【チトニアン階の石灰的なニュアンスを「まるっ」と感じさせてくれる、むしろブルゴーニュ・シャルドネ的なプティ・シャブリ!・・出来は非常に良いです!】

まぁ・・「キンメリジャンのシャブリ」と言う観点からのみ物を言うのであれば、プティ・シャブリは鬼っ子です。
「全然シャブリっぽく無い!」
みたいな感じが、シャブリを知れば知るほど・・強くなってくる訳です。
そしてその時代背景と言いますか、
「・・なんでそんなこと、したのよ・・」
と言いたくなる事件が有った訳ですね。
そう・・時代は、
「白ワインの代名詞となったシャブリ!」
そのものが・・ですね・・いや、全世界で、白ワインには「シャブリ」と名付けるようなことになってしまったことで、本来はキンメリッジでは無い場所を拡張して「プティ・シャブリ」と言うアペラシオンを設定したんですね。
まぁ・・キンメリッジの畑も増やしたんですが、すでにもう増やせないほどに拡張済。なので、その周りのチトニアン階の畑も「何とかシャブリ」にしたかった訳です。・・まぁ・・経済の発展も必要ですから・・。
ですが、むしろシャブリの周りのプティ・シャブリよりも、違う村のシャルドネの方がシャブリに似通っている事例が出て来てしまいましたので、却ってシャブリの斜陽を招くことになった・・そんな感じでしょうか。プティ・シャブリが出来た背景を駆け足で何となく説明させていただきました。
ですので、プティ・シャブリと(本物の)シャブリはめっちゃ・・違います。本物のと書いたのは、シャブリを名乗っていても・・
「ど~なのかな~・・これってキンメリジャン?」
みたいな感じのシャブリもそれなりに有るからです。ドーヴィサのシャブリなんぞ飲んだ後にネゴスのシャブリを飲むと・・
「・・水か・・?」
みたいな・・いや、それは大袈裟だとしても、シャリっともせず、粘土石灰っぽかったりするとちょっとテンション、下がっちゃいますよね。

ですが、村名シャブリでもキンメリ感の無いものが結構に有ります。まぁ・・腕が追い付かないとかも有るかと思いますが、
「そもそもキンメリジャンでは無い部分にまでシャブリは拡張された!」
ことが、シャブリの低迷に拍車をかけてしまったと思います。
でも、プティ・シャブリならまぁ・・それも許されるかな・・とも思いますので・・このチトニアンの粘土石灰土壌のプティ・シャブリになりますと、言ってみれば緯度の高い部分の粘土石灰土壌のシャルドネと同様ですから、
「ちゃんと造れれば美味しいシャルドネになる」
のは当然でしょう。
ビオ的アプローチで香りは柔らか、スピードも有ります。ちょっと「クレイ」と言いたくなるようなノーズに石灰感が混じり、丸みを帯びた柑橘果実が心地良いです。
さすがに村名シャブリのような外向的・・と言いますか、八方美人的な・・誰にでも微笑みかけてくれるような感じでは有りませんが、
「むしろフリンティでは無いアロマが、慣れ親しんだシャルドネのニュアンスに近い」
と感じられます。
まぁ・・こちらは2021年ものですから熟成期間も村名シャブリに比較して短いので、4~5日では残念ながら開かず、抜栓直後の華やかなニュアンスがむしろ閉じたまま・・で飲み切ってしまいました。ですので、これをもっと開かそうとするのは結構に大変ですから、
「プティ・シャブリは1日で飲み切りましょう!」
と言うことにしておきます。
どうしても・・と言う方には、もう平底デキャンタに落として(ラップして)5日ほど・・15~16度ほどで置いてみると良いかもしれません。ただしこの方法は実践していませんので確証無しです。
また、村名シャブリのキンメリジャンと、プティ・シャブリのチトニアンを比較するのは、土壌の違いがどれほどに異なるワインの表情になるのかを「有り体に」教えてくれます。しかもどちらもポテンシャルは高いです。是非飲んでみてください。お勧めします!