
どうでしょう?・・明らかにクロ・デ・プテュールとは異なるスッキリした赤みの色合いですよね・・。まるでニュイのワインのように・・。
そうなんですよ・・。どうも納得が行かなくて、色々と調べていたんですが、ようやく判りました!
ポマール最高の畑、レ・リュジアンには、上部のリュジアン・オーと下部のリュジアン・バが有り、リュジアン・バを持って白眉とします。それが一般的な理解です。
noisy も、相当の思い入れを持ってテイスティングに臨んだこのリュジアン2016年でした。全房で、ビオ系だけれどSo2は使う人・・です。
飲んでみると確かに全房らしく、さほどビオっぽくは無いにせよ結構ナチュラルさが前面に出ていて、でも危険性の無い綺麗なワインでした・・が、それなりに・・
「軽い」
そうか・・このエレガント系の味わいと言うことは、「リュジアン・オー」なのかな?・・そして、MC系の仕込みなので、後々、重さが出てくるだろうと。
この段階で飲んだ人は、おそらく「ガッカリ」するだろうと・・も思いましたので、数日間掛け、検証させていただきました。
そして、3~5日ほど経過すると、それまでの「軽さ」が嘘のように・・まるで起きなかった事実のように、重量感が出てきて、大きな味わいになっていたんですね。
実は、noisy のテイスティングはこのレ・リュジアンから入ったんです。クロ・デ・プテュールはその後でした。なので、当初の感覚では、
「ハイツ=ロシャルデはプリューレ・ロック風!!」
と言う感覚でして、ロックのクロ・ド・ベズに近いニュアンスで捉えていました。シャンボールチックな白い石灰をたっぷり持ち、赤い果実をギュッと詰め込んではいるものの、早い段階で飲むと軽いんです。充分に熟すとその本質が出てくるワインです。
ところがです。2016年のクロ・デ・プテュールが滅茶苦茶に旨くて・・スタイルが結構に異なるんですよ。
で、少し調べてみると、どうやらハイツ=ロシャルデのリュジアンは下部のリュジアン・バだと判ったんです。
「・・え~?・・リュジアン・バなの~?」
重量感のある本格派なイメージが有りますんで、ちょっと自身のイメージと異なり過ぎる。はて・・大分老いぼれたか?・・と思いつつ、頑張って海外の情報を漁ったんですね。
すると、ようやく有力な情報が入手出来ました。どうやらハイツ=ロシャルデのリュジアン・バは、リュジアン・オーとの境に在るようで、表土が上部の白い石灰に覆われているらしいんですね。それでシャンボールっぽいニュアンスで感じられた訳だったんです。
なので、この実力はグラン・クリュ並みのリュジアン・バの、真の姿を見るには、あと少なくとも3~5年ほどは掛かる・・と言うことになります。
そしてこれは想像ですが、おそらく2016クロ・デ・プテュールは、このリュジアンとは若干異なるアプローチで醸造されているはずです。
ワイナート誌78号では、以下のような紹介で始まりました。
「いやはや、凄い若手が現れたものだ。アルマン・ハイツ。1988年生まれの若干26歳。」
そしてインタービューでは、こうも語ったそうです。
「還元的でもない、酸化的でもない、その中間を狙っている。」
敢えて言うなら、酸化的なクロ・デ・プテュール2016と、還元的なリュジアン2014です。しかし、その手法と造り手の意思を考えるなら、結果は真逆として出ているはずです。昨今流行りの還元的な造りは、リリース直後から結構に美味しく飲めますが、リリースから3年弱とは言え、リュジアンは、
「今飲んではいけない・・と言うべき」
状態です。反対に酸化的に寄ったクロ・デ・プテュール2016年は、今飲んで滅茶苦茶美味しい!
「還元的でもない、酸化的でもない、その中間を狙っている。」 是非とも実現して欲しいと思います。この2つのポマール1級は、彼が描く理想と、彼が創り出した現実のはざまでもがいている姿を、まるで3年間の記録映像でも見ているかのように映し出していると感じました。
素晴らしい造り手だと思います。これから追いかけようと思いますんで、可能ならこの2つのピノ・ノワール、飲んでみて欲しいですね。・・あくまでリュジアンを早めに開けるのでしたら、数日間掛けて検証してみてください。リュジアン・オーとバのはざまの白い石灰が目に浮かんでくるでしょう!