
「・・ん~・・何だろ・・この感じ・・どこかで・・」
などと感じながらも、何せ並行でドラピエのシャンパーニュも開けているので、あっち行ったりこっちに戻ったりと、結構に体力は削られて行く訳です。
「ボワジェ・フレール...きっとここは将来、芽が出るかもしれないなぁ・・」
と思いつつお取り扱いを始めたドメーヌさんです。2022年で4年目です。
ところが昨年の2021年で価格がいきなり上がりました。noisy としてはまだ・・
「品定め中・・伸びしろが有るか、どんな方向性を持っているか・・」
などなど、まだまだこれから見て行きたいと思っていた生産者さんです。
それが・・いきなりですから・・しかも、まだ価格は良いにせよ、
「数量が激減!」
なんですね。
今回の2022年、ドメーヌ・ボワジェ・フレールですが、ブティーユが全キュヴェ合わせて数本です。実はマグナムのオファーも有ったんですね・・少量ですが・・
しかし、
「飲めも(テイスティングで)しないのに、20万のマグナムを何本も買えるか?」
と言う、ほぼパワハラなオファーにずっと「悩み中」・・になってしまいました。
で、結局物凄い金額のマグナムはご紹介のしようが無いとの判断でオーダーしませんでした・・

ですが、残ったブティーユにしても、
「1,1,2,3,1.・・・」
みたいな感じですから、3本だけ入ったこのA.C.ブルを飲むか飲まないか・・と言う判断を迫られることになり、結局・・開けることにしたんですね。
飲んでみますと、柔らかで穏やか、めちゃドライで・・樽も強くは有りません。ふんわりとしたヴォーヌ=ロマネ風の優しい酸味、抽出は強く無く、僅かに質の良いタンニンが混じる・・余韻も穏やかながらふんわりと長めです。
「・・この感じって・・あ、そうそう・・2012年頃の・・フランソワ・ラマルシュの若い時の感じ?」
まぁ・・単にヴォーヌ=ロマネ近郊のA.C.ブルですから似ているように思い出した?・・のかもしれません。キッチリとしたエキスに仕上がっているのはラマルシュの方です。ボワジェの方は・・この感じですと、
「夏過ぎまでは待った方が良い」
と言う感覚です。
まぁ・・2022年ものですからね・・ラマルシュだとエルヴァージュも異なりますが、翌年の1~2月にご案内だったはずで、半年以上先のはずです。となると、エキスの仕上がり具合から見ても、
「ん~・・やっぱ、似ているのかも・・」
とも感じます。
まぁ1本だけで若いドメーヌの全てを見通すことなど、出来はしません。しかしヴォーヌ=ロマネの良い部分をしっかり握っているボワジェ・フレールですから・それに、
「ニュイ=サン=ジョルジュ1級レ・ボード2022年は、ヴィノスで上値96ポイント!」
と、結構にショッキングなニュースが飛び込んで来たんですね・・
でも noisy としましては1本しかないものを飲むわけにも行かず・・消化不良でのご案内です。レアもので有ることは間違い無いでしょう。ご検討いただけましたら幸いです。
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【テイスティング出来たのはこのA.C.ブルだけ・・。激エレガントで質は・・滅茶クチャ・・良いです。】
まぁ・・仕入れ価格を見ずに、入荷数だけ見て・・
「こんなに少ないの?」
と尋ねてしまいましたので、こんなに値上がっているとは思いませんでした・・で、
「・・ほとんど1~2ケースしか無いんです・・」
とのことで、おそらく1級レ・スショ辺りは激レアでほとんど見かけません。
しかし・・3年目?のドメーヌがいきなり蔵出し価格を上げた・・それも今までの常識を覆すような上げ幅です。周りのドメーヌに合わせた・・とのことのようなんですが・・
「じゃぁ・・DRCに合わせたら良かったのに」
と言ってやりたくなりましたよ。
まだ3年目で・・世の中にはさほど知られておらず、評価も定まるわけも無い時期にそんなことをやってしまいますと・・まぁ・・今までだったら上手く行かないと思います。ですがどうなんでしょうね・・
「行ける!」
とドメーヌでは思ったのでしょう。
確かにこのA.C.ブルのボトルも重量瓶で、しかも・・
「コルクは長さ56mmのDiam30」
です。
A.C.ブルゴーニュにディアム30・・!・・最後の30は、「30年保証」と言う意味ですから、集成コルクのDiamの最高峰を使用している・・その辺りも値上げの理由の一つなのでしょう。

