
このところのクルトワは神掛かったワインをロワール中流で造っています。個人的には、昔はそんなに「綺麗だ」とは思えず、「複雑性が高いが飲みにくい」と捉えていました。今や昔・・です。
この、美しい色合いやグラデュエーションを見ていただければそれは伝わって来ると思います。
そもそもこのクルトワの畑は、ブルゴーニュ的な「丘陵のワイン」では無いと思われ、むしろボルドー的にな川の傍の平地に近いものです。ただし、ロワールの川も分岐していますし、このソワン=アン=ソローニュの地も2つの川が合流する手前に有り、まさに、
「ボルドー的地形」
と言って良いんじゃないかと思うんですね。
しかしながら、その味わいは見事に「ブルゴーニュ的」です。若い時は単一ピノ・ノワールによるブルゴーニュワインよりもブルゴーニュらしいかもしれません。見事なベリーやプルーン、チェリーと言った果実を感じさせてくれます。
現状で非常にピュアで、しかもナチュラルながら、一点の曇りも感じられない見事な仕上がりです。
今飲んでも非常に美味しいんですが、5~10年ほど寝かせると、結構に変化するんですね・・。ただ美しいだけじゃない、非常に味わいの深い複雑な表情と香りを出してくれます。
この価格は安いんじゃないかと思いますよ。
「クルトワ?・・有名だけどロワールだしなぁ・・」
とブルゴーニュワインファンの方々は思うかもしれません。でも村名以下のプライスで、これほどの出来の魅力あるワインに出会える可能性を自らのフィルターで捨ててしまうのは勿体無い!・・是非飲んでみていただきたいと切に願っています。ご検討くださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【少しは理解できたのだろうか・・】
このワインを輸入されているラシーヌさんも、聞いたことは無いですが、おそらくこのクロード・クルトワさんの「ラシーヌ」に共感が有っての命名がなされたのかな・・・と思っています。
それほどまでに思い入れのあるラシーヌさんのラシーヌ・ルージュなんですが・・・
実はnoisy 的には、良く判らないワインのひとつでは有ったんです。
いや・・・美味しいんですよ・・でも良く判らなかった・・比較の対象をどこに持っていったらよいのかも判らなかったんです。
例えば、ある意味とてもDRC的ですから、DRCと比較をしようにもね・・価格が違いすぎる訳です。
味わいも素晴らしいが香りも凄いんですね・・で、むしろ、その香りが凄すぎると・・どのように理解したら良いのかと思っていた部分が有った訳です。
今回、こうやって皆さんにご紹介しているのは、その辺が少し判ったからなのかも・・しれません。
舌の写真は「散らし寿司」と「ラシーヌ」を合わせています。魚卵系ですんで、普通なら
「無理!」
なんですが、ラシーヌ・ルージュのピュアさはこの散らし寿司を非常に美味しくさせてくれます。臭くなんかなりません。
エレガントさがたっぷり有って、土地由来の細やかなスパイス感・・・いや、勘違いされると困りますが、昔のクロード・クルトワさんのラシーヌのような、ぷんぷんと匂って来る様なものでは無いです。
むしろ、この辺はラシーヌの方が変化したと思うんですね。
「香りが有って、液体が有る」
のでは無くて、
「香りと共に液体がある」
と感じられるんです。
そして、エチケットそのもののような葡萄の根っこの存在が感じられるんですね。
むしろ一体感が出てきたと思うんです。この2011年は非常に素晴らしいと・・感じています。しかしnoisy自身が、ようやく合田さんが感じていたことが判るようになっただけなのかもしれません。・・ま、それにしては時間が掛かり過ぎかもしれませんね。
もし、noisy と同じような風に感じられていらしたビオファンの方がいらっしゃいましたら、是非このラシーヌ2011年を飲んでみて欲しいと思います。頭の中の霧が晴れるかもしれないです。ピュアです!是非魚卵と合わせてみてください!
■■oisyテイスティングコメント
2011 Racines Rouge V.d.F. les Cailloux du Paradis いつだったか、試飲会でテイスティングした以前のラシーヌはもう少し強さが表に出ているトロっとした旨みのパンキッシュなワインだと思いました。
しかし今回テイスティングした2011のラシーヌはよりエネルギーを内包したエレガントスタイル(ヴィンテージの差異かも)だと感じました。
いずれにせよ畑のパワー、味わいを探っていきたくなるような深みを持ったワインである事は間違いなく、ワインというのはつくづく奥が深いと感じるテイスティングです。
とはいう物の正直な印象はブルゴーニュの方が分かりやすくてワインとしての完成度は高いと思うし、好き。
それは否めません。Oisyの経験ではネット上のクルトワ礼賛は、んー。。。という思いがちょっとあります。
確かにウルトラピュアで考えさせるような深みはありますけれどもそんなに分かりやすいものではないような。
きっと様々なワインを飲んでかなりワインを理解したときに、このワインはこれこれこうだから良いと言えるのではないかと、そんな気がします。
それとも単純になにも考えずに「ふっ」とした時に飲んだ方が直感で美味しいと感じるのかな。。。
なにはともあれ、考えれば考える程深い穴にハマっていく、ワインの罠デスネ。
悩ませるワインであれ、良いワインである事は事実。
ラベルから名前からも造り手が「根」に重点を置いていることは良く伝わります。
また非常に味わいからもその意思が伝わってきます。
角の丸さはびっくりするほどで亜硫酸無添加、本当?という程の安定感です。