● コート・デ・ブランのオジェ、ル・メニル・スュル・オジェと言う秀逸なグラン・クリュの畑を持つ、ビオディナミの素晴らしいシャンパーニュをご紹介させていただきます。その名もドメーヌ・ヴァンシー...。ちょっとバンクシーと間違ってしまいそうですが、覚えておくべき生産者さんです。
2年ほど前から日本にも入って来ているようですが、Noisy wine もようやく少々いただけるようになりました。そもそもインポーターさんからオファーをいただかない限りテイスティングさえできない訳ですからね。しかも飲む前から、
「凄い造り手なんですよ~・・世界中で奪い合いなんですから~・・」
と聞かされていました。例によって天邪鬼な noisy は、
「・・ほんと~??・・」
と・・。まぁ、あまりテイスティングする前からの「刷り込み」を受けてしまうと判断にブレが生じますから、特に初めて扱わせていただく(かもしれない?)ワインは、テクニカルさえ読みませんので、後になってから・・
「・・あ~・・そういうことね・・」
と無駄に思いを膨らませていたことが無駄になったような気にもなりますが、今回は非常に良かったので・・電話で、
「ヴァンシー、滅茶良かったよ~・・」
とお伝えすると、
「そうなんですよ~凄い造り手なんですよ~・・世界中で奪い合いなんですから~・・」
としっかりリピートされました。
コート・デ・ブランの南部、ル・メニル・スュル・オジュの北に接するグラン・クリュ・オジェがヴァンシーの本拠地です。勿論シャルドネが主体・・まぁ、これから異なるキュヴェも造って行くようですので変わってくると思います。
味わいは・・滅茶良いです!・・2枚目の写真はビオの調剤、500番だと思いますが、これから埋めるところでしょうかね。この辺からも判るように、しっかりビオしているドメーヌのようです。
で、ル・メニル・スュル・オジェに似た日照のテカテカと照る感じが有り、でもル・メニルよりは酸が柔らかいかな・・と思います。泡も緻密でクリーミー、流れるような飲み口でふんわり優しいです。酸は厳しくは無く、飲みやすいですが味わいも充分にしっかりしていますので、飲み心地、ポテンシャルとも素晴らしいです。増えたそうですがたった1万本・・これは奪い合いになっても仕方が無いかな・・と思います。是非飲んでみてください。

■ オジェの新生ドメーヌのビオディナミ・シャンパーニュ
◆生まれ変わって誕生したオジェの若手グローワー
ドメーヌ・ヴァンシーは2008 年にカンタン・ヴァンシーによって生まれ変わって誕生した新生ドメーヌです。オジェとメニル・シュール・オジェに所有する4.5ha の畑をビオディナミで耕作していますが、栽培や醸造の細部の技術にまで徹底的にこだわっており、そのブドウはルクレール・ブリアンとド・スーザという厳格なビオディナミのネゴシアンが購入するほど質の高いものです。ドメーヌでは6 年を掛けてビオディナミで畑の生命力が高まった2014 ヴィンテージから瓶詰めを開始しました。総生産量が僅か1 万本弱という若手のマイクログローワーです。
◆初ヴィンテージから世界各国で争奪
ドメーヌの初めてのシャンパーニュとなる2014 ヴィンテージの2 種類のキュヴェは、2019 年の年末にリリースされました。しかし、すぐにイタリア、スウェーデン、オーストリア、スイス、オランダ、チェコ、アメリカなどの欧米のインポーターの間で争奪戦が始まりました。弊社も世界各国のバイヤーと競ってなんとか日本への割り当てを確保しました。以降、輸入は完全に蔵元からの割り当て制になっています。ヴァンシーのシャンパーニュは、オジェらしく、ふくよかでリッチでエレガントな現代的味わいです。

◆醸造について
ドメーヌの元詰めのシャンパーニュには、手摘みで収穫したブドウを最初に圧搾したキュヴェ(一番搾り)しか使いません。一次発酵は野生酵母のみで、必要最低限のSO2 以外には何も加えずにナチュラルな醸造を行っています。発酵はブルゴーニュ産のバリック(新樽は用いない。またキュヴェに応じて一部はステンレスタンク)で行います。マロ発酵は行わず、収
穫の翌年の初夏から秋にかけて、清澄も低温安定法を行わず、ノンフィルターで瓶詰めを行います。
ティラージュの際には、2019 年からさらにナチュラルな醸造に進化させるために、直近の年に収穫したブドウの果汁を添加しています(例えば2019 年の10 月に行われた2018 年
物のキュヴェのティラージュでは、2019 年に収穫したブドウの果汁が添加されました)。一般的なシャンパーニュであれば培養した酵母と蔗糖が添加されます。しかし、同じ畑のブド
ウ果汁であれば、付着している野生酵母と糖分が存在しているため、よりナチュラルな醸造になるというわけです。

二次発酵とマチュラション・シュール・リーは王冠は使わず、全てコルクで行っています。これは王冠とコルクでテストを続けた結果、コルクの方がワインの香味に対して良い結果が得られたからです。ルミュアージュも全て手作業で行っています。デゴルジュマンも生産量の50% はア・ラ・ヴォレで行っています。ドザージュにはブドウの濃縮果汁MCR(Moutconcentre et rectifie)を使っています。ビーツやサトウキビなど様々なものを試した結果、ドメーヌではMCR が最も香りや味わいがニュートラルに保たれて、フレッシュであると判断したからです。
◆その他
ドメーヌによれば、ビオディナミを実践してから、畑の土が空気によってより換気され、固まることが少なくなったそうです。また、腐葉土が増えたことによって土の色が濃くなり、
地中と畑の周囲の生物多様性がより豊かになり、昆虫やミミズ、鳥なども増えたことが観察できたとのことです。また、年を追うごとに、ブドウの房が詰まり豊満になり、ワインの
味わいもより個性的になっているそうです。
カンタン・ヴァンシーは、友人であるギョーム・セロスやオロール・カサノヴァ、ローラン・ヴォーヴェルサン、ジャン・フィリップ・ワリスなどと頻繁にワイン造りについての手法や哲学について意見交換をしています。また一緒にワインの試飲なども行って知見と交流を深めています。

ドメーヌが初めてリリースした2014 ヴィンテージの2 種類のキュヴェは、2019 年の年末にリリースされましたが、すぐにシャンパーニュを代表する三ッ星レストラン、ラシエット・シャンプノワーズに採用されました。
また、イタリア、スウェーデン、オーストリア、スイス、オランダ、チェコ、アメリカなどの欧米のインポーターの間で争奪戦が始まっています。弊社も世界各国のバイヤーと競いながら、なんとか初ヴィンテージに日本への割り当てを確保しました。以降も、日本への輸入は完全に蔵元からの割り当て制となっています。ドメーヌ・ヴァンシーではミレジメのキュヴェしか造りません。2014 ヴィンテージは2 種類のキュヴェのみのリリースでしたが、今後、段階的にオジェの他のリューディや、メニル・シュール・オジェに所有する2 つのリューディのキュヴェなどもリリースされる予定です。