
当たり年でしょう!・・実に高質です。
まぁ・・フランス本国でも何を飲もうか・・と尋ねられて「サンセール」と答える時は、
「軽やかでフレッシュなフラワリーなワイン」
なのでしょうし、ましてやサンセールの赤と言うことになりますと、決まって軽量級の・・水のように飲めるリーズナブルなワインを意味していたはずです。
ですが今や・・まぁ、気候の有るのでしょうが、基本的には熱意有る生産者が増え、ビオディナミやビオロジックなどの有機栽培で高質な「サンセール」を造り出すようになって来た訳ですね。
2020年はやはり水に悩まされたヴィンテージですが、結果的には「グレートイヤー」の呼び声も高い年になりました。
あ・・もしかしたら勘違いされていらっしゃる方もおられるかもしれませんので申し上げておきますと、
「サンセールはブルゴーニュの北に有るのではない」
んですね。
じゃぁ・・どこに有るかと言いますと、ブルゴーニュ(最北のディジョン)の西、直線距離で170kmほどしか離れていません。東京から静岡辺り、もしくは東京から群馬は前橋辺りの距離感覚で西に・・まぁ、東京から西に170kmだと長野県塩尻辺り、諏訪湖の少し先辺りになります。
ですので、シャブリの方がかなり北に有り、サンセールからは東北東に90kmに行った辺り、シャブリからは東南東に100kmちょっと行くとディジョンです。ディジョンからマルサネ・ラ・コートまでは6km位です。
どうしてもロワール上流なんて聞きますと、
「ブルゴーニュの北に有りそう・・」
と想像してしまいますが、言ってみれば、
「緯度的にはほとんど変わらない」
んですね。

この2020年サンセール・ムーラン・ベル・ルージュはやはり濃厚で芳醇な果実の味わいが出ていますが、非常に精緻でピュアです。おまけにとてもドライでエキスが綺麗に出ていますから、
「おそらく史上最高の仕上がり」
は間違い無いでしょう。
昨今はようやく新型コロナウイルス禍のクサビを抜くことが出来たようで、インポーターさんたちも3年振りのドメーヌ訪問をガンガン始めています。やはりそこで話しになるのは2020年の濃密な出来、2021年のエレガントな仕上がりだが余りの少なさ、2022年の完璧な出来で量も出来たこと・・のようです。
面白いのは、昔はアルコール分が高くなると皆喜んだ訳ですが、昨今は決してそうでは無く、
「ブルゴーニュ的なエレガンスを失わないために・・」
みたいな言い方をされる訳ですね。
サンセールはあくまでブルゴーニュでは無くロワールに分類される訳ですが、上記のようにブルゴーニュからは近く、西にずれただけの地域です。昔はエレガントだけれど水っぽいワインの代名詞でも有った・・しかし近年は決してそうではない、立派なワインが多くなっています。そこでの・・
「2020年ヴィンテージ」
は、今までに経験したことのない仕上がりだと言えます。
「濃密精緻なサンセールの赤、素晴らしかったよ・・」
と、おそらく記憶に残ると思います・・この先もこのようなワインが出来るのかは判りませんが、少なくとも以前の写真と比較しただけでも・・
「圧倒的に異なる」
のはお分かりいただけると思います。ご検討ください。素晴らしい出来でした。
以下は以前のレヴューです。
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【淡~いピノが当たり前だったサンセールで、超濃い・・までは行かない、たっぷりなミネラリティとちょうど釣り合う程の実に旨いピノ・ノワールです!】
ピノ・ノワールによる赤ワインです。そもそもはシャスラとピノ・ノワールが多く植わっていた土地だったんですね。でもフィロキセラでシャスラが減り、ソーヴィニヨン・ブランを植えたところ・・これが受けたので、皆さんご存じのサンセール・ブランが生まれた訳です。
それに・・実はこのサンセール近辺、大昔は「ブルゴーニュ」に分類されていたそうで、ピノ・ノワールを植えるのが極普通のことだった訳です。でも、ソーヴィニヨン・ブランが「受ける」ようになると、ピノ・ノワールは条件の悪い場所に植え替えられちゃった訳で・・それで
「薄くて酸っぱいサンセール・ルージュが生まれた」
んですね・・。
現在は、生産者の方々もピノ・ノワールをちゃんと造れば売れることが判ったので、頑張って美味しいピノ・ノワールのサンセールを造っています。ヴァシュロンのサンセールも滅茶美味しいですよね?・・ですが、ヴァシュロンはエージェントさんが変わってしまった?のか、その後随分と価格も上がってしまって手が出なくなってしまいました。
ヴァシュロンのベル・ダムは濃密で深い・・凝縮感のあるタイプです。このアンドレ・ヴァタンの「ベル・ルージュ」は、ヴァシュロンほど濃密では無く、ヴァシュロンほど黒くしない・・(^^;; ものの、
「充分だと思える程にちゃんと濃密!」
ですし、
「大昔はブルゴーニュに分類されたことが伺える、ブルゴーニュっぽいピノ・ノワール!」
と言うことが出来ます。
その上で、とてもピュアです。自然派ですのでナチュラル感はちゃんと有ります。でもビオビオはしていない・・。精緻で質感高いです。・・まぁ、フィネスさんの扱いですから、非常に美しい味わいがします。
アロマも、もし収穫をかなり遅らせるような収穫方法を取るのであれば、このようなフラワリーさの混じった果実たっぷりな感じにはならないでしょう。色合いもちょっと・・ブルゴーニュワインっぽいでしょう?酸も充実していますが酸っぱくはなく、ミネラリティたっぷりの味わいです。
濃すぎず、全く薄く無い・・ピュア&ナチュラルなサンセール・ルージュです。是非飲んでみて下さい。お勧めします!