いんだろう・・」
と思ってましたが、流石に今は色々判りますから・・
「仕方が無い・・と言うか、そうなって当たり前」
だとも思ってしまう訳です。
ですので、何とかブルゴーニュワインでリーズナブルなものを一生懸命に探すんですが、そうは中々当たりはしません。稀に見つけても、それが美味しければ美味しいほど、
「さっさと値上がりして行ってしまう」
訳ですし、下手をすれば・・
「いつの間にか入手できなくなってしまう」
と言うことになってしまいます。

ほんの少し前までは、あのロマネ=コンティのすぐ脇の畑を持つ生産者のA.C.ブルを3千円ではんばい出来た訳です。
そりゃぁ・・昔は全然売れませんでしたが、良くなって来たのが判った時から、みんなが欲しいと思うようになって何年も経たずに・・入手すらできないようになってしまった訳です。
このサヴィニー赤ですが、愛らしい、サヴィニーらしい縦構造を持ち、冷やかなチェリーの果実味と、小さな石、白っぽい石灰を沢山持っているかのような風情のミネラリティが非常に・・好ましい。見事な味わいをしています。
もう、写真の色合いだけで選んでください!・・と言いたい位に2018年までと違ってしまっています。決して濃く無い色では有りますが、
「エキスは非常にしっかり!」
感じられます。
甘みはほぼゼロ・・ながら、薄辛くならず、また昔のサヴィニーのような平坦さ、硬いだけ・・みたいなネガティヴさは有りません。
さりとて、3年ほど前までのフレデリック・コサールのサヴィニー・レ・ゴラルドのような、少し過熟気味に持って行ったと思われる「分厚い果実味」にもなっていません。
つまり、力業では無く、
「ごく自然に仕上げた結果がこれ」
と言うことですので・・2020年、2021年と見続けて行きたいと思わせてくれた・・でも何ともリーズナブルな価格に手を合わせたくなるワインです。是非飲んでみて下さい。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【すみません・・これだけは未テイスティングです。でも、2018ボーヌ・レ・ロンボワ・ルージュの出来を見ますと凄く期待出来ます!】 こちらも6本しか無いピノ・ノワールです。相当良さそうですが、都合12本で2本開ける訳にも行かず、今のところテイスティングは躊躇しています。
ムルソーとサヴィニーに畑を持つクリスチャン・ベランですが、これもやはり「相続」でこのようになった訳ですね。「ブルゴーニュあるある」で長く続くドメーヌほど、そのようになって行く訳ですが、相続する子がいなかったり、ヴィニュロンやドメーヌを止めてしまうと、細分化も再集合化も止まる運命になってしまう訳です。
クリスチャン・ベランを飲んで思ったのは、
「意外にもピノ・ノワールが超美味しい!」
と言うことなんですね。
イメージ的にムルソーの造り手ですからシャルドネが・・と思いがちです。勿論、シャルドネも超美味しいんですが、ピノ・ノワールの造り手真っ青な出来のボーヌ・レ・ロンボワ村名では有りますし、このサヴィニー=レ=ボーヌ2017年も非常に良い出来だったので、是非トライしてみていただきたい・・そう思っています。ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
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【とっても美味しい!エレガント系、冷涼な果実酸の利いたさくらんぼ的アロマが豊かな味わいです!】
畑の解説は前回記載させていただきましたので今回は端折ります・・でも2017年ものは年の性でしょうか、2015年ものよりもっと美味しいです。
やや丸いパレットを描きたがるボーヌ・ロンボワよりも、少し扁平した「立てた卵型」のパレットに感じます。また、やや温かみ+冷涼感の両方を感じるロンボワよりもより冷ややかな酸が、このワインのエレガントさを引き立てているようにも思います。
