【要注意!いやアヴァンギャルド好き必見!?ギリッギリッまで攻めた結果⋯極限のピュアナチュラル感を手に入れた、密度の高い激ナチュラル・シュナン・ブランです!】[ oisy wrote ]
[ oisy wrote ] 攻めたナチュール好きな方へのご提案です。アヴァンギャルドな、非常にアヴァンギャルドなナチュールワインです。くれぐれも以下のレビューをご確認の上、ご購入の判断をしていただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
「嫌だ、提案したくない」と子供のように駄々を捏ねるオイジーに、「ダメだ、ちゃんとレビューしろ」と上司命令が下ったワインがこのバティスト・ナイランです。
なぜ提案したくなかったのか?と言われれば⋯そりゃ「揮発酸が出てるから」です。オイジーは揮発酸が出ているものに対して「出ていない」とか「何も言わないで売る」とか絶対に嫌です。このワインもネットを見てるとなにもインポーター情報だけコピペして売っている店が多いですね。普通のワイン好きが買ったらクレーム来ないのかな・・・
まあいくら上司命令でもお勧めできるポイントがないワインは「絶対にレビューを書かない!」といって断固拒否します。しかしこの「ワイン」にはちゃんと「良さ」があったので重い重〜い腰を上げました。
そもそもなぜ嫌だったかといえば、「攻めたナチュールファンじゃない方の手に渡ってしまう恐怖」からなんですね。しかしその恐怖に負けて、オイジーが流通を堰き止めてしまったらナチュールファンにも、造り手にも申し訳ないと思い直して書きました。
ところで、「揮発酸ってワインにとって絶対悪なの?」と言われれば「それは違う」と思います。実は最近は「揮発酸がなければ発生しないエレガンスもある」という風に認識しています。問題はその「侵食具合」です。僅かな揮発酸、多分普通に飲まれていたら気づかないレベルですね。ワイン屋のように毎日いろんなワインをテイスティングしている人間がようやく気づくレベルの揮発酸が含まれているワインってのは結構あると思います。
ただそれは一般にはそれとは感じず、香りのエレガンスの一部になっていたり、立ち上がりのサポートをしてるに留まっているわけです。「揮発」ですから、香りを持ち上げるにはこれ以上ない適役・・・ですよね。表に出てこず、裏方でまさに黒子として活躍しています。このレベルであればオイジーは多分揮発酸について言及しないと思います。
このゼニスはその裏方がちょっと・・・いや、だいぶ表に出てきているわけです。その結果として、酢酸エチル、セメダインのような香りが含まれ、味わいは酢酸、つまり酢に近づいている部分が存在します・・・それも「僅か」ではないです。「結構」存在します。申し訳ないですが、これは「事実」ですから、ありのままをお伝えします。でないと詐欺になってしまいますからね。
ただしですね、それを踏まえた上でご提案いたします。なぜなら「ぎりっぎりのところで留まっている」・・・んですよ。ワインとしてぎりぎりのところです。本当にギリギリです。崖っぷちに立っているようなものです。
そして・・・その結果としてこのワインは・・・「極限のナチュラル感」と「極限のピュア感」を手にしています!ある意味、この極限の見極めはちょっとすごい!ナチュラル感を求めた結果、ここまで攻めたワインになったのでしょうが、これがバティストの理想の姿なのか、それともチャレンジの結果ちょっと行き過ぎてしまったのか、私にはわかりませんがその攻めた対価として「酢」に片足突っ込んでいながらも、このピュア感を手にれられたんだと思います。まあよく耐えたなと思います。
なぜ耐えられたのか?といえばこのワインが持つミネラリティのおかげかもしれません。豊富なミネラリティは酢酸菌の侵食を僅かに抑えるのでは・・?と思っています。まあ根拠はないのですが。感覚です。でも割と確信があります。まあ酢酸菌が活発すぎると意味ないんですが。
このワインの色味を見ると非常に輝きがあってミネラルが充実しているのがわかります。涙が太く、果実の凝縮感と複雑なミネラルが演出する深みを感じ取ることができます。シュナン・ブラン感も感じ取れ、酸に隠されがちですが、「蜜」っぽく感じるほどの密度を持っています。酸に慣れてくるとこのワインの良さがだんだんと拾えてきます。
そしてこの充実感が非常にピュアなフレーズで身体に染み込んでいきます!この身体が喜ぶナチュラル感は攻めた結果辿り着いた境地と言えるかもしれません。コサールのいう「ヴァン・ヴィヴァン」にも通ずるものがあると思います。「生きたワイン」と言っても良いかもしれません。攻めた結果、揮発酸と酢酸はあるけれど、極限のピュアナチュラル感を感じていただけるワインです。
何度も申し上げますが、くれぐれもアヴァンギャルドなナチュールが好きな方、ギリギリを体感してみたい方のみご検討ください。ちなみにこの「ギリギリのライン」は個人差があると思いますので、「アウト」の方も多いと思われます。オイジーはできるだけ客観的に判断し、ギリギリであると申し上げさせていただきます。酢酸のレベルにはボトル差もあると思います。
それと温度管理にはご注意ください。調べると酢酸菌の活動温度は20〜35度ほどのようです。SO2も使用していませんので、20度を超えると、活動を停止していた酢酸菌が再び動き出し、「美味しい酢」へと進行してしまうかもしれません。14度付近での保管はマストです。
こんなに売るのが怖いと思ったことはありません。でも本当に好きな方の手に届いてほしいので勇気を振り絞ってレビューを書いています。ワイン屋泣かせなワインです。どうぞよろしくお願いいたします。