● 昨年初めて2019年ものをご紹介させていただいたヴァンサン・レディの2020年ものをご紹介させていただきます。
当然ながら濃密なヴィンテージなんですが、やはり感じた通り、ヴァンサン・レディさん・・凄いです・・
「もしかして四半世紀早くデビューしていたら、ルーミエさん、ルジェさんクラスになっていたかも・・」
とさえ感じる・・感性の素晴らしさを感じます。
結構に様々な手法を駆使して、ワインそれぞれに個性を感じさせます。そしてもちろん、テロワールの具現も素晴らしいです・・。
2020年ものは濃く見えるが、けっしてダルい味わいでは無く、流れるような美しさを見せてくれます。そして・・まぁ・・余り言いたくないんですが、
「皆さんがおそらく眼中に無い、ショレ=レ=ボーヌやサヴィニー=レ=ボーヌがとんでも無く旨い!」
です。
A.C.ブルも実はクロ=ヴージョの国道の反対側と言うロケーションで、完全除梗してしなやかさを出していますし、看板の「レ・ポレ」は半端無い出来・・凄いです。アルコール度15パーセントもある化け物ですが・・それを感じさせないんですよ・・。
そしてどうやら、2021年ものはジャスパー・モリスさんにロックオンされたんじゃないかと・・見ていますので、もしかしたら世に認められて大化けする可能性も・・などと思っています。
しなやかで瑞々しく美しい味わい・・の下級キュヴェと、とんでもないポテンシャルを感じるトップ・キュヴェです。お勧めします。ぜひご検討くださいませ!
-----
今やブルゴーニュワインは高価な飲み物になりつつ有ります。気候の変化が植生をいじり始め、世界情勢が対立構造を深めた性で為替も変動を大きくし食料問題をも引き起こしています。そしてまた新型コロナウイルスと言う厄介ものを背負ったまま、日本はバブル崩壊後の金融機関保護、大企業保護に動いたまま身動きが出来ない状況で、サラリーも全く増えて行かない・・海外からは完全に置いて行かれたとみるべきでしょう。
そんな中ででも、
「やっぱり美味しいブルゴーニュワインを飲みたい!」
「心や身体にスッと入って来て輝きを見せながら美しく収束する・・ピノ・ノワールが大好き!」
「・・でももはや有名ドメーヌの高いワインには手が出せなくなってきた・・」
みたいな・・気持ちが生まれて来ていると思うんですね。

まぁ・・そうは言いつつも、ルーミエやルソーやルジェのワインの案内を見てしまうと、ついつい「ポチっ」とやってしまって、後になって・・
「・・どうやってカミさんを誤魔化すか・・」
と嬉しいやら何やら困惑の自分に、何やってるんだろう・・なんて思ってしまう訳です。
でもヨクヨク考えてみれば、ルーミエさんだってワインを飲み始めた頃はまるで知らず、たまたま飲んでみたら凄く美味しくてハマった・・んですよね。
だから noisy も頑張って、どんどん素敵な造り手さんを探して、飲んで、ご紹介して・・を延々繰り返して来ました。今や・・それらの造り手さんたちは大人気になってしまい、いつの間にか Noisy wine から姿を消した・・つまり、Noisy にも分けていただけないような状況になってしまった・・ほど、売れるドメーヌになったとも言えます。
で、そんな時にはテイスティングを繰り返して、
「これは行ける・・かも!」
「・・将来性が・・ある!」
と見込んだ生産者さんをご紹介している訳でして・・・そんな中で久しぶりに「ニュイ」の新しいドメーヌをご紹介出来ることになりました。

その名は「ドメーヌ・ヴァンサン・レディ」です。ニュイ=サン=ジョルジュ村のドメーヌで、2007年スタートと言うことです。日本には今までも一度、ちらっと入ったことは有ったようですが、傷跡さえ残せずにいたようです。
ですが、ニュイの大御所の一人、アラン・ミシュロを叔父に持っているそうでして、ニュイ=サン=ジョルジュの素晴らしい「1級レ・ポレ・サン=ジョルジュ」を所有しています。まぁ・・叔父さんに何とかしてもらったのかなぁ・・などと邪推していますが・・。
で、その「1級レ・ポレ2019」が相当・・旨いんですよ。ここは、ニュイ=サン=ジョルジュ村の南のドンケツに有る最高の区画「1級レ・サン=ジョルジュ」の北に有り、南から、
「レ・サン=ジョルジュ」-->「レ・カイユレ」-->「レ・ポレ」
と連なっている・・最高のロケーションで有ると言えます。
あ、ちょっと脱線しますが、あのアンリ・グージュの「クロ・デ・ポレ・サン=ジョルジュ」は「レ・ポレ・サン=ジョルジュ」の北に接していて、実はこの2つを合わせて、