2019~2020年ものと比較してみますと・・もう色彩が全く異なります。淡いですが赤い色素が明るく出て輝いています。
このA.C.ブルはヴォーヌ=ロマネの「レ・ロジェ」と言う畑のようですが、探してみてもどこに有るのか判りませんでした。ですが、これが Rose に関係するles Rogiers とかだとしますと、まさに「薔薇」を思わせるノーズも混じります。
余りの値上げに辟易して、悪いところが先に目立ってしまうような精神状態では有ったと思うんですが・・(^^;; ですが、
「2013~2014年の頃のフランソワ・ラマルシュに近いイメージ」
と言って良いと思います。
無理に熟を待たず、また抽出も非常に弱く丁寧です。ラマルシュよりは種からのタンニンが出ていると感じますが、おそらくほとんどの方がタンニンをタンニンとして検出できないほどタンニンの質感は素晴らしいです。
葡萄の果皮からのアロマも実に素晴らしく、グリオットな果実が繊細に香ります。中盤も大きくは膨らみませんでややタイトですが、ほんのりと呼吸をするように膨らみ、また閉じて行くような状態です。余韻も実に可憐で・・ブルゴーニュ・ピノ・ノワールらしいエレガントさと質の良さを感じさせます。
アルコール分は12%でやや弱めですから、訴えかけてくるような強さは全く無く、シミジミと・・でも美しさと・・幾分の未成熟さ(ボトルでの成長不足)を感じさせてくれます。
いや・・困りました。noisy的には・・
「大有り!」
なワインです。
ですが、このプライスと・・この劇的にエレガントなスタイルに対して、ご理解いただけるのか?・・が全く不透明です。
あれだけ・・美味しくなったと・・フランソワ・ラマルシュを推していた2014年までですが・・飲まれた方々は、
「旨いですね・・エレガントで滅茶美味しい!」
と大受けでしたが、一般には中々購入していただけず、2014年もののオート=コートは翌々年位まで残っていたように記憶しています。
ニコラ・ラマルシュにドメーヌ名が変更になり、2年目くらいで濃くなりましたが・・それが受けるかと思いきや、
「濃くなっちゃいましたね・・ラマルシュ・・」
みたいなご感想を持つ方々が続出。
noisy 的には、
「ん~・・みんな、エレガントなラマルシュが好きだったんだ・・」
と受け取らずにはいられなかった訳です。
さりとて淡い色彩のエレガントなピノ・ノワールが物凄く受けているか?・・と言いますと・・中々そうも思えないのも事実でして・・何だか良く判らないんですね。
で、このワイン・・海外ではまったく評価されていませんで、cellartracker で一人だけ・・この2021年を評価していました。86点だそうです・・(^^;;
noisy は、おそらく88+~91 みたいな評価になると思います。これ・・3年経ったらさらに成長し、激エレガントで妖艶なピノの姿を見せてくれると思いますよ。
ですが、Noisy wine にも 3本しか入ってないですから・・販売は2本だけ・売れても売れなくても体制に影響はないレベルでは有りますが、仕入れ代金分だけ厳しいと言うことになります。
2022年、扱えるかどうも判らなくなって来ましたが、ドメーヌの方向性は何となく判って来ました。
ここまで読まれても、お薦めしているのか、していないのか、良く判らないと思いますので・・ハッキリ言ってしまいましょう。
「このように劇的にエレガントで質の良いナチュールな部分を含んだピュアなヴォーヌ=ロマネ系の造り手はとても稀有。そのA.C.ブルは上級キュヴェへ手を出すかどうかの試金石。3年後は滅茶美味しくなっている。」
その点を踏まえましてご検討くださいませ。
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【ボワジェ・フレールを知るための1本には最高のアイテムです!それは新樽率の少ないキュヴェの宿命?】
良い出来だと思います。複雑性が高いのは2020年ものの特徴かな・・と思い始めています。
す~っと入って来て、見事なパフォーマンスを見せて、綺麗に・・長いお別れをしてくれる2019年ものとは、ポテンシャルの高さはほぼ同様だと思いますが、
「印象は大きく異なる!」
んじゃないかと・・感じています。ただしまだ2020年ものを数アイテムしか飲めていませんので、後で変わるかもしれません。
こちらはヴォーヌ=ロマネ村内のA.C.ブルの畑、レ・ロジェ産とのことですので、
「スタイルは見事にヴォーヌ=ロマネそのもの」
