
アンドレ・ヴァタンのサン=フランソワです。こちらは2020年ものになり、レ・シャルムが2021年ですのでお間違いの無きようお願いします。
そもそもサンセールで「ヴァタン家」と言うと名門です。今や簡単には手を出せないようになってしまった「エドモン・ヴァタン」の「クロ・ラ・レオール」では有りますが、想像するに・・「お血筋」でしょう。アンドレ・ヴァタンはヴェルディニと言う村ですが、エドモンさんちはシャヴィニョールのモン・ダネです。ここは川向うのプイィ=フュメのディディエ・ダグノーが入手し、現在・・血道を上げて造っています。それにモン・ダネと言えば「コタ」ですよね・・でも noisy はエージェントさんと喧嘩別れしたので、もう買っていません。だって酷いんですよ・・全アイテム1ケースずつでオーダーしたら、売れ筋のモン・ダネやロゼはゼロ回答、売れ筋以外は満額回答、で、そっちはまだ有りますからいかがですか・・だって。どこのインポーターとは言いませんが、前年もちゃんと仕入れているのに何が気に入らなかったのか・・もうそんなところとはお付き合いできません。
このサンセールと言う土地ですが、まぁ・・滅茶・・土壌が入り組んでいるんですね。ですから、赤っぽい土にシレックス・・とか白にシレックス・・もともとは河原だったようで言い出したらキリが無い・・日本のワインで言えば、少し似た感じでFerme36の矢野さん・・でしょうかね。矢野さんのところはこれから樹齢が上がってくれば、とんでもないワインになると思いますよ。

で、この2020年のサン=フランソワ・・良いですね・・めちゃ大柄で・・高貴さとソーヴィニヨンの官能感が交差する、見事な出来です。
ソーヴィニヨンはピピと呼ばれる麝香(じゃこう)が出ることが比較的有るんですが、その感じが「良い感じ」か「キツクて臭いか」で、結構に印象が異なるんですね。
ですが、その麝香は・・どうやら熟成具合によって相当に変化しまして・・
「・・あんだけ酷いくらいの麝香だったのに・・今は溶け込んでしまって滅茶エレガント!」
みたいな経験もしています。なので、
「臭い麝香は勘弁・・」
みたいなことは、迂闊には言えないんですね。
で、その麝香が適度に入り、ハーブやミントっぽいほのかなアロマに、レ・シャルムにも感じられる素晴らしい柑橘が入ってくる・・しかもそれらが低域から高域にまで伸びて行くんですね。
色合いも素晴らしいでしょう?・・黄色が多くて果実感はたっぷりです。これはこんな価格で良いのかな?・・みたいな雰囲気を感じるんじゃないかと・・。半面、シレックス的なミネラリティは少し減り気味でしょうか。その分、果実が多い感じで、
「そのニュアンスは、このサン=フランソワが2020年ものだから」
なんじゃないかと想像しています。
ですので、果実感たっぷりの2020年、そしておそらく来年入ってくるに違いない2021年ものは・・
「その大量にある果実感をもの凄いミネラリティで完全コートしている??」
んじゃないかと、入って来てもいない2021年ものが楽しみでしょうがない・・(^^;;
価格もリーズナブルです。そして・・おそらく凄い出来になっているに違いない、2021年のサン=フランソワを楽しむためにも、このほんのりソーヴィニヨンっぽさを色気にしている2020年ものも飲んでみてください!
何より、このアンドレ・ヴァタンはヴェルディニと言う村は、あのモン・ダネとはそう離れていない・・2キロほどです。クロ・ルジャールのフーコ家からお嫁にいらしたエドモンさんちは、その昔は白だけじゃなくて、ピノ・ノワールにもご執心でした。
「・・だってここは・・ブルゴーニュだったから・・!」
いつか書いてやろう・・と思っていたんですが、ようやく書いちゃいました。決して現在のアペラシオンと一緒にしないでくださいね。昔の話です・・がちょっと面白いでしょう。超お勧めです!
以下は以前のレヴューです。
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【相当、力の入った見事な出来!ダグノーのシレックスと比較したくなってしまうほどの凝縮度と仕上がりです!】
これは凄いですね~・・感覚的にはかなり・・かなりですよ、ディディエ・ダグノーのシレックスを思い出させてくれちゃいます。単純に、一嗅ぎした時の複雑なニュアンスは、硬くて余り何も表情に出してくれない時のシレックスを凌ぐと思います。もっとも完熟に近いシレックスは途方もない表情になりますんで、
「残念ながらダグノー・シレックスには及ばない・・」
と思います。
しかしながら「サンセール・ブラン」でこれだけのポテンシャルを感じさせてくれるとすると、相当に良いです!そして、ダグノーは今、新樽の使用はしていないんじゃないかと思うんですね・・。だとするなら、
「黄色や白、淡い橙の果実、柑橘果実にシレックス土壌由来のミネラル香、そして新樽の要素が僅かに加わった、かなりの凝縮感の在る高密度サンセール・ブラン!」
と言えるとするなら、これは相当に興味を惹かれませんか?

この、淡い緑の入った美しい黄色には、シレックス土壌由来のたっぷりなミネラリティが、まるで見えるかのように映りませんか?
味わいは結構に重厚です。海外メディアを調べてみると・・アンドレ・ヴァタンさんは、
「全くに近いスルー」
でした。
いや~・・相当頑張ってるだろう!・・少しは評価してみてよ!・・と言いたいところですが、評価され始めてしまうとビックリするほど一気に値上がりしちゃいますから・・はい。
その昔、「フランソワ・コタのサンセール」がアメリカの某バイヤーの目に留まり、
「そんな価格で売ってたらダメ。私がアメリカで4~5倍で売れるようにする!」
と言ったとか・・(たぶん・・)。
その昔、フランソワ・コタのエージェントをしていたル・テロワールさんも、ワインのポテンシャルはちゃんと認識していたものの、結局は手放さざるを得なくなってしまった訳です。そこにはその某バイヤーの思惑が有ったんですね・・(おそらく)・・。
でも結局は、その某バイヤーの計画は頓挫したようで、一時超高値で有ったコタのモン・ダネも、元の価格にはならなかったものの、1/4ほどに下がっています。
ワインの価格って、人それぞれの思惑で動いてしまうものでも有りますが、やはりそこは、
「ちゃんと値踏みをする」
だけじゃなくて、
「ちゃんとポテンシャルを見る、理解する」
ことが重要だと思っています。
その意味では、このワインは全く高くないです。素晴らしい出来の2019年、サン=フランソワです。是非飲んでみて下さい!お勧めします!