「レ・ポワレ」
と言う区画名になっているんですね。ちょっと複雑では有りますが、そこを判っていないとニュイ=サン=ジョルジュ村の地図をいくら探しても、クロ・デ・ポレもレ・ポレも見つけられないと言う・・寂しい結果になってしまいます。
で、このレ・ポレは最高に旨いです!・・そして、そのV.V.が造られていて、そのキュヴェがこのドメーヌのトップ・キュヴェと言うことになります。
また、オート=コートの赤白、ショレ=レ=ボーヌ、サヴィニー=レ=ボーヌもそれぞれに個性を発揮していて、合格です。リーズナブルですし・・他のドメーヌとの違いも結構有って、
「これからのニュイの群雄割拠な状況に割り込んでゆく可能性が有り!」
と見ています。
また今回は入って来ていませんが、どうやらクロ=ヴージョの低地にA.C.ブルの畑も持っているようで、これも楽しみにしています。
スタイル的にはちょっと面白くて、
「新樽嫌い」
だそうです。「樽からのタンニンをワインにまとわせるのが怖い・・」みたいな言い方をしています。なので、
「ピノ・ノワールには新樽を使わない・・すべて古樽を使用」
のようです。
ですが、「新樽嫌い」のクセにオート=コートの白にはビッチリ・・樽の影響が見られるんですね。それでも決して樽に負けない見事な味わいでは有るんですが、
「ブルゴーニュの古くからの技法で、先に新樽を一度白ワインに使い、その後ピノ・ノワールに使用する」
みたいなことをやっているはずです。
まぁ・・現状、インポーターさんも初めての輸入で余り資料を提示できないようで、仕方が無いのでアチコチのネットを探りまくって、そんなことだろうと当たりを付けました。
味わい的にはエレガント系で綺麗系でエキス系・・酸が出っ張らない穏やかな膨らみが見事ですから、飲んでみていただけましたら、「好きかも!」と言っていただけるんじゃないかと思います。
そんな訳で初のお目見えです。まだ誰も目を付けていないので・・あ、日本でも・・そして海外も・・です。フーリエやセシル・トランブレイが大ブレークしたようになってくれたらなぁ・・と思いますが、そうなってしまうと・・
「また毎年30%ずつ減らされる」
ことになりかねないので痛し痒し・・。でも今のところはリーズナブルですし、知られていないドメーヌと言うことで、
「ブルゴーニュワインフリークたちの心をくすぐることが出来るかもしれない」
造り手だと思います。是非ご検討くださいませ。
■ エージェント情報
◇ゼロからスタート、センスが光るナチュラル志向の若きヴィニュロン
ニュイ・サン・ジョルジュの名手として知られるドメーヌ・アラン・ミシュロの立役者、アラン氏を叔父に持つヴァンサン・レディが2007年にゼロから立ち上げた新しいドメーヌで本拠地はニュイ・サン・ジョルジュ。家系より相続したレ・ポレ・サン・ジョルジュ以外は少しづつ畑を買い足し、現在は合計4.1haを所有し、細部まで目を向けて栽培から醸造まで全ての作業を基本1人で行う。購入した畑はAOPブルゴーニュ、オート・コート・ド・ニュイ、ショレ・レ・ボーヌ、サヴィニー・レ・ボーヌと著名なアペラシオンではないが、知名度や格付けよりも樹齢や土壌、方角といった畑の区画そのもののポテンシャルに着目している。
ボーヌの醸造学校で学んだ後に同じニュイ・サン・ジョルジュ村のスター生産者であるドメーヌ・レシュノーの下で修業を積む。その縁で現在でも使用する樽は全てレシュノーで数年使用した樽を譲り受けている。平均樹齢は40年以上の畑では2013年より有機栽培を実践し(※2021年産より認証取得)、自然と収量を制限する事に注力。全房発酵を積極的に実践し抽出は優しく行う。伝統手法を重んじながらも自然な造りを基本とし、テロワールを最大限に引き出すには新樽からのタンニンは不要という考えから古樽のみを使用し、滓引きは行わずに18ヶ月のシュール・リー熟成。清澄・ろ過も行わずにSO2の添加を極力抑えた状態で瓶詰めされる。
仕上がりワインはテロワールとヴィンテージの特徴を反映させたピュアかつ完熟した果実感があり、キュヴェによってはナチュラルワイン特有の揮発酸が若干感じられるがネガティブな要素ではなく、活力に溢れ絶妙なバランスを保っている。
その個性豊かなスタイルは「ベタンヌ・ドゥソーヴ」2019年版にて年間最優秀発見生産者として掲載されており、年々フランス国内での人気が高まっている。まだまだ発展途上ではあるが将来がとても楽しみな生産者。