何しろ香りの上りが良く、冷涼な地に育った野性味がほんのり載った「サクランボ」が滅茶心地良いです。チェリーと言いたいけれど、ここは敢えて「サクランボ」で。サヴィニー的なテロワールをちゃんと感じさせつつ、熟度が適度にある深い味わいを失っていません。
一時のフレデリック・コサールの「サヴィニー=レ=ボーヌ・レ・ゴラルド」は、テロワールも有るのでしょうがより粘性が有って濃度がしっかりあり中域の膨らみが凄く、
「・・とても旨いけど・・ちょっとサヴィニーとは言い辛いかな・・」
と言うような気にもなっていました。今のコサールはそこまで濃く仕上げず、個人的にはより良いと感じています。
こちらはその中域の豊かさはそんなにズ太くは無く、「チェリーと言いたいけれど敢えてサクランボで」・・みたいなニュアンスで伝わるかとは思うんですが、チャーミングな美味しさを良い方に出せているワインだと感じています。
まぁ、チャーミングは基本、ワインの場合良い言葉としては使わない場合が多いんですが、そこも今回、敢えて使用させていただき、ワインのニュアンスを伝えられたらと思っています。
勿論、中程度の重さの細やかなミネラリティもしっかり有り、So2も多く無いと感じます。価格も実にリーズナブル!・・前回もしっかり完売させていただきましたので、
「バランスの良い、サヴィニー的冷涼なさくらんぼを感じさせてくれる美味しいピノ・ノワール」
を是非味わってみて下さい。お勧めします!
以下は以前のレヴューです。
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【スタイリッシュなエレガント系ピノ・ノワール!実に美しいです!】
美しい色合いをしていますよね。すこしカッチリとした感じかな?・・などと目に映るんじゃないかと思いますがいかがでしょう?・・そう、それは正しいです。サヴィニーらしい、「さくらんぼ」みたいな果実表現にしたくなると思います。
サヴィニー=レ=ボーヌは、ボーヌに接した中央部に1級が集中しています。普通にボーヌの北の1級に繋がっているから・・ですね。村の境界線は有ったとしても、畑に境界が有るとは限りません。むしろ、地形学的には影響ないですしね。
そして、村の東側はショレ=レ=ボーヌに接していまして、こちらには1級畑は有りません。「Les Petits Picotins(レ・プティ・ピコタン)」、「Les Planchots de Nord(レ・プランショ・ド・ノール)」、「Les Ratausses(レ・ラトス)」はこの位置にあるヴィエイユ・ヴィーニュです。
ですので、性格的には、ボーヌに似ている部分は在るにせよ、ショレ=レ=ボーヌにより似た性格なんじゃないかと想像出来る訳です。
ボーヌ中央部の深い粘土のニュアンスは余りありません。むしろ、明るく、やや軽い粘土が由来であり、そこにややしっかり目のスタイリッシュなミネラリティが有りますので、
「エレガント」
と言いたくなる味わいです。
稀に「エレガント」=「薄い」と言う意味で使う場合も有りますが、この場合は・・色を見ていただいても判るように、決して薄くは有りません。充実しています。スタイルはややほっそりしているものの、痩せてギスギス・・と言うような表現は遠いです。
やはり洋物のさくらんぼをイメージしますね。もしくはレッドカラント(フサスグリ)でしょうか。
昨今は、収穫を遅らせてより熟した実を得て、濃密な味わいを造り出すことが行われてきました。しかし、それはむしろ時代遅れ・・そうじゃなくても温暖化でマッチョ化が黙っていても進みます。
極まれに、物凄くエレガントで美しいワインに出会いますが、そんな時、まだ温暖化が叫ばれていない頃の、ほのぼのとした味わいのブルゴーニュワインを思い出します。そこまでは「詫び寂び」していないものの、美しい躯体を持った見事に伸びやかな味わいに出会えば、またブルゴーニュワインに惚れ直してしまいますよね。
素晴らしいサヴィニーV.V.でした。マッチョでは無い、美しいエレガントなサヴィニー・・・是非飲んでみてください。お勧めします!