こちらもすみません、グラスの写真は撮って無いです。その理由は「2020リディル・ルージュ」のコラムに書いて有りますので、
「そんなくだらないことはど~でも良い・・」
とお考えの方以外は読んでみて下さい。確かに下らないかもしれません。
ですが2020年ものはリディル・ルージュ同様、2019年ものの到着時に見せたネガティヴさ・・アヴァンギャルドさは無く、全く揮発酸が無いとは言えないものの、確実に表情に溶け込んでいてポジティブなものになっています。
そして、サン=ブリと言えばソーヴィニヨン・ブランなんですが、この葡萄の質が実に良い!
自然酵母で醸造する場合、・・あ、もしかしたら、
「自然酵母、培養酵母、どっちにするのかは好みだけでしょ?」
とお考えかもしれませんが、これは造り手にとっては大問題なんですよ。そんなに簡単に変えられることでもないし、出来ることでもないんです。
培養酵母の場合は、発酵前にSo2を入れさえすれば全ての菌を始末できますから、あとは培養酵母で醸造スタート出来る訳です。しかし自然酵母の場合はSo2を入れませんから・・入れたら自然酵母はいなくなってしまう訳ですよね?・・なので、発酵には好ましくない他の菌も生きている訳です。そのまま醸造をスタートしますとそれらも一緒に動く訳で・・だからこそ、揮発酸を生成する菌も混じっている可能性があると言うことになります。
葡萄が本当に健全なものばかりなら、アルコールを食糧とするそれらはほぼ皆無ですが、少しでも傷が付いていたりしますとそこから酵母が入り込みアルコール発酵を始め・・そのアルコールを食べて酵母以外のそいつらは増殖してしまう・・そんな流れなんですね。
ですから、このぷっくりと丸く、青りんごさえ高級リンゴに代えてしまうような見事な味わいは、そんな瞬間をひらりと躱したり、少しは受け入れてもある程度以上は拒絶した証拠でも有るんですね。
素晴らしい出来だと思います。あの美味しかった、官能感バッチリの2019年ものよりも出来も良いと感じます。一つだけ・・有るとするなら、2019年ものはNoisy wine で半年寝かしていますので、
「飲むタイミングが2019年ものよりも早い」
と言う部分を含んでいただき、お楽しみいただけましたら幸いです。ご検討くださいませ!
以下は以前のレヴューです。
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【ソーヴィニヨン・ブランのネガティヴな香りも無し!・・滑らかでネットリ!官能感バッチリな旨い白です!】
一枚目がこの冬の・・半年前の写真で、二枚目が最近の・・9月始めの写真です。
白なので判り辛いかもしれませんが、これは結構、臭かったです・・揮発酸、バリバリでした。
でも今はほとんど判らない状態にまで来ています。ワインって・・不思議ですよね・・なので、エージェントさんには、
「あのね・・到着したからって、すぐ販売してしまって良いものと、よく考えないといけないものがあるんじゃない?」
と、釘を刺しておきました。
ビオファンには良いですが、ビオ嫌いのブルゴーニュファンの手にあの状態で入ってしまうと、結構に問題になると感じました。
それでも今は、相当に旨いですよ!だからワインは面白いんですね・・。

まぁ、難しいですが、2枚目の写真の方が・・少なくとも、
「落ち着いているように見える」
と思うんですね。
味わいは、良く熟した洋ナシとか、良く熟した青りんごとか・・実に妖艶だけれどシャッキリ感もちゃんと有る、青臭く無く美味しい果実が充実した柔らかなフィルム状のミネラリティとともに結構に感じられ、
「これは美味しい・・よなぁ・・」
と、思わず愚息と顔を見合わせてしまいました。
「全く別物みたい・・」
のようなことを言っていたと思いますが、こんなマジックのようなことをやっているのが醸造家なんですね。美味しいです!・・是非飲んでみて下さい。