です。ですが、印象はもうヴォーヌ=ロマネそのものですが村名のポテンシャルには及ばない・・ですので、お間違いの無きよう・・。
勿論今飲んでも美味しいです・・が、まだ
「ボワジェ・フレールらしい美味しさ」
には到達していないと思っています。
やはりボワジェ・フレールの場合、低い新樽率が影響していると思うんですね。熟成期間はそこそこ長めでは有り、葡萄本来の美しさを生かした非常に好ましい造りでは有るんですが、これにはやはりマイナス面も有ります。
新樽を使用しますと、その新樽ならではの穏やかな酸化が、ワインを飲み易く、官能的に仕上げてくれるんですね。まぁ、その後のエルヴァージュも相当影響は有るんですが、本質的にはやはり、
「新樽を多めにした方がリリース直後のウケが良い」
のは間違い無いでしょう。勿論ですが「新樽の使い方」も重要ですが・・今はここは多くを言いません。

ですが新樽使用率を低くすることで、
「葡萄本来の美しさを削らない!」
訳ですから、むしろこれぞ最近の流れでもある訳ですね。以前は誰もかれも・・葡萄の出来に関わらず、新樽を多く使用していました。そのために葡萄を良く熟させ、糖分を上げる必要が有った訳です・・樽に負けないために。
で、ピノ・ノワールの美しい酸のディテールが失われてしまった・・濃くて黒い・・そして時に甘いワインになってしまう・・とか、少ない総酸量を修正するために「補酸」を様々な手段でやった訳ですね。noisy も今までに書いたことも有りますが、まるでビタミンCを入れたかのような不自然な酸バランスのピノ・ノワールにも出くわしました。
なので、新樽率が低いのは決してマイナスではない・・と思います。ただし、
「リリース直後より、少し経過してからの方が絶対に美味しい!」
のも間違い無いと思います。
いや・・今飲んでも美味しいんですよ。飲むのを止めはしません。でも、ボワジェ・フレールらしい美しいエキスバランスで飲んでいただくには、この暑いはずの2022年の夏が終わってからが良いと思います。そこから1年間ほどは締まらずに美味しく飲めると思います。
ボワジェ・フレール...エージェントさんは余りアチコチには出していないそうです。是非一度、お客様ご自身の目でお確かめくださいませ。
以下は以前のレヴューです。
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【ドメーヌ・ボワジェ・フレールのベースのキュヴェは、ヴォーヌ=ロマネ村のA.C.ブルゴーニュ!クラシカル・ナチュール!?】
「なるほど・・」と思わせるA.C.ブルです。まぁ・・言っちゃえば・・普通です。でもやはりそこはヴォーヌ=ロマネですから・・
「ヴォーヌ=ロマネっぽさ」
はしっかり有ります。
オー・ジャッシェのコラムにも書きましたが、どこか1級レ・ショームに似たようなニュアンスでした。このA.C.ブルも、レ・ショームを少し軽くしてエレガントさに振ったようなニュアンスに感じます。
上級キュヴェのオー・ジャッシェや1級レ・ダモードに比較しますと・・
「時間が不足」
しているのがハッキリ判る状態でして、2~3カ月の休養と熟成が必要な感じですね。
やはり「クラシカル・ナチュール」と言う言葉がピッタリだと思いますが、抽出を強くしない結果生まれるエレガントさと、ヴォーヌ=ロマネのワインが持つ柔らかい酸が見せるエレガントさが、この表情を生んでいるのでしょう。
勿論、集中感は上級キュヴェには及ばないんですが、2~3カ月の休養が与える変化と言うか、成長はかなりのものが見込めます。
新生マニエル・ノワロ・・・いや、ドメーヌ・ボワジェ・フレールを飲んでみるには良いアイテムかと思います。
「ヴォーヌ=ロマネのA.C.ブルが3千円代?」
は、あのフランソワ・ラマルシュ(ニコル・ラマルシュ)がリリースしてくれていましたが、この先はもう真っ暗闇です。なので、
「ボワジェ・フレールが唯一リーズナブルなヴォーヌ=ロマネのA.C.ブル!」
と言うことになるんじゃないでしょうか。
甘さに頼らない非常にドライな味わいで、将来的にはエレガントに艶やかに香ってくる・・そう言えば、何となくラマルシュのA.C.ブルにも似た部分は感じますよ。ラマルシュの方が、
「リリースが遅い」
分、しっかり落ち着いて成長していますから、もし、ラマルシュの代替をお考えでしたら、来年の1月以降に飲まれるとほぼ正当な比較になるかと思います。noisy 的には、この夏過ぎ辺りから大分良くなると想像しています。是非ご検討くださいませ。