
凄いですね~・・アリゴテでこんなの、出来ちゃうんですね・・。澱を上手く使えることが、この深い味わいを生んでいるのかもしれません。ムスカデで言うところのシュル=リー・・。酵母が散々に働いた後に死滅して澱になり、その分解がまた深い味わいを生む・・。
ある意味、シルヴァン・パタイユのアリゴテのクリュものを初めて飲んだ時にどれだけ驚いたか・・それに近いショッキングな味わいを感じます。
それに、昨今はまったくいただけなくなりましたが、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールの100年超のアリゴテも非常に深い味わいでしたし、同じド・ムールのデイリー、「ア・リゴテ」のフツーな美味しさもまた、ある意味ショッキングでした。もっとも2006年だったか、アリゴテのジェロボアムボトルを割り当てられた時は・・
「ど~すんのよこれ・・」
とナーバスになったこともありますが・・。
まぁ、言ってみればコシュ=デュXのアリゴテにショックを受け、ルロワのアリゴテの余りの普通さにも落胆もした日も在った訳で、
「素晴らしいものと普通過ぎるものの差が非常に大きいのがアリゴテ!」
でも有り、
「しかし昨今はその差はどんどん、上方へと偏移している」
と感じます。
あ・・もしかしたら勘違いされるかもしれませんが、トラペ家はアリゴターには参加していないようですのでご注意くださいね。

で、ビオディナミの雄でもある「ジャン=ルイ・トラペ家」の息子2人が始めたピエール・エ・ルイ・トラペですが、お得意の「マセレ」で素晴らしいアリゴテを造り出しています。
もはやこれ・・
「暗闇で飲んだら赤ワイン?」
と捉えられるかもしれない・・などとも思えるほどに、包容力に長け、表情が深いです。
なにせタンニンさえ感じます。・・でもそのタンニンをタンニンとして把握するよりも、ボリューム感とか、質感とかに目が行くんですね。
ジューシーでも有るんですが、赤ワイン的な渋みと白ワイン的な渋みが微細で複雑なビター感を生んでいます。その上で、白ワイン的な伸びの良さ・・アリゴテだからこそなのか、酸バランスの大きなパレットも特徴かと思います。
この、まさにゴールドな色彩こそが、このアリゴテのマセラシオンしたキュヴェの素晴らしさを見せていると思います。
2本だけの販売です。日本に何本入荷したのでしょうか・・。何と合わせてもマリアージュしてしまう、懐の深いワインだと思います。ぜひ飲んでみてください。超お薦めです!
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【きゃ~・・これも素晴らしい!・・アリゴテにハマってしまいそうになると思います!マセラスィヨンの威力、半端無いです!】
何せドーヴネの隣ですから・・はい。きっと、
「ドーヴネの作業をじっと見つめる・・数多くの眼!」
が有ったはず・・と・・想像してみてください。ドメーヌ・トラペの監察官も?・・きっと許していたと思います・・(^^;;
そりゃぁそうです。かたや80万円、かたや・・7千円台・・ですから・・
でもですね・・このマセレのワイン、飲んだら・・相当に今までの自分を恥じるはずです。
だって・・
「・・アリゴテで美味しいはずは無いから・・パス!」
と思っていたはずですから。
でも、あのギルベール・ジレのアリゴテ・・まぁ、おそらくこれからはもうリリースされることは無いと思います。一期一会の凄いアリゴテでした。
ですがまたこのピエール・エ・ルイ・トラペの2021アリゴテのマセレもまた・・
「半端無いアリゴテ!」
であると申し上げておきましょう。

実はですね・・この2021年のマセレだけではなく、2020年のマセレも・・noisy はテイスティングしているんですね。
さらにはマセレではないものの2020年ものも飲んでいますから、結構にイメージがしっかり出来ていまして。面白いのは、
「2020年の比較的濃度の高いマセレは、もっと色が茶色い・・オレンジとまでは行かないが」
と言うレベルなんです。
色を見ても味わいが判るように、2020年ものはやや「お茶」「ウーロン茶」の雰囲気が出ていまして、その酸化作用の影響が味わいの終盤にも感じられます。
ところが2021年ものは・・いや、この色彩ですよ・・凄いでしょう?・・ド太い涙がゆっくりとグラスのフチを這いまわっている・・んです。
つまり、
「オイリーさが有り、ミネラリティが普通のスー・シャトレよりも強い!」
んですね。
いや・・これ、同じ日に開けて2タイプを楽しめたとしたら、
「ドーヴネの80万円を開けるよりも楽しいかも?」
しれません・・。
まぁ・・、昔と違って、ドーヴネのアリゴテを1万円以下では買えないですから、飲んでみたい方には伝わらない話しかもしれませんが、
「ピエール・エ・ルイ・トラペのアリゴテ、半端無い!」
と、サッカーのあの選手が昔言われたような言い方でお伝えしたいと思います。ぜひ飲んでみてください。お勧